キヤノンは、大気汚染や酸性雨の主要因となるNOx※1やSOx※2、海や湖沼の富栄養化の原因となるリンや窒素などの環境負荷物質の削減、水域での環境負荷指標であるBOD※3やSS※4の低減に努めています。
大気汚染を未然に防止するため、燃料使用設備の新規導入・更新に際しては、大気汚染物質(硫黄酸化物、窒素酸化物、ばいじんなど)の発生が少ない燃料を使用する設備を選定するとともに、重油の使用を原則禁止しています。
また、オゾン層破壊物質やストックホルム条約で定められた残留性有機汚染物質についても使用を禁止しています。
排水については、各拠点に適用される法律などの規制項目について、その規制値を拠点基準値に設定。それぞれの項目について、拠点基準値の80%を社内管理値に設定し、管理基準の遵守状況を定期的に確認しています。
こうした取り組みの結果、2016年においてもキヤノンの事業拠点からの排気や排水において適用される基準値の超過は発生していません。
2016年、キヤノンバージニア(CVI)とそのグループ会社であるCanon Environmental Technologies, Inc.(CETI)は、バージニア州政府環境部門(VDEQ: Virginia Department of Environmental Quality)より、環境マネジメントシステムと汚染防止に関する活動が認められ、Exemplary Environmental Enterprise(E3)として10年連続で認定されました。
VDEQでは、バージニア州の環境保全と経済活動の両立、市民の健康などを推進しており、バージニア州に立地する工場の環境管理を促進するために、2005年にVEEP(Virginia Environmental Excellence Program)が設立されました。CVI/CETIは、環境で要求されるコンプライアンスや環境パフォーマンス(特にエネルギー・ガス・リサイクル)の継続的な改善を実施したことに加え、塩素系溶剤の非塩素系溶剤への切り替えによる削減やトナーカートリッジのリサイクルなどの取り組みが評価されました。
10年連続での認定を喜ぶCVIとCETIの社員たち
キヤノンでは、土壌・地下水環境の保全を重要視し、「土壌・地下水汚染に対する基本方針」を策定。この方針のもとに対策の徹底を図っています。万が一、土壌・地下水汚染が確認された拠点については、法に則った汚染除去などの措置を確実に実施しています。
また、新規に土地を取得する場合には、事前に土壌調査を実施し、土壌浄化などの対策を実施した上で、浄化完了後に購入することを基準化しています。さらに、各拠点で使用する化学物質を把握するとともに、各拠点の所在する国や地域の基準を把握し、各地の状況に合わせたリスク対応を展開しています。
今後も上記の取り組みを継続するとともに、モニタリングおよび浄化完了事業所の報告や届け出を適切なタイミングで実施していきます。
事業所 | 対象物質 | 対応 |
---|---|---|
下丸子 | トリクロロエチレン等 | 水質測定 |
目黒 | テトラクロロエチレン等 | 水質測定 |
宇都宮第一駐車場 | フッ素及びその化合物等 | 揚水処理、水質測定 |
鹿沼 | テトラクロロエチレン等 | 原位置浄化、水質測定 |
取手 | トリクロロエチレン等 六価クロム及びその化合物等 |
揚水処理、掘削除去、水質測定 |
坂東 | 1,1-ジクロロエチレン等 | 揚水処理、被覆、水質測定 |
長浜キヤノン | 六価クロム及びその化合物等 | 被覆(土壌改良剤による汚染)、水質測定 |
キヤノンでは、生体や環境へ影響をおよぼすPCB(ポリ塩化ビフェニル)について、法令に準拠し厳重に管理しています。
2016年12月現在、PCB廃棄物を保管している事業所は17拠点あり、そこで保管している高濃度のPCB廃棄物は、コンデンサー・トランス計57台、蛍光灯安定器計1,834個です。
これらについては、中間貯蔵・環境安全事業株式会社において順次廃棄処理が進められています。