EOS C300(2/5)

現場から生まれたキーワード

シネマカメラの世界を大きく変えることになるCINEMA EOS SYSTEM「EOS C300」の誕生にはプロローグがありました。

キヤノンには、報道などの現場で高い評価を受けている業務用ビデオカメラシリーズがあり、多くの経験とスキルを持っています。
しかし、ビデオカメラがジャーナリスティックな即応性を求められる一方で、シネマカメラには高い表現力が求められます。そのため、業務用ビデオカメラで培った経験やスキルがそのまま活かせるわけではありませんでした。
そこで、新しいCINEMA EOS SYSTEMの開発には、まずシネマカメラを使う現場の徹底したリサーチが不可欠でした。何度も現場を訪ね、多くの制作者の声を聞くことから得られたのは、信頼性、操作性、拡張性などプロ機器として求められる基本性能に加えて、「機動力」というキーワードでした。

CINEMA EOS 自由な映像表現を可能にする”モバイルコアデザイン”

壁や床などギリギリにまで寄って撮る、通称"ギリ攻め"。大型のシネマカメラが最も苦手とするものであり、多くのカメラマンがEOS 5D MarkⅡに求めた能力のひとつでもあります。
「シネマカメラの機動力こそ、プロの映像制作現場の表現力となる。」
デザインチームは、そこにCINEMA EOS SYSTEMが応えるべきテーマを見つけ出しました。それを実現するデザイン開発は、まさに"手探り"でした。いくつかの主要パーツをブロックとして、それを積み木のように組み合わせて全体の形を作っていく。まるで子供の積み木遊びのような手法で、実際に手に持って操作性の良し悪しを確認しながら、最適な形状を探っていったのです。そうして生まれたのがCINEMA EOS SYSTEMの原型、スリムで前後長の短いタテ型構成をベースとした"モバイルコアデザイン"というコンセプト。
手持ち撮影を考慮したコンパクトな本体を核とし、さらに必要に応じてモジュール化したさまざまな機能を付加していく。それによって、機動力を高めながら高価なシネマカメラにも匹敵する拡張性を確保するという考え方です。
"モバイルコアデザイン"は、現場を徹底的に知ることで導き出された「小が大を兼ねる」という強い思いから生まれました。