環境マネジメント
基本的な考え方

キヤノンの環境保証の考え方

キヤノンは、「サステナビリティの考え方」のもと、環境分野においては「キヤノングループ環境憲章」「キヤ ノン環境ビジョン」にもとづき、地球環境の保護保全に取り組んでいます

キヤノングループ環境憲章
キヤノングループ環境憲章
キヤノン環境ビジョン
キヤノン環境ビジョン

環境マネジメントの有効性の確認

キヤノンでは、内部環境監査を通じて環境マネジメントシステムの有効性を確認しています。内部環境監査は、サステナビリティ推進本部が実施する「本社環境監査」と各事業拠点・事業本部の監査部門が実施する「事業拠点環境監査」「製品環境監査」からなり、一部の拠点では拠点間の相互監査を実施しています。年間を通した内部環境監査の結果は、サステナビリティ推進本部のグループ監査統括部門がまとめ、マネジメントレビューの情報としてキヤノン(株)代表取締役CEOおよび代表取締役CFOに報告しています。2022年も重大な不適合や違反がないことを確認し、継続的改善および未然防止の観点から運用管理上の軽微な指摘事項についても改善対応を行っています。

ISO14001 統合認証の取得(外部審査)

また、環境マネジメントシステムの有効性について、第三者の客観的な評価を受けるため、国内外の生産・販売会社のうち、事業運営上認証取得が必要な拠点においてはISO14001統合認証を100%取得しています。2022年時点で、キヤノン(株)および世界40の国・地域のグループ会社(合計120社/564拠点)がISO14001統合認証を取得し、審査機関から「キヤノングループ全体として事業環境が大きく変化している中、新たな事業領域への展開を見据えた新たなリスクや機会を特定し、EMSに展開している」と肯定的な評価を受けています。グループ全体での統合認証の取得は、ガバナンスの強化とともにキヤノンにおける環境マネジメントの効率的な運用につながっています。このしくみの中でサステナビリティ推進本部は、グループ全体の環境保証活動を統括し、マネジメントレビューを通じて活動の進捗状況をキヤノン(株)代表取締役CEOならびに代表取締役CFOに報告し、承認を得ています。

ISO14001統合認証取得状況

経営と連動した環境業績の評価

環境業績評価は、事業本部、事業拠点、販売会社の各組織の環境活動の実績を年2回、評価・評点化するもので、経営状況などの実績とあわせて評価される「連結業績評価制度」に2001年から組み入れられています。本評価は、サステナビリティ推進本部が評価基準を策定、評価するもので、連結業績評価の総得点中約10%を占めています。評価基準は、主に「法規制・社内基準の遵守」「環境目標の達成状況」「製品の環境パフォーマンス改善実績」「環境コミュニケーション」などであり、評価結果は半期ごとにグループ内で発表されます。その評価は組織責任者である各事業の事業本部長、生産および販売会社の社長の評価として活用されます。このように、キヤノンでは、環境を経営評価の一部として取り入れています。

環境業績評価の流れ

環境業績評価の流れ図

目標達成の進捗管理

各事業拠点はエネルギー使用量(CO2排出量)、廃棄物排出量、化学物質排出量、水使用量を月次ベースでキヤノン下丸子本社のサステナビリティ推進本部・環境統括センターに報告します。サステナビリティ推進本部はそれを集計し、目標達成への進捗をモニターしています。集計結果は毎月役員、事業部門長、国内外の主要グループ会社のトップに報告されます。また、評価・特定されたリスクは、ISO14001によるグループ内共通の環境マネジメントシステムのしくみの中で、環境保証活動のPDCAサイクルで管理しています。

環境法規制の遵守および苦情への対応

キヤノンでは、グループ一体となった環境マネジメントを実践した結果、2022年も環境に重大な影響を与える事故や重大な法規制違反はありませんでした(水質/水量基準含む)。

