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事業戦略

  • オフィスビジネスユニット
  • イメージングシステムビジネスユニット
  • メディカルシステムビジネスユニット
  • 産業機器その他ビジネスユニット

オフィスビジネスユニット

オフィスにおける生産性向上のニーズに応える製品やサービスの提供を通じて、お客さまがより快適に働けるオフィス環境の実現をめざします。

事業環境

近年ではモバイル機器の普及や、ワークフローのデジタル化によりペーパーレスが緩やかながら進展し、複合機やレーザープリンターなどを使用したオフィスでのプリント機会は減少傾向にあります。その一方で、多くの企業で働き方が見直されている中、オフィス業務の生産性向上を実現するソリューションへの関心が高まっています。また、IoTの進展に伴い情報漏えいのリスクが増大する中で、セキュリティ対策のニーズがさらに高まっています。

プリント機会の減少は見込まれるものの、紙への印刷の需要がなくなることはなく、クラウド連携などデジタル技術との融合により、プリント機能をもつオフィス機器の可能性はさらに広がると考えています。

めざすべき姿に向けた取り組み

キヤノンでは、オフィス業務効率化に対するニーズの高まりに応え、クラウドソリューションなどのネットワーク機能の充実により、円滑でスピーディーなビジネスコミュニケーションを実現する製品やサービスを提供していきます。 また、オフィス機器の状態をリモートで把握するオンラインサポートや交換パーツの長寿命化により、メンテナンスの頻度を減らし、お客さまの時間とコストの負担軽減を実現します。さらに、世界的に環境への意識が高まる中、省エネルギー設計や軽量・小型化をさらに加速させ、より環境負荷の低い製品の提供を続けています。

2019年の業績

複合機は、セキュリティの強化や外部クラウド連携の拡張により利便性を高めた「imageRUNNER ADVANCE Gen3 3rd Edition シリーズ」の売上が堅調に推移したほか、コンパクトながら高品質の印刷物が出力できるプロダクション機「imagePRESS C165」を、これまでカバーできていなかった企業内印刷市場へ投入しました。

レーザープリンターについては、欧州や中国の景気減速の影響を受け、減収となりました。こうした厳しい事業環境下でも、従来より低温で紙に定着するトナーを新たに開発し、さらなる省電力化を実現した新製品を投入し、中高速機の販売は堅調に推移しました。

商業印刷分野では、成長率の高いポスターやカタログなどのグラフィックアーツ向けに新製品を投入し、幅広い用紙への対応力や高画質が評価され、販売は堅調に推移しました。

これらの結果、当ユニットの売上高は、前期比5.8%減の1兆7,026億円となり、営業利益は前期比23.5%減の1,689億円となりました。

売上高

営業利益/営業利益率

  • 2018年より適用している年金会計基準変更影響に伴い、「営業利益」と「営業外収益及び費用」で組み替え処理を行っており、法定開示資料とあわせて2017年まで遡及して反映しています。
  • 2018年より、従来、オフィスビジネスユニットに含めて開示していた一部のビジネスを産業機器その他ビジネスユニットに含めて開示しており、法定開示資料とあわせて2017年まで遡及して反映しています。

今後の戦略

複合機の市場は、オフィス業務効率化のニーズの高まりにより高機能製品の需要が増えていることに加え、新興国を中心にカラーシフトが進み、今後も引き続き堅調に推移する見通しです。2020年もユーザーのニーズを捉えた新製品を順次投入し、ハードウェアとソリューション一体での販売を加速させていきます。また、カラー機やプロダクション機などの拡販を進め、収益力の強化を図っていきます。

レーザープリンターの市場は、中期的には緩やかに減少する見通しですが、2020年はそれに加えて新興国経済の減速の影響が見込まれています。こうした市場環境下においても消耗品を安定的に販売するべく、プリントボリュームが多い中高速機を積極的に販売していきます。そのために、開発期間をこれまで以上に短縮し、機能を高めた製品を継続的に投入しユーザーの利便性向上を図っていきます。

イメージングシステムビジネスユニット

人々のコミュニケーションを支え、忘れられない体験や感動の瞬間を切り取り、伝える。
キヤノンは、培ってきたイメージング技術をさらに進化させ、人々の暮らしを豊かにしていきます。

