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製品責任 製品の安全性の確保

お客さまに安心して製品をご利用いただくため、法令以上の厳しい基準を設けて品質を管理しています。

「製品安全に関する基本方針」に基づく自主行動計画

キヤノンは、お客さまに安心・満足して、安全にお使いいただける製品を提供することが企業としての重要な使命であるという考えのもと、「製品安全に関する基本方針」を定め、各グループ会社とともにこれを遵守しています。
さらに、この方針に基づき「製品安全自主行動計画」を策定・実行し、「お客さま重視」「製品安全確保」に努めています。また、官公庁の定める法律や通達も遵守し、該当する製品事故などが発生した場合は、迅速に報告できる体制を整備・維持しています。
なお、キヤノン(株)および国内グループ会社は、それぞれの事業形態に応じた「製品安全自主行動計画」を策定・実行しています。

キヤノン(株)の2016年活動トピックス

  • 社長による「製品安全自主行動計画」に基づくマネジメントレビューの実施(2008年より継続)
  • 「 製品安全規制対応細則」「品質問題対応規程」など、13件の社内規程を改訂
  • 製品・化学品への安全性に対する社内基準など、18件の社内基準を改訂
  • 「 模倣品バッテリーによる発煙」「電源コード、プラグの安全な取り扱い」などお客さまへの注意喚起を継続実施
  • 製品安全関連教育を継続実施するとともに、品質に関する基礎教育でも製品安全の重要性について講義
  • 「 製品安全自主行動計画」の理解促進のための全従業員向けeラーニングリニューアル版を継続実施

キヤノン独自の「製品安全技術基準」の設定

キヤノンは、安全な製品を提供することがメーカーにとって基本的かつ最も重要な使命であると考えています。
このため、すべてのキヤノン製品に対して、法令で定められた安全基準およびお客さまの立場で設定した独自の品質標準である「製品安全技術基準」(実質安全)を守ることを義務づけています。
例えば、「法令の要求より難燃性の高いプラスチックを採用する」「安全上、重要度の高い部分には、二重保護の考え方を導入する」などの基準を設けています。また、基準の内容は技術進歩やお客さまの製品の使い方、安全品質に対する要望の変化などを踏まえて見直しをしています。
これらの基準に基づき、設計・評価・製造の各段階で厳しい安全性の品質管理を徹底し、基準を満たさないものは市場に出さないようにすることで、安全な製品づくりを追求しています。
2016年は、製品の操作指示や表示の分かりやすさ、意味適合度など、人の特性を踏まえた安全への取り組みと安全技術の融合をより深めることに注力しました。

  • 実質安全:法令などで規制されていなくとも、実際のお客さまの使い方などを想定して安全性を確保する考え方。

主な安全技術への取り組み

  • 安全性につながる人の特性(人体機能、能力、心理・行動など)の観点を踏まえ、お客さまの多様な操作を想定した安全性評価への取り組み
  • 安全確保上の重要部品について、発火しない部品や高信頼性の保護部品を部品メーカーと共同開発し、社内部品認定制度に基づき合格したものを採用
  • 世界各地の販売地域で確認された異常な商用電源の電圧波形に基づく安全確認試験を実施
  • 部品故障などの異常状態を想定し、各国・地域の法令要求よりも厳しい安全性評価試験を実施

開発段階における品質評価

安心・安全な製品をお届けするための評価環境の整備

キヤノン(株)では、製品の安全性を正確かつ詳細に評価するため、電波、騒音、難燃性評価、VOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)、遺伝毒性、電気安全などの公的規格や関連法規に対応した試験設備を設けています。
また、公的認定試験を社内で実施できるように、ISO※1/IEC※2やUL※3などに基づいた認定も取得して、高精度な測定を実施しています。具体的には、国内トップクラスの規模と性能を誇る大型電波暗室をはじめ、大型製品燃焼検証室やシールドルーム、半無響室など業界最先端の設備導入で、EMC試験※4やブルーエンジェル※5の申請に必要な試験の社内実施を可能にしています。

  • ※1 ISO:International Organization for Standardization(国際標準化機構)の略。国際的な標準である国際規格を策定するための非政府組織。
  • ※2 IEC:International Electrotechnical Commission(国際電気標準会議)の略。電気・電子技術に関する規格を策定する国際的な標準化団体。
  • ※3 UL:Underwriters Laboratoriesの略。機能や安全性に関する標準化を目的とした製品の安全規格を策定し、評価試験に合格したものに独自認証を与える企業。
  • ※4 EMC(Electromagnetic Compatibility 電磁環境両立性)試験:製品本体や電源から放射・伝導する電磁波が他の機器の動作を阻害する妨害波を測定する電磁妨害波試験と、付近にある電気機器などから発生する電磁波による製品自体の誤動作耐性を評価する電磁気耐性試験からなる。
  • ※5 ブルーエンジェル:ドイツでスタートした世界で初めてのエコラベル制度。
大型電波暗室における製品の放射電波測定

