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2016年度(第39回公募)グランプリ選出公開審査会報告

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PRESENTATION

松井 祐生
「hidden space, just like」

私の作品のモチーフの1つは「記憶」です。写真とは記録であり、目の前に残したい何かがあるからこそ写真に収めるわけです。記憶もある種の記録であり、記憶という記録が今回のコンセプトになっています。

私の思い出といえば、ファーストデート。海に行き、浜辺を歩きました。すごくきれいだったのですが、夜が更けてきて、風が強くなり、水しぶきがばっと上がるくらいの波が目の前に広がっていました。それは怖いイメージだったのですが、後から思い出そうとすると、なぜかキラキラ、ウキウキしたイメージが浮かび上がります。そのウキウキした気持ちに、怖かった海のイメージが隠されてしまっている。そういうことが往々にしてあります。

今回の作品は、A3サイズのプリントの上にA4サイズのプリントを貼り付けています。あえてプリントを重ね、貼り付ける。上の写真で下の写真を隠すという行為によって、見る側の想像力がかき立てられ、2枚の写真の間に神秘的な関係性が生まれるのを感じたからです。

今はスマートフォンのカメラ機能などを使って誰でも気軽に写真が撮れ、SNSにアップするなどして残したいものを自由に発表できる時代です。そんな時代に写真家としては、美しいものを残していきたいと思っています。また、自分が今まで見たことのない、既視感のない新しい表現を作っていきたいと思っています。そのために、行ったことのない所に行ったり、会ったことのない人と話したりして、新しい経験を重ねていきたいと思います。

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審査員コメント

選者:エリン・オトゥール氏からのメッセージ

グランプリファイナル選出おめでとうございます。直接、展示作品を見ることができず、とても残念です。松井さんの作成したコラージュは、とても大胆で、写真の中で一際目を引かれるものでした。今後のさらなるご活躍をお祈りいたします。

澤田 知子氏

アナログな手法の中に、何か感覚的に伝わってくるものがあると思い、エリン氏ともそう話していました。撮影しているときは言葉では説明できなくても、心にひっかかるから撮る、でも時間が経つことで頭が整理されたり年齢を重ねたりして、自分の作品を理解できていくということがあります。プレゼンテーションは作家になっていくうえでとても大事なので、もう少し作品を客観的に見て、自分がどういうことをやりたくて、どういうことを表現しようとしているのかを話してほしかったです。

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PRESENTATION

  • 松井 祐生

    「hidden space, just like」

  • 高島 空太

    「2016」

  • 河井 菜摘

    「sampling time」

  • 金 サジ

    「物語」

  • 松浦 拓也

    「音響写真」

  • 金 玄錫

    「私は毎日、顔を洗っています」

  • 櫻胃 園子

    「フィフティーン ミニッツ オブ フェイム」

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