野鳥写真図鑑

キアシシギ

チドリ目シギ科 全長約25.5cm

絞り:F5.6|シャッタースピード:1/320秒|ISO:100|露出補正:-0.7|焦点距離:700mm|一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)|撮影地:愛知県

春と秋に干潟で普通に見られ、水田や河原などの水辺にいることもある。足はその名の通り黄色いが、シギの仲間としては短い。「ピューイ、ピュイ」などと澄んだ声で鳴く。渡りの際には、夜空から声が降ってくることもある。

鳴き声

※鳴き声が再生されます。

旅鳥は海をきれいにしている?

夏の終わりを告げる

シギの仲間は、極北ロシアのツンドラなどで繁殖し、7月に繁殖を終えると、早いものは8月から南下しはじめます。日本では50種以上も記録されていますが、オオジシギのように日本で繁殖する夏鳥は少なく、多くは北上する春と南下する秋に見られる「旅鳥」です。寒くなる頃には日本を去り、冬は南半球まで渡るものが少なくありません。
とくにキアシシギは、全国的によく見られる「旅鳥」の代表で、まだ残暑が厳しい頃にその涼しげな声を聞くと、季節が秋に向かっていることを教えてくれるように思えます。中には、冬はオーストラリア南端まで渡って冬を越すものもいます。

キアシシギ カニを食べているところ。春には派手な姿になるシギもいるが、キアシシギは春に夏羽になると、胸や腹の縞模様が目立つ程度のマイナーチェンジである。(写真は夏羽)

海水の浄化に一役

シギたちの北上は、小鳥のさえずりが賑やかになる4~5月で、南下はさえずりが止む頃に始まり、10月頃まで続きます。見に行くには、干潟の小動物を食べる引き潮の時間帯がよく、水際に多く見られます。干潟は、長距離の渡りを支える食料補給の場所ですが、海の環境にも欠かせません。
引き潮で表面についた酸素は、満ち潮の際に海に供給されます。このような海水浄化機能は、生きものたちによって高まることをご存知ですか?小動物が穴を空けて暮らしていて、それらを食べる鳥が歩き回り、つつき回ることで、表面積が大きくなるほど、潮が満ちた際により多くの酸素が供給されることになるからです。

キアシシギ 干潟で採食中。干潟にたくさんの小動物がいることは、潮干狩りで掘ってみるとわかる。鳥を含めた命の営みは、海水の浄化にも貢献している。
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