大型電波暗室における製品の放射電波測定

大型製品燃焼検証室

大型製品燃焼検証室

安全性評価の取り組み

製品から放出される化学物質の安全性評価

キヤノンでは、複合機や各種プリンター、プロジェクターなどを対象に、製品から放出される化学物質の評価を行っています。この評価では、ドイツの「ブルーエンジェル」に代表される環境ラベルを取得する上で必要なベンゼン、スチレン、オゾン、ダストおよびUFP(超微粒子)の測定を実施しています。
また、人体への暴露限度が定められているVOCに対し、国内外で定められている基準と同等、もしくはより厳しい暴露限度を定めたキヤノン独自の基準を設け、その基準に適合していることを確認しています。
社内試験所は、ブルーエンジェルマークの取得申請に必要な評価が行える機関として、ドイツ連邦材料試験研究所から認定を受けています。さらに、日本適合性認定協会よりISO/IEC17025および28360の認定を受けており、公正中立な立場での測定を実施しています。
2017年より、ブルーエンジェルマーク取得のためには、これまでは基準対象外とされていた大型機へのUFP基準適合が必要になりますが、キヤノンはこうした基準強化へのタイムリーな対応を進めていきます。
お客さまや環境に対する安全確保は何にもまして優先されるべきことです。作業プロセスの見直し、自動化推進などで効率化を進め、評価期間を短縮できるよう努めています。

インクやトナーなど消耗品に対する安全性評価

キヤノンでは、プリンターや複合機を安心してお使いいただけるよう、インクやトナーなどの消耗品についても安全性評価・品質保証を行っています。
例えば、インクやトナーの材料については、発がん性と密接な関係があるといわれる遺伝毒性に関する評価として、「微生物を用いる復帰突然変異試験」「培養細胞を用いる小核試験」を実施しています。後者の試験について2014年8月からは、キヤノン製品に多くみられる水に溶けない不溶性材料についても、社内試験による評価が可能になりました。
こうした試験を実施するキヤノンの試験所は、経済協力開発機構(OECD)が定める「優良試験所基準(GLP)」に準拠しているほか、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」が定めるGLPの適合施設認証を厚生労働省より受けており、高い信頼性を確保しています。なお、「培養細胞を用いる小核試験」に関する化審法GLP適合認証の取得は日本初となります。
2016年は、化審法GLPに関する厚生労働省の適合確認(査察)を受け、3年ごとの更新手続きが完了しました。

  • 優良試験所基準(GLP):Good Laboratory Practiceの略。化学物質などの安全性評価試験を行う試験施設における管理、試験実施、報告などについて定められた基準。GLP基準に基づく試験は再現性やデータの信頼性が確保される。1981年にOECDのGLP原則が制定され、それに整合したかたちで加盟各国が国内の法規制を整備している。化審法のGLP適合認証の継続には、3年ごとに更新手続きが必要とされ、有効期間が切れる前に次の適合確認(査察)を受ける必要がある。
培養細胞を用いる小核試験

培養細胞を用いる小核試験

動物実験による化学品製品の安全性評価

化学物質に対しては、国内外の化学品法規制の一部で、動物実験によるデータの提出が求められている場合があるとともに、人の健康や環境への影響に対する確認として、動物実験が有効となる場合もあります。
キヤノンは、こうした背景を踏まえ、トナーやインクなどの化学製品について、社外の既存データが最大限に努力しても入手できず、かつ代替手段がない場合に限り、外部専門機関に委託して動物実験を実施しています。このような対応方針は、化学品製品の安全性に関する社内ルールの中で、世界的な動物実験の基準理念である「3Rの原則」と合わせて定めています。
今後もさらに、動物実験以外の評価方法やアプローチについての情報収集や分析を行い、動物実験に代わって活用できるように努めています。

  • 3Rの原則:1959年に提唱された世界的な動物実験の基準理念。
    Reduction:使用する動物の数を削減すること
    Refinement:動物の苦痛を軽減すること
    Replacement:動物実験の代替手段を利用すること

品質認定制度による電子部品の安全性・信頼性確保

製品の安全性や信頼性を確保するためには、ICや各種電子部品など、製品構成部品一つひとつの品質・信頼性の維持向上が不可欠となります。そこでキヤノンでは、これら電子部品について、独自の品質認定制度を構築・運用しています。
この制度は、部品の選定段階において、部品種ごとに定めた基準に従って信頼性評価や構造評価、製造工程の審査を実施し、品質基準をクリアした部品だけを採用するものです。
近年、電子部品メーカーの統廃合や工場移管など市場環境が大きく変化しています。こうした中でも品質レベルの維持が図れるよう、従来から運用していた変更管理システムをより強化し新システムとして運用を開始しています。また、電子部品の進化に対応するため、X線CTなど高精度な非破壊構造評価技術や、より微細な加工・観察技術のほか、LSIの高速化に対応した測定技術など技術の強化にも努めています。

