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2017年度(第40回公募)グランプリ選出公開審査会報告

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PRESENTATION

214「The collection of encounters」

私は中国・貴州で生まれました。私の写真は特別なものではありません。中国的な特性はありませんし、中国的な要素を入れようという意図もありません。ごく普通の日常です。写真とは、そもそも生活と日常に関わるものです。国籍に関係なく、私は記録したものを私流に見せています。

歌や踊りは人を変えると言いますが、写真もまた、同じことができると思っています。私は、カメラを私の触覚と考えました。体を解放し、感性を高め、いろいろなものに対する感度を上げていきました。そうするうちに、エネルギーの流れが見えるようになりました。いろいろな観点からものが見られるようになりました。

私の人生における美しい瞬間、喜び、美しい景色、痛み、やさしさ、こうしたすべてが私の作品に表れています。私はいつでも写真を撮れるように、小さいデジカメを携帯しています。私は写真をライフスタイルの一部として考えています。また退屈しのぎの道具であるとも思っています。

人生は複雑で、いろいろなものが織り重なっています。幸福と悲しみは共存します。生と死も繰り返されます。興奮と退屈は些細なところに存在します。私の写真は、そのような人生の氷山の一角に過ぎません。撮っていないものがまだたくさんある、そのことが、写真を撮り続けるモチベーションとなっています。

私は写真の専門的な教育を一切受けていません。しかし、アートは普通の生活の中に存在すると思っています。あるとき私は川辺で写真を撮っていました。あまりにも集中していて川の流れの音も耳に入りませんでした。我に返ると、その音が聞こえてきました。これは一種のアートだと思います。写真は真の喜びとエクスタシーを私にもたらしてくれます。

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審査員コメントと質疑応答

ダヤニータ・シン氏

一種奇妙な、素晴らしい目を持ってらっしゃると思います。私はあなたの作品の、赤い血が歯に染まった写真のイメージをずっと忘れることができませんでした。こうした資質を私は写真に求めています。このような、自分に取りついて忘れられない作品は本当に珍しいと思います。
しかし、今日展示を見て、強烈なイメージがいささか消えてしまったように感じました。写真を本に収めるべきか、壁に掛けるべきか。これはチャレンジングなジレンマになるのではないでしょうか。あなたの作品は、本にあるのと壁に掛かっているのとではまったくイメージが違います。あなたは自分の作品をどのように見せたいと思っていますか? どういった見せ方が一番いいと思っていますか?

(214)いちばん見せたい方法は、ディスプレイやパソコンで見せることです。私の写真は非常に大きいものなので、もっと拡大して見てほしいと思っています。

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清水 穣氏

ブックで見ていると、タイトルの「encounter」が一つずつ、残酷なものからハッピーでユーモラスなものまで一つずつ現れるので、214さんの感性やものの見方が一つ一つ感じられます。ですが、壁に展示することで“一つ一つ現れる”ということが奪われてしまうと、どのイメージも意外と既視感があるのです。その意味で、壁の展示は少し損をしたかなと思います。
それと、一つ一つのイメージは面白いのですが、全体として何がしたいのか、「生と死」といったコンセプトは大きすぎてテーマ性が見えません。一人の写真家がいろんな場面でencounterする瞬間がただランダムに並べられているので、所々で面白いけれど、全体としては何がしたいのかなという感じで終わったというのが僕の印象です。

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PRESENTATION

  • 喰田 佳南子

    「ほんの小さな 優しいこと」

  • 214

    「The collection of encounters」

  • 溝渕 亜依

    「ID」

  • 澤田 華

    「Gesture of Rally #1705」

  • トロン・アンステン & ベンヤミン・ブライトコプフ

    「17 toner hvitt」

  • 山口 梓沙

    「じいちゃんとわたし」

  • ジャンカルロ・シバヤマ

    「I traveled on an island」

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