事業環境

デジタルカメラの市場は、スマートフォンのカメラ機能の向上に伴い、エントリー機を中心に縮小を続けています。こうした中でも、プロフォトグラファーやハイアマチュアユーザーからは、フルサイズセンサーや交換レンズによる豊かな表現力をもつ高機能なカメラが求められています。

インクジェットプリンターの市場は、モバイル機器の普及に伴い、先進国を中心に家庭でのプリント需要は減少しているものの、経済発展が続く新興国では、プリントボリュームが多いユーザー向けに、大容量インクタンクモデルの拡大が見込まれています。

めざすべき姿に向けた取り組み

キヤノンは、創業以来培ってきた光学技術や画像処理技術など、イメージング技術の強みを生かして、カメラの性能をさらに向上させるとともに、新たな領域での用途拡大を図っていきます。

レンズ交換式カメラでは、高速で動く被写体の撮影や、夜景のように明暗の差が大きい場面での撮影など、あらゆる撮影環境に対応するカメラの開発に注力しています。カメラの性能向上を通じて、感動の一瞬を切り取るスポーツフォトグラファーや忠実な色再現性を求めるハイアマチュアが表現力や創造力を発揮できる環境をつくり、文化やスポーツ、芸術の発展に貢献していきます。

また、これまでのカメラの概念にとらわれない新コンセプトカメラの開発も進めています。特定の機能やシーンに特化し、スマートフォンとの差別化を図ったカメラを投入し、新たなニーズの掘り起こしを進めていきます。

加えて、カメラの技術を応用し、BtoB分野へと事業領域を拡大していきます。車載や工業用など情報を収集する入力機器として、スマートモビリティやスマートファクトリーの実現に貢献していきます。

2019年の業績

レンズ交換式カメラでは、市場縮小の影響を受けて全体の販売台数は前年を下回りましたが、ラインアップの拡充を進めるミラーレスカメラについては、2019年に新製品3機種を投入し、販売を伸ばしました。コンパクトカメラについても販売台数は前年を下回りましたが、「Powershot Gシリーズ」などの高付加価値製品の販売に注力し、収益性の改善を図りました。

インクジェットプリンターの市場は、先進国のホーム向け製品の縮小に加え、これまで市場を下支えしてきた新興国の景気減速も重なり、キヤノンも減収となりました。

これらの結果、当ユニットの売上高は、前期比16.8%減の8,074億円となり、営業利益は前期比62.0%減の482億円となりました。

売上高

営業利益/営業利益率

  • 2018年より適用している年金会計基準変更影響に伴い、「営業利益」と「営業外収益及び費用」で組み替え処理を行っており、法定開示資料とあわせて2017年まで遡及して反映しています。
  • 2019年より、従来、イメージングシステムビジネスユニットに含めて開示していた一部のビジネスを産業機器その他ビジネスユニットに含めて開示しており、法定開示資料とあわせて2018年まで遡及して反映しています。

今後の戦略

レンズ交換式カメラについては、引き続きフルサイズミラーレスのラインアップを拡充していきます。これまでに投入した「EOS R」「EOS RP」に加えて、より高機能なモデルを投入するとともに、レンズのラインアップもさらに強化し、プロやハイアマチュアのニーズに応えていきます。

また新コンセプトカメラについては、2019年にアウトドアに適したカラビナ型デザインの超小型カメラ「iNSPiC REC」を発売しました。今後も従来の価値に捉われない新しいカメラを通じて、より多くの人に撮影する楽しみを提供していきます。

インクジェットプリンターについては、大容量インクタンクモデルのラインアップ拡充を進めることで、中期的に成長が見込まれる新興国の需要の取り込みを図っていきます。

メディカルシステムビジネスユニット

画像診断装置や医療ITソリューション、体外診断システムなどの製品やサービスの提供を通じて、世界中のすべての人々が質の高い医療を享受し、健やかに生活できる社会に貢献していきます。

事業環境

先進国を中心とする高齢化の進展や新興国における経済水準の向上を背景に、疾病予防や早期診断・早期治療へのニーズが高まり、当ユニットの主力事業である画像診断装置の市場は、中期的に安定成長が続く見込みです。また、それに伴い医療現場における情報は膨大なものとなっており、それらを有効活用し、医療従事者の負荷軽減や診断支援に貢献する医療ITソリューションの需要が増加しています。こうしたニーズの高まりは、画像診断装置やAI技術、画像解析技術に強みをもつキヤノンにとって、事業拡大の機会であると捉えています。