ソフトウエアのセキュリティと脆弱性への対応

複合機やカメラなど、さまざまなキヤノン製品がネットワークを介して他社製品とつながり、利便性を高めています。その一方で、ネットワークに接続した製品から個人情報や機密情報が漏えいするなどのサイバーセキュリティ上のリスクも高まっています。
キヤノンでは、こうしたリスクへの対策として、ネットワーク対応製品のソフトウエア開発時にセキュリティ機能の搭載、各種の脆弱性テストを実施するなど、セキュリティと脆弱性に対する意識向上やリスクの考え方、テスト方法についての全社的な標準化を進めています。
2016年は、セキュリティ機能搭載の有無によるリスク判断が的確に行えるように、統一した技術標準を作成し、製品開発への適用を開始しました。また、過去に対応したソフトウエア脆弱性の再発防止を図るため、生産確認時の品質確認要件として「脆弱性評価判定書」を導入し、これに基づく脆弱性の確認プロセスを全社展開しています。
製品出荷後に脆弱性が判明した場合には、状況をタイムリーに共有し、必要な情報を公開するなど、お客さまへの影響を最小限にとどめることが重要です。このため、他社製品を含めて脆弱性に関する市場動向を調査し、キヤノン内でいち早く情報を共有するとともに、自社製品で同じ問題を再発させない仕組みを構築しています。

販売後のサポート

Webサイトでのサポートサービス

キヤノンは、お客さまの問題解決のためにWebサイトを通じたお客さまサポートサービスを世界中で展開しています。
キヤノンのWebサイトに「よくある質問と回答」「製品の仕様」「取扱説明書」といったサポート情報を掲載するとともに、最新のドライバーソフトウエアなどのダウンロードを可能にしています。また、サポート情報やソフトウエアは、全世界共通のコンテンツをベースに、各地域で必要なローカルコンテンツを加え、世界各地の販売会社のWebサイトにそれぞれの言語で公開しています。
お客さまのコンテンツ利用状況については常にモニタリングし、アンケート情報などを分析して、お客さまの声をコンテンツ制作部門にフィードバックしています。また、頻繁に検索されるキーワードをもとに新たなコンテンツを加えるなど、お客さまの利便性向上のため常に改善を行っています。
さらに、近年のモバイル端末(スマートフォンなど)の普及に伴い、表示画面の最適化を進め、より快適なサポート画面をめざしています。

各国市場におけるアフターサービスの拡充

お客さまに製品を長期にわたって安心してご利用いただくためにはアフターサービスが重要です。キヤノンでは、世界同一レベルの迅速・確実なサポートを提供できるよう、グローバルな規模でアフターサービスネットワークの拡充に注力しています。

オフィス向け複合機のアフターサービスの作業

オフィス向け複合機のアフターサービスの作業

市場情報の分析と製品改善へのフィードバック

キヤノンでは、開発段階においてユーザー視点での製品評価を実施するのはもちろん、お客さまの要望を製品改善に反映することで、顧客満足のさらなる向上を図っています。
そのための一つの方法として、2015年に更新した「コール情報収集・分析システム」を活用しています。このシステムは、世界各地の販売会社に設けているお問い合わせ窓口(コールセンター)に寄せられたお客さまからのご意見、ご要望などの情報を集約し、開発部門や生産部門、販売会社などが随時閲覧することにより、製品の品質向上や取扱説明書の改善、新製品の開発などに活用するものです。具体的には、コール分析の結果を開発にフィードバックして、製品操作パネル上の表示方法改善や無線LANへの接続操作簡略化など、お客さまの利便性の向上に役立てています。
現在、日本、米州、欧州、アジア・オセアニアの27の国・地域に対応しています。

コール情報収集・分析システム コール情報収集・分析システム

コール情報収集・分析システム

製品安全問題、品質問題発生時の対応

キヤノンは、製品安全問題、品質問題の未然防止に注力する一方で、万が一、安全や品質に関わる問題が発生した際は、迅速に適切な対応(原因究明、製品の無償修理、情報開示など)を実施する体制を整えています。
製品安全問題、品質問題とその対応についてのお客さまへのお知らせは、新聞各紙や自社のWebサイトの「重要なお知らせ」に掲載しています。
2016年は「重要なお知らせ」への掲載はありませんでした。また、「消費生活用製品安全法に基づく事故報告」1件と「品質に関するお知らせ」2件の情報を掲載しました。

品質問題発生時の対応フロー

品質問題が発生した場合は、お客さまの窓口となる各国の販売会社からキヤノン(株)の各事業本部の品質保証部門に報告が入ります。同部門では原因の解析や対策の検討を行うとともに、重要問題については事業本部の関連部門や品質統括センターならびに法務部門や広報部門などと対応を協議し、会長/社長に報告します。
社告やWebサイトを通じてお客さまに告知する場合は、製品販売地域の各国販売会社に指示し、原則として、全世界同一時刻に情報を開示します。

品質問題発生時の対応フローの概念図 品質問題発生時の対応フローの概念図

品質問題発生時の対応フローの概念図