野鳥の撮りかた26

ミラーレスカメラの仕組みを理解しよう

近年主流となっているミラーレスカメラ。ここからは、ミラーレスカメラの基本的な使い方から撮影のコツまで、ご紹介します。

ケイマフリ

崖の上からケイマフリの帰巣を狙う。遠目に海上から飛翔してくる姿を確認したらファインダーにケイマフリを入れてシャッターを半押しするだけで、あとはカメラがピントを合わせ続ける。ファインダーからケイマフリが外れないように全集中すれば電子シャッターの秒間約30コマが想像を超えた飛翔姿を記録してくれる。

絞り : F8
シャッタースピード : 1/2500秒
ISO感度 : 500
ミラーレスカメラ(フルサイズ)
手持ち撮影

一眼レフカメラとミラーレスカメラの違い

現在は一眼レフカメラからレンズ交換式ミラーレスカメラが主流になっています。「野鳥の撮りかた24」までは主に一眼レフカメラでの野鳥撮影について書いてきました。「野鳥の撮りかた25」ではミラーレスカメラについて紹介していますが、前説明が少ないことで理解しづらくなっているかもしれません。ここからはミラーレスカメラでの野鳥撮影について説明をしていきます。


一眼レフカメラは、レンズから入った光をカメラ内のミラーに反射させ、カメラ上部にあるペンタプリズム等を通して逆像を正像にして光学式ファインダーで確認します。
ミラーレスカメラは読んで字のごとしで、構造的にミラーがありません。これによりコンパクトかつ軽量化が可能となります。

一眼レフカメラ
ミラーレスカメラ

一眼レフカメラは、光学ファインダーを使用しているので、周囲が暗くなるとファインダー像も見えにくくなります。また、薄暗い状況では自動的にピントを合わせるオートフォーカス(AF)が思うように機能しないこともあります。さらに、暗い場所で「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」を変更してもファインダーの明るさは変わりません。

一方、ミラーレスカメラは電子ビューファインダーを使用しているので、暗い場所でも「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」を変更することでファインダー像の明るさが変わります。

メニューでファインダーの明るさを調整して、明るい画像を確認することもできます。
ミラーレスカメラのファインダーで見えるものは、モニターと同じものだと思えばいいでしょう。


ツバメのねぐら

光学ファインダーは、周囲が明るい時は見やすいが、周囲が暗いとファインダーでの確認がしにくくなる。

絞り:F7.1
シャッタースピード:1/125秒
ISO感度:8000
焦点距離:500㎜
ミラーレスカメラ(フルサイズ)
スポット1点AF
動物優先

ツバメのねぐら

電子ビューファインダーは、周囲が暗くても「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」のどれかを調整をすることでファインダーの中の明るさを変えることができる。また、サーボAFは暗くなると精度が低くなる傾向にあるが、暗すぎる場合はワンショット AFが有利になる。

絞り:F7.1
シャッタースピード:1/60秒
ISO感度:25600
焦点距離:500㎜
ミラーレス機(フルサイズ)
スポット1点AF
動物優先

ツバメのねぐら

実は、この電子ビューファインダーに出会ったことで、私はすぐにミラーレスカメラへ移行しました。当時のミラーレスカメラはまだ高速連写機能などが弱く、現在のように大きく進化する前で野鳥撮影には厳しい状況ではありましたが、「暗い場所でもファインダーをのぞいて正確なAFを使える」ことを優先したのです。


選択できるシャッター方式

今まではシャッター方式を選ぶことができませんでしたが、ミラーレスカメラでは3種類のシャッター方式を選ぶことができます。

1.メカシャッター

フォーカルプレーンシャッター(先幕・後幕の2つの幕を物理的に動かすシャッター)を使って撮影する、一眼レフカメラと同じシャッター方式。素速い動きの被写体を撮影するときの歪み(ローリング歪み)が少ない。ただし、撮影時に実際のシャッター羽が動作するため、電子シャッターと比べ、作動音がします。電子シャッターに比べ連続撮影枚数は少なくなり、連続写真を撮るときには「コマ落ち」と呼ばれる抜けが目立ちます。シャッターが切れるたびに画像が一瞬消える現象(ブラックアウト)が起きるため、飛翔中の鳥をファインダーに大きく捉えた場合は連写中に見失うことがあります。

ノスリ

青空を背景に、ある程度の大きさで鳥を撮影する場合、全域AFでのトラッキングで素早く被写体を捉えることができる。また、瞳AFを使用するとノスリの目にピントを合わせたトラッキングが行われる。
翼の動きが激しくない場合、ローリングシャッター歪みは起きない。

絞り:F11
シャッタースピード:1/2000秒
ISO感度:640
焦点距離:600㎜(1.6クロップ)
ミラーレスカメラ(フルサイズ)
ラージゾーン点AF(横)
動物優先
手持ち撮影

