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原田 要介

「 世界するもの 」

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2012グランプリ

ARTIST STATEMENT

世界するもの

「世界するもの」というタイトルで、この作品をまとめましたが、これらは「世界するもの」というテーマのために撮られた写真というよりは、写真という行為を通して、被写体となったものや、人、風景、現象、出来事が「世界するもの」として現れ、そこに日常の世界とはまた別の特殊な場が立ち上がるといったものです。美術大学にいたこともあって絵を描くこともしてきたのですが、「写真の見る」と、「絵の見る」では、行為者の感覚としては、大きく違う部分があります。
絵という行為では、視覚を凝縮してビームのように送りながら、見るという意識を対象に集中させていきます。作業を積み重ねていく中で、そこに自分の中にある何かしらが塊として現れてくることを求めています。
それに対して、写真という行為では、視覚はその場に浸透、拡散されていき、そこから見ている自分がなくなっていくように感じています。作品に写っているのは、私の意思とは関係なくそこにあるものが、ただ自分を通って外現れてきたものであり、自分の中から出てくるものはあまり込めきれない気がしています。自分は見るということの媒介者でしかないため、多くを対象に委ねなければならず、縁があってそこに居わせることができたという感覚の方が強いです。ぽろりと現実からこぼれ落ちては、見るということを宙ぶらりんにするもの。それを求めて自分を空気に溶かして、意識がそこになじむのを待ってます。今、ここの絶対的な瞬間を捉まえたいのではなく、その場を時間の軸から切り離して、ある程度の長さを持ったタームとしての時間の中で、見ているこちらと見られているそちらが鬩ぎあい始めます。距離を測りあぐねて意識が行き来するうちに、私と対象が混じり合う中間の場のようなものが発生します。視覚が目の奥へと引っ込んで、頭の後ろから眺めているような感覚になります。
そこに「ある」ということのそれ以上でもそれ以下でもないものを前に、対象へと向かう意識もいつの間にか抜かれてしまい、その何でもなさをすっと引いて見ています。作品を前に、ただいつまでも見ていられるような、見る人が見るということの意識をなくして、ただ見るということに入り込めるようなものになっていればいいなと思います。私は、基本的にあまのじゃくな性格のため、いろんなことを疑って見ているし、物事に対して斜に構えています。日常は堪え難い軽さと散漫さを伴って、膨大な新しらしさに溢れています。めまぐるしく更新されていく瞬間的な悦に身を任せて感覚が麻痺していくのを一時保留にして、自分の眼で、体験として、見るということをやりたいのです。写真という行為を通して、何でもない、ただの見るということに取り憑かれて、何もない、何もないと思いながらも、いろんなことを疑っては否定して、それでも最後には世界や自分をそのままで肯定してやりたいのだと思います。
消費されていくイメージとしてのものではない写真や作品が、社会とどう関わっていくのか。写真とは、美術とは、作品とは、作るとは、見るとは何なのか。分かるという言葉を使うならば、正直、何も分かりません。考えれば考えるほど、もはや分かりたいのかも分からなくなってくるのですが、関わり続けていくしかないのだと思います。もう見るということからは逃れられないし、見るを志向することからも逃れられません。私はもっともっとたくましい眼を持って、いろんな見るを感知できるようになりたいです。

応募作品形態:ファイル/大四切/カラープリント/58点

審査評 選:清水 穣

写真としてオーソドックスに優れているものを優秀賞にしました。タイトルは「Die Welt weltet」というハイデガーの言葉だと思いますが、世界が励起してくる瞬間を写真で表現するというコンセプトがあるわけです。世界は単に静的に存在しているのではなく、「存在する」という動詞的な出来事なのだ、と。その瞬間とは、隙間からあるものが覗いていたり、見えていなかったものが存在を主張してくる瞬間であり、日常が動詞的な有り様へと転変する、その契機です。さらに存在感のある男性、正面から捉えた女性の肖像などがうまく区切りとして挿入され、写真集としても強い印象を残します。世界が通常の意味関連から脱落し「世界する」という事件として立ち上がってきたイメージを定着させるという、写真の基本の在り方を、うまく結実させているように感じました。よく対象を見て、力まずうまく写真として成立させていて、新しい才能の閃きと言うよりは、派手さはないけれども実力があるなという感じ。オーソドックスだけど、なかなかありません。

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PROFILE

原田 要介Yosuke Harada

1982年 佐賀県生まれ
2007年 多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科卒業
2012年 写真新世紀[第35回公募]優秀賞(清水 穣 選)、「写真新世紀東京展2012」グランプリ
(2012年当時)
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2012グランプリ

原田 要介

世界するもの

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