なお、事業拠点において、騒音などに関する苦情がありましたが、適切に対応し対策を完了しました。

リスクと機会

私たちの生活は豊かになる一方、気候変動や資源の枯渇、有害物質による汚染や生物多様性の低下など、さまざまな環境課題が存在しています。こうした課題に対し、世界ではカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に向けた議論が加速しています。企業は各環境課題がもたらす事業活動への影響を認識した上で、国や自治体、専門家などのステークホルダーと連携しながら、課題の解決に貢献していくことが重要ととらえています。キヤノンでは、専門機関や政府機関からの情報をもとに変化する社会の姿をさまざまに想定し、事業上のリスク・機会を特定しています。

気候変動領域における主なリスク・機会

リスク機会 リスク・機会の概要 財務影響 対処
リスク 移行リスク 省エネルギー規制の強化と対応コストの増加(製品・拠点)
  • 製品ライフサイクル全体での負荷削減を指標とした環境総合目標の達成
  • 環境規制動向に関する情報収集・分析・適合
経済的手法を用いた排出抑制(炭素税など)による事業コストの増加
  • 拠点エネルギー目標の達成
  • 開発・生産・設備・環境部門が連携し、各事業所の省エネ活動を推進
物理リスク 台風や洪水被害の甚大化など異常気象の深刻化による操業影響
  • BCPの策定、高リスク事業拠点の高台移転
評判リスク 情報開示の不足による外部評価の低下
  • 気候変動対応への考え方・取り組み状況の開示
機会 製品・サービス 省エネルギー製品をはじめライフサイクル全体でのCO2排出量が小さい製品に対する販売機会の拡大
  • 製品ライフサイクル全体での負荷削減を指標とした環境総合目標の達成
  • 省エネ性能と使いやすさを両立させた製品の開発・製造・販売
ハードとソフトの両面から革新を支えるさまざまな製品・ソリューションの販売を通じた社会全体のCO2削減への貢献
  • 製品ライフサイクル全体での負荷削減を指標とした環境総合目標の達成
資源の効率 生産や輸送の高効率化によるエネルギーコストの削減
  • 拠点エネルギー目標の達成
  • 高効率設備や輸送手段への切り替え・新規導入
エネルギー源 再生可能エネルギーの低コスト化による活用機会の拡大
  • 再生可能エネルギーへの切り替え
その他 気候関連情報の開示促進による企業イメージの向上
  • 気候変動対応への考え方・取り組み状況の開示

各課題領域における主なリスク・機会

  リスク 機会
資源循環 移行リスク
  • 資源制約による原材料調達コストの増加
  • 資源効率要求の規制化と対応コストの増加(製品・サービス)
  • 各地域における使用済み製品の回収・処理コストの増加
  • 資源効率の向上による事業活動でのコスト削減
  • 3R設計ならびに資源循環を促進する先進的技術による競争力向上
  • 循環型社会に貢献する製品・消耗品に対する需要の増加(リマニュファクチュアリング製品など)
  • 資源循環に対する先進性アピールによる企業イメージの向上
  • 資源循環の取り組みによるCO2削減効果の創出という価値の提供
物理リスク
  • 異常気象による水の安定供給の阻害と操業影響
評判リスク
  • 資源循環への対応遅れによる企業イメージの低下
化学物質
  • 規制の強化・拡大にともなう化学物質管理コストの増大
  • サプライヤーでの不祥事にともなう操業停止と部品調達の寸断
  • 規制への対応漏れによる企業イメージの低下
  • 管理の高度化による安心・安全な製品の提供と競争力維持
  • サプライチェーンを含めた管理の効率化によるコスト削減
  • 国際標準化への貢献を通じた企業イメージの向上
生物多様性
  • 森林資源の減少による印刷用紙の供給減と高価格化
  • 地域の生態系バランスが崩れることによる事業活動の制約
  • 生態系保全への自社製品や技術の活用
  • 地域社会への貢献を通じた企業イメージの向上