ノスリ

サシバ

青空バックに、ある程度の大きさで鳥を撮影する時は、全域AFでのトラッキングで素早く被写体を捉えることができる。また、瞳AFを使用するとサシバの目にピントを合わせたトラッキングが行われる。

メカシャッターの場合、素早い羽ばたきでも自然な形の翼を撮影できる。
しかしファインダーに大きく鳥を入れた場合、メカシャッターではシャッターが切れるたびに画像が一瞬消える現象(ブラックアウト)を起こすため連写中に見失うことがある。ズームレンズの場合はこの写真よりももう少し広めに捉えておくと見失う確率は低くなる。

絞り:F8
シャッタースピード:1/2000秒
ISO感度:800
焦点距離:1000㎜
ミラーレスカメラ(フルサイズ)
ラージゾーン点AF(横)
動物優先
手持ち撮影

サシバ

2.電子先幕

先幕は電子的、後幕はメカシャッターを使用するシャッター方式。メカシャッターよりも高速で連続撮影が可能です。「ローリング歪み」を回避したいときは電子先幕が有効です。電子シャッターとメカシャッターの中間的な感じ。

ルリビタキ

ルリビタキが羽ばたいた時のローリング歪みを回避するために電子先幕を使用。

絞り:F5.6
シャッタースピード:1/250秒
ISO感度:800
焦点距離:700㎜
ミラーレスカメラ(フルサイズ)
領域拡大点AF上下左右
動物優先
三脚使用

ルリビタキ

3.電子シャッター

メカ動作がないため非常に静かで、他のシャッター方式よりも高速での連続撮影ができます。また、機種によっては連写中のファインダーのブラックアウトを抑制する機能が使用できます。ただ、機種によってはローリング歪み(後述)が出ることがあります。

アカヒゲ

手ブレ補正機能がない時代には、手ブレを防ぐために、焦点距離が500㎜ならシャッタースピード1/500秒が絶対に必要だと言われていたが、現在は手ブレ補正機能の強化で、もっとシャッタースピードが遅くても手ブレを補正できるようになった。

絞り:F7.1
シャッタースピード:1/40秒
ISO感度:800
焦点距離:200㎜
ミラーレスカメラ(APS-C)
全域AF
動物優先
手持ち撮影

アカヒゲ

ローリング歪みとは?

電子シャッター使用時は、撮像素子の信号読み込みに時間差が生じるため、機種によっては画像が斜めに歪む「ローリング歪み(こんにゃく現象)」が発生することがあります。この場合は電子先幕などにすることで歪みを抑えることができます。どうしても気になる場合はメカシャッターに切り替えるといいでしょう。

コシアカツバメ

コシアカツバメが巣材の泥をくわえて飛び立つところを、高速連写20コマで狙う。
目にピントの合った飛び立つシーンを撮ることができたが、ローリング歪みにより両翼が不自然な動きと形になってしまった。

絞り:F10
シャッタースピード:1/2000秒
ISO感度:400
焦点距離:700㎜(1.6クロップ)
ミラーレスカメラ(フルサイズ)
全域AF
手持ち撮影

コシアカツバメ

オオアジサシとウミネコ

高速で飛翔するオオアジサシを、レンズを振って高速連写すると、前後の杭がものすごく歪んでしまった!オオアジサシの動きに合わせてレンズを振ったことで翼は歪んでいない。杭や電柱、家屋がバックに入らない場合は、自然な写真を撮ることもできる。どうしても気になる場合は、メカシャッターか電子先幕に切り替えることも可能。

絞り:F13
シャッタースピード:1/3200秒
ISO感度:2000
焦点距離:700㎜
ミラーレスカメラ(APS-C)
全域AF
動物優先
三脚使用

オオアジサシとウミネコ

野鳥撮影はどのシャッター方式が有利?

先に書いた3種類のシャッター方式のうち、私は電子シャッターをメインに使っています。しかし電子シャッターの場合、ローリング歪みが出ることがあります。機種によっては、小鳥の激しい翼の動きや高速流し撮りでレンズを振る撮影では、電柱や家などが斜めに写ってしまうものもあります。この場合、メカシャッターか電子先幕に切り替えればローリング歪みを防ぐことができますが、電子シャッターに比べて連続撮影枚数が減ることで「コマ落ち」が起き、連続する動きを写すことが難しくなります。
電子シャッターでも空や斜面バックなど羽ばたきの少ない「滑翔」に近い状態であれば、翼の歪みは感じません。また、電柱など垂直な物が写りこまなければ普通の写真を撮ることができます。機種にもよりますがケースバイケースで使い分けるといいでしょう。

野鳥の撮りかた