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2016年度(第39回公募)グランプリ選出公開審査会報告

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PRESENTATION

金 玄錫「私は毎日、顔を洗っています」

私の作品は主にスナップ写真で、ルールも決まりもなく、ただ撮りたいという欲求と直感に従って撮ったものです。周りのものを撮り続けながら、被写体が私に対して持つ意味を考えました。すると突然ひらめいたのは、存在するすべてのものは時間や状況によってその意味が変わるということ、意味というのはあくまで人間が決めたフレームの中に存在しているということです。

単純な欲求と直感によってできた写真は、文字や言葉で表現できない部分に代わる道具になり、私の考えを具現化してくれました。
写真を見ながら自分はこういう考えを持っているんだと思い、この考えが自分オリジナルのものなのか、それとも環境によって作られたものなのか、そしてこの環境は自分が選んだのか、自分の最終の選択は何だったのかというように、問いの中での葛藤を楽しみました。

作品にはすべて黒いフレームがあります。人間は自由に考えているようで実は環境や成長過程のフレームの中でしか考えられないということを表現したものです。

例外なく私もフレームの中にいて、それに合う考え方や行動をしているはずです。矛盾する社会で何が正しいかは正確に定義できませんが、写真を撮ってフレームを作り直しながら、その答えを見つけようとしています。

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審査員コメントと質疑応答

清水 穣氏

「あるフレームに何かを入れると、それは写真として成立する」という写真の本質のひとつをフレーミングに見る意味はわかります。でも金さんは、フレームに入れた写真をさらに3つずつ、1つのフレームに入れて展示しました。これにはどんな意味があるのですか。

(金)私が面白いと思った中国の熟語に「三人成虎」があります。真実ではないことも、多くの人が言えば、いつの間にか真実として広まるというたとえです。3枚あれば説得力が生まれ、見る人たちに対話が生まれ、見る立場によって見方が複雑になる可能性があると考えました。その複雑さが、自分の「決まりのない目線」と合っている気がして、3枚に決めました。

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柴田 敏雄氏

あなたの写真とあなたの関係は何となくわかったような気がしますが、それがすごく個人的な部分で収まっていて、展示を見た限りでは写真から何かが伝わるとか、何かを感じることはできませんでした。あまりにも観念的な何かを自分の中でまとめてしまっている感じで、もっと「見せる」ということに工夫されたほうがいいと思いました。

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PRESENTATION

  • 金 玄錫

    「私は毎日、顔を洗っています」

  • 櫻胃 園子

    「フィフティーン ミニッツ オブ フェイム」

  • 松井 祐生

    「hidden space, just like」

  • 高島 空太

    「2016」

  • 河井 菜摘

    「sampling time」

  • 金 サジ

    「物語」

  • 松浦 拓也

    「音響写真」

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