インタビュー - Interviews -

永井 優香選手
インタビュー

カナダ杯で銅メダルと好発進
「経験で自信を得たシニア初シーズン」

文・野口美恵(スポーツライター)

今季からシニア本格参戦。初のGPシリーズとなるカナダ杯では堂々の銅メダルを獲得した永井優香選手。伸び盛りの17歳が、スケートへの思いを語った。

楽しみと不安があった初のGPシリーズ 「今できる精一杯のことをやる」
写真

今季はカナダ杯で銅メダルと、シニアの初戦で好スタートを切りましたね。しかもショートは2位発進でした。

初めてのシニアのGPシリーズでしたが、緊張感よりは「楽しもう」と思って会場入りしました。シニアの選手に負けそうと思うのではなくて、大舞台をたくさん経験している選手たちと、同じ舞台で戦えるのは嬉しいことですから。初のシニアの試合でショート2位になって、上位3人の会見に出られた事は本当に嬉しい経験でした。びっくりしました。

1本目の「3回転ルッツ+3回転トウループ」は見事に決まりましたね。

先生から「とにかく思い切ってやるように」と言われ、今までの練習を信じて思い切って滑ることができたと思います。滑り始めてからは、ちゃんと足首を柔らかく使って、スピードを出すスケーティングを心がけて、攻める気持ちで1本目のジャンプに臨みました。

カナダ杯に来る前は不調だったと聞いていましたが、その不安は感じさせませんでした。

そうなんです。カナダに来る直前は、シニアのGPシリーズに出られる楽しみの一方で、不安が急に増してきて、不調になっていました。でもいざカナダに来てからは、もう「今できることを精一杯やるしかない」と思っていました。ショートの前まで、練習の度に調子が良かったり悪かったり変化していたけれど、結果としてショートが上手くいき、これが良いきっかけになりました。「あまり調子とかを気にするのではなく、気持ち次第で結果はついてくる」ということを改めて感じられたんです。それでフリーも最後まで頑張れました。

フリーの方が、ショートよりも落ち着いていましたね。

実は、ショートは初めてのシニアということもあって「6分間練習でもたくさん練習しなきゃ」と思っていたんですね。それで本番直前にせかせか動いて、1本でも多くジャンプを跳んでおこうとして、焦ってタイミングが合わなくなっていたんです。それに自分で気付いたので、「フリーではもっとのんびり6分間の練習をしよう、むしろ調整するだけにしよう」と思いました。それが気持ちの面でも良かったと思います。

フリーはガッツポーズが出ました。

はい。先生からも「自分を信じて楽しんで」と言われて、その通りにできたと思います。他の人から見たら、ミスもあるしガッツポーズするような演技じゃないと思いますが、自分としては上手にまとめられたなと思ったので、ガッツポーズが出てしまいました。GPシリーズという大きい試合で、自分の今できることを発揮できたのは、自分の自信に繋がりました。表彰台とか点数とかは考えないで、ちゃんと演技すればそれなりの結果がついてくるものだな、と実感できました。

初のシニアへ、演技や滑りを意識 ジャンプにも責任感が現れる
写真

少し時間は戻りますが、オフの間はどんなトレーニングをしてきましたか。

やはりシニアのGPシリーズに出させていただくので、恥ずかしくない演技をできるようにする、というのが課題でした。特に、プログラムの曲かけを何度もやって、演技や滑りには意識を配りました。GPシリーズ2戦への出場が決まったことで、とても嬉しい気持ちと、でももっと頑張らなきゃという不安と、色々な気持ちでオフを過ごしました。

プログラムについて教えて下さい。ショートは?

ショートは『蝶々婦人』です。宮本賢二先生に振り付けていただきました。きれいな曲ですし、盛り上がる所もあるので、どんどん滑り込んで、シーズン後半までには緩急をつけたいです。賢二先生には、「腕の使い方をもっと大きく、伸ばすように」と言われます。あと蝶々夫人なので、女性らしい首の傾け方とかを、ちょっとこだわって教えてくれます。


フリーの曲は雄大な曲で、永井さんの持ち味を引き出してくれていますね。

『オーバスト・ラプソディ』という映画の曲で、ショートと違って元気なイメージの曲です。強さとか、柔らかさとか、優雅さとか、スピード感とか、色々な場面があるので、その変化をつけられるようにしたいです。こちらはカナダのシェイ=リーン・ボーンさんに振り付けていただきました。普段はやらない動きを沢山入れてもらったので難しいのですが、良い経験になるし、今後のスケートの幅を広げてくれるような演技になっています。ジャッジの前でのアピールも多いので、その時の表情などを細かく教えてくれます。

シニアに上がるうえで、ジャンプ面は何か工夫しましたか?