一方、医療インフラの整備を進める新興国を中心に、自国の医療機器企業を育成する動きや、異業種企業による医療IT分野への参入など、新興メーカーの台頭による競争激化が見込まれています。

めざすべき姿に向けた取り組み

キヤノンは、画像診断技術を生かし、人々が健やかな生活を送ることができる社会への貢献をめざしています。

画像診断装置では、ディープラーニングを活用した画像再構成技術によって、より高精細な画像を提供するとともに、被ばく量の低減や撮影時間の短縮、装置の静音化など、患者さんの負担軽減に貢献しています。加えて、精度の高い検査を迅速かつ容易に行うことができる体外診断装置や感染症検査システムのラインアップを拡充し、より多くの人々が早期に検査を受けられる環境の整備を進めています。

また、AIを活用した画像解析技術によって、膨大な診断画像から病気につながる箇所を高精度で自動検出する医療ITソリューションの開発を進めています。高齢化に伴う患者数の増加や医療の高度化により増大する医療従事者の負荷を軽減するとともに、診断精度の向上を図っていきます。

2019年の業績

主力の画像診断装置においては、これまで数年かけてラインアップの刷新を図ってきており、2019年の売上は、一連の新製品が販売を伸ばしたことで対前年増収となりました。

CT装置では、上位機種にも採用されているノイズ低減技術を標準搭載しながら、高いコストパフォーマンスを実現した普及機を新興国向けに投入したことで、価格や機能などさまざまな顧客ニーズに対応できる製品が充実し、新たな顧客の取り込みにつながっています。

これらの結果、当ユニットの売上高は、対前期比0.2%増の4,385億円、営業利益は、対前期比7.3%減の267億円となりました。

売上高

営業利益/営業利益率

  • 2018年より適用している年金会計基準変更影響に伴い、「営業利益」と「営業外収益及び費用」で組み替え処理を行っており、法定開示資料とあわせて2017年まで遡及して反映しています。

今後の戦略

まず、主力の画像診断装置において、さらなるラインアップの拡充を図るとともに、海外を中心に販売力強化に重点的に取り組み、売上を伸ばしていきます。特に米国は、最大かつ最先端の医療市場であり、導入実績が他地域にも波及する効果が期待できるため、人員を大幅に増強することで商談件数を増やし、シェアを高めていきます。また新興国では、政府が進める医療インフラの整備に貢献すべく、現地メーカーとの連携を強化しながら、より多くの人に質の高い医療を提供できるよう、普及に取り組んでいきます。

また、2018年には、アクトメッド社を子会社化し、遺伝子解析事業サービス参入への一歩を踏み出し、2019年には、国立大学法人 京都大学iPS細胞研究所と、高品質な自己由来iPS細胞の実現に向けた共同研究を開始しました。今後もバイオサイエンスを中心に、成長分野を見極めながら事業の領域拡大を図っていきます。

産業機器その他ビジネスユニット

産業機器

キヤノン独自の光学技術や画像処理技術を産業用の機器に応用することで、ものづくりの現場を支え、産業イノベーションの推進に貢献します。

事業環境

IoT、ビッグデータ、AI、ロボットなどの技術革新の進行により半導体デバイスは多様化しており、半導体露光装置の市場は今後も拡大すると見込まれています。また、大型化・フォルダブル化が進むスマートフォンや、4K・8K放送への移行が進むテレビなど、高精細パネル向けの堅調な投資により、FPD露光装置や有機ELディスプレイ製造装置への投資も増加する見通しです。これらの装置の需要はお客さまの設備投資サイクルの影響を受けるものの、中長期的には確実に拡大する見込みです。

めざすべき姿に向けた取り組み

キヤノンは、産業機器を通じて、IoT時代をけん引する半導体デバイスやディスプレイの製造に貢献していきます。

半導体露光装置においては、製品ラインアップを強化・拡充するとともに、機能や性能をタイムリーに提供することで、お客さまの生産性向上に寄与していきます。また露光方式以外にも、新たな技術「ナノインプリントリソグラフィ」により、回路パターンの微細化と低コストを両立する次世代装置の実用化も進めています。

キヤノントッキの有機ELディスプレイ製造装置についても、他社の追随を許さない技術力を今後さらに高めていくと同時に、大型パネル用装置の開発を進めていきます。

2019年の業績

半導体露光装置は、IoTの進展に伴いセンサーなどへの投資は堅調であったものの、メモリー価格の下落による投資抑制の影響で、販売台数は対前年で減少しました。FPD露光装置についても、スマートフォンの販売の伸び悩みにより中小型向けへのパネルメーカーの投資抑制が続き、前年から販売台数は減少しました。

有機ELディスプレイ製造装置については、スマートフォンパネルへの投資が調整局面にあったことから、対前年で減収となりましたが、装置の設計段階から仕様の標準化を進めて徹底的なコストダウンを図ることで、収益性の強化を進めました。

今後の戦略

半導体露光装置の市場は、メモリー市況の回復や、センサーなどメモリー以外の半導体デバイスの拡大により、需要は高い水準で推移すると見ています。キヤノンは半導体メーカーの多岐にわたる要望に引き続き柔軟に対応することで高い競争力を維持し、販売台数を伸ばしていきます。

FPD露光装置については、大型テレビ向けの高精細パネルへの高い需要が期待できます。キヤノン独自の一括露光技術を生かし、パネルメーカーの需要を捉えることで、引き続きシェアの向上を図っていきます。

有機ELディスプレイ製造装置については、次世代通信規格5Gの本格展開によるスマートフォンの買い替え需要により、有機ELディスプレイへの投資が増加すると見込んでいます。今後も高精細技術に一層磨きをかけ、圧倒的なシェアを堅持していきます。


ネットワークカメラ

ネットワークカメラと映像解析ソフトウエアの進化を通じて、ネットワーク映像ソリューションを拡大し、安心・安全な社会づくりにとどまらず、マーケティングや製造などの分野へも貢献していきます。

事業環境

世界各地で発生する犯罪や自然災害など、人々の暮らしやビジネスの安心・安全を妨げる脅威は多様化しています。これらに対応するために、安心・安全な暮らしを守る新たなインフラの整備が、さまざまな場面で求められています。

めざすべき姿に向けた取り組み

キヤノンは高機能・高画質なネットワークカメラと、高速に処理できる映像解析ソフトウエアを通じて、安心・安全な社会づくりへの貢献に取り組んでいます。カメラ、ビデオ管理ソフトウエア、映像解析ソフトウエアの各分野のリーディングカンパニーである、アクシス、マイルストーン、ブリーフカムをグループに迎え入れ、製品ラインアップとソリューションの拡充を図っています。今後はセキュリティ用途だけでなく、マーケティング、製造、スポーツイベントなどの分野でニーズの拡大が見込まれており、各分野での課題解決に向けたソリューションを強化していきます。

2019年の業績

セキュリティ用途において最も重視される感度や解像度を高めた製品が、公共機関や大企業などの大型案件を中心に販売を伸ばし、増収を達成しました。また、撮影したデータを圧縮することでデータ伝送のコストを抑え、暗闇で動く被写体をより鮮明に映し出す新しい映像処理チップを搭載した新製品が、売上に貢献しました。

今後の戦略

キヤノンは、カメラの性能を強化するとともに、ますます高まりを見せている映像解析のニーズに対応していきます。これまでも、数千人をリアルタイムにカウントできるソフトウエアなどを投入してきましたが、今後も映像解析ソリューションのラインアップをさらに充実させていきます。また、アクシスは世界中で9万社に及ぶパートナーを有しており、その強固なネットワークを生かし、さらなる拡販を図ります。

2019年の産業機器その他ビジネスユニットの業績

当ユニットの売上高は、前期比12.5%減の7,379億円となり、営業利益は前期比72.2%減の155億円となりました。

売上高

営業利益/営業利益率

  • 2018年より適用している年金会計基準変更影響に伴い、「営業利益」と「営業外収益及び費用」で組み替え処理を行っており、法定開示資料とあわせて2017年まで遡及して反映しています。
  • 2018年より、従来、オフィスビジネスユニットに含めて開示していた一部のビジネスを産業機器その他ビジネスユニットに含めて開示しており、法定開示資料とあわせて2017年まで遡及して反映しています。
  • 2019年より、従来、イメージングシステムビジネスユニットに含めて開示していた一部のビジネスを産業機器その他ビジネスユニットに含めて開示しており、法定開示資料とあわせて2018年まで遡及して反映しています。