ジュニアだった昨季は、とにかくジャンプを降りることが目標でした。なので「3回転ルッツからの連続ジャンプ」をフリーの冒頭に2本いれて、ちょっと保険みたいにしていたんです。「どちらかは成功させる」というような気持ちでした。でも今年は1つは冒頭、1つは後半にしたことで、「両方ちゃんと決めないといけない、保険はないんだ」と思うようにしています。ジャンプが決まれば良いな、じゃなくて、責任感をもって跳ぶようにしています。ここが一番の差かなと思います。

全日本は落ち着いた演技で総合7位 「調子が悪くても、気持ちが大切」
写真

そして迎えた全日本選手権。昨季はジュニアからの特別出場で4位でしたが、今季はシニアの選手としての参戦です。

シニアの全日本選手権は2回目でした。昨季はジュニアだったので「出られて良かった」と思っていただけですが、今年はシニアとして出ることで、少し緊張がありました。去年の4位については全く意識していませんでした。とにかく今季は順位よりも、「良い演技をしたい、次に繋がる演技をしたい」と思っていました。

カナダ杯3位、ロシア杯8位という経験は生かされましたか?

「私はGPシリーズを2戦経験したんだ」ということを自分自身に言い聞かせて、不安な気持ちを抑えるようにしていました。ミスはありましたが、気持ちの面では良かったと思います。

ショートで「3回転ルッツ+3回転トウループ」を成功。この連続ジャンプは安定してきましたね。

実際には、札幌入りしてからとてもジャンプが不調で、曲かけの中では「3回転+3回転」が一度も決まっていなかったんです。不安はありましたが、カナダ杯でも経験したように、調子が良い悪いよりも気持ちの問題なんだ、と思うようにしました。全日本選手権という緊張の中では、まあまあの演技ができたと思います。

フリーは冒頭のジャンプ以外は、リカバーしながら落ち着いた演技で6位でした。

フリーは、今季一番の演技ができたと思います。でも最初のジャンプをしっかり跳ばないといけなかったので、悔しい気持ちは残りました。最初のジャンプのあとすぐに「1年間ちゃんと練習してきたのだから、できないことはないんだ」と自分に言い聞かせて滑りました。本番前から、「冒頭のジャンプをミスしたら、ここでリカバーしよう」と考えてあったので、あまり焦らずに最後まで滑り切ることができました。

シニアとして初の全日本選手権は、結果は7位となりました。

ジュニアとして参加した去年よりは、成長した部分を見せられたと思います。1年頑張ってきて良かったと改めて思います。昨季はジャンプのことばかり考えて滑っていたけれど、今季はジャンプ以外のことを考えられるようになってきたかなと思います。まだ、本番になると身体が緊張で思うように動かなくなることが多いので、そういう緊張感の中でも最低限のジャンプを決められることがシニアには必要だと思うので、繰り返し練習していきたいです。

改めてシーズン前半が終わりましたが、いかがでしょう?

まだシーズン前半は調子の波があって、練習でも集中できる日と、できない日に差がありました。そんな中でシニアのGPシリーズを2戦、その他にも沢山の試合に出させていただいたことで、試合経験も積めましたし、シニアの試合に慣れてくることができました。試合が良いペース作りにもなりました。特にGPシリーズ出場は自分の自信になりましたし、支えて下さっている方々、派遣して下さっている方々に、本当に感謝しています。シーズン後半も、頑張ります。

「大きなジャンプが武器」 焦らずに五輪を目指したい
写真

今後シニアで戦っていくうえで、自分では一番の武器は何だと思いますか?

やはり私の武器は、大きなジャンプ。ちゃんと降りられれば加点ももらえます。そこは自信をもってやっていきたいです。

昨季から高校生になり、練習時間も増えたそうですね。

はい。高校はスポーツクラスに入ったので、練習時間が倍になりました。1日4時間は滑っています。朝練に行って、学校に行って、午後も一般滑走で練習して、夕方にはリンクで宿題をします。そのあと夜練習です。スポーツクラスなので、皆が何かの競技をやっていますし、すごく支え合っている感じがあります。競技は違うけど、気持ちを高め合っていて、良い友人達がいっぱいいます。女子は新体操の選手が全国でも上位に入っていますし、それを見ていると自分も頑張ろうと思えます。

改めて2018年平昌五輪、またその先の五輪への可能性は見えてきたでしょうか?

五輪は夢ではないとは思いますが、まだまだ遠い存在です。でもまだ時間はあるので足りない部分をしっかり練習して、枠を争えるように、着実にレベルアップしたいです。人よりも不器用なので、何を身につけるにも時間はかかるのですが、焦らずに積み重ねていけば良いと感じています。もっと努力して、五輪を目指したいです。

写真

初のシニアシーズン。波はありますが、確実に成長していますね。

こうやって取材を受けたり、テレビに映ったりすると、私なんかが出ていいのかしら、と思う時もあります。でも出させていただける立場になったからには、皆さんの前に出ても恥ずかしくないような演技をすることが大切。自分の練習してきたことをお客さんにも観てもらえるのは、練習してきた甲斐があったなと思えます。これからも、もっともっと試合の瞬間を楽しんでいきたいと思います。

2015年10月カナダ杯、12月全日本選手権にて取材

インタビュー一覧へ
PAGE TOP