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事業戦略

  • プリンティンググループ
  • イメージンググループ
  • メディカルグループ
  • インダストリアルグループ

プリンティンググループ

デジタルトランスフォーメーション時代に、ハードとシステムを一体化させたサイバー&フィジカルシステムによるプリンティングサービスを提供し、お客さまの効率化・高度化・省力化に貢献していきます。

プリンティング分野の競争優位

  • デジタルプリントの「電子写真技術」と「インクジェット技術」の両方を保有
  • コンシューマー向け製品から、オフィス向け製品、商業印刷まで、広範な製品群をもち、販売、サービス・サポート体制を全世界で展開
  • プリンターを大量生産するだけでなく、部品点数が多い高性能プリンターも量産できる生産力を有し、さらに生産装置まで内製するなど有機的な連携が可能

価値創造に向けた基本的な考え方

プリンティングは人間の生活の発展と切っても切れない親和性を持ち続けてきました。人間が衣食住以上の文化的な生活をしようと思えば必ず必要になるのが紙のプリントです。経済の発展、文化の継承、科学の進歩も紙のプリントなしに語ることはできず、いわば生活必需品として現在も世界中でプリンターが使われています。

ITの発展により、これまでも、ペーパーレスは叫ばれてきました。ディスプレイで代用できる、必要のないプリントが減るという意味でのペーパーレスは今後も進行すると考えられますが、キヤノンは、人間がものを考える、共同作業をする、生活を楽しむという場をつくるプリンティングならではの社会的価値を今後も創造し、提供していきます。

キヤノンは、複写機、プリンターを常に進化させてきました。電子写真、インクジェットのプリント技術を一から開発し、コピー・プリントの世界的普及に貢献。その後も時代の進化にあわせて新たな技術を取り入れ、新たな価値を提供し続けています。例えば、ここ20年のデジタルシフトでは、すぐ複製できる、瞬時に拡散させられるというデジタルの良さを取り入れ、新たな価値を提供してきました。

今後、ICTはさらに進化し、クラウドコンピューティングベースの社会になっていきます。キヤノンは、その環境を生かしたオンデマンドプリンティングを進化させ、指定されたコンテンツを即時にプリントができる環境を実現していきます。そこではプリンティングセキュリティ技術とコンテンツオンデマンド技術が鍵となります。プリンターのハードウエアにおいては、高い安定性をもちながらも必要な機能のみで手のかからない使いやすいシンプルさとともに、コネクテッド環境での十分なサービス拡張性をあわせもつ「高度なシンプル化」を進めます。一方で、システム・ソフトウエアへの高度なリモートアクセス性を確保することで、ハードとシステムを一体化させたサイバー&フィジカルシステムによるプリンティングデジタルサービスを提供し、お客さまの業務の効率化・高度化・省力化に貢献していきます。

キヤノンはこうした活動と価値提供を通じ、主にSDGsのゴール9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献していきます。

関連するSDGs

  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 12 つくる責任 つかう責任
  • 13 気候変動に具体的な対策を

フェーズV振り返り

コンシューマー向け、オフィス向け、商業印刷向けに分かれていた3つの事業(インクジェットプリンター、マルチファンクションプリンター、プロダクションプリンター)をデジタルプリンティング事業として一つに統合しました。情報が一元化され、プリンティングに関する機会やリスク状況を迅速に把握できるようになり、次世代を見据えてプリンティング総合戦略を立案し、新規事業への展開に向けた体制が整いました。

商業印刷向け製品では、グラフィックアーツ向け連帳プリンターなど、ラインアップを拡充。また、オフィス向け製品においては、imageRUNNER ADVANCE Gen3シリーズを展開し、カラーシフト、クラウド対応を進展させました。

2020年は、パンデミックによる外出制限の影響によりオフィス向け製品の需要が大きく落ち込みましたが、経済活動の再開に伴い、回復傾向を見せています。一方で、家庭用プリンターは本体、消耗品とも大幅な売上増加となりました。3つの事業の統合はこうした動きに対しても、迅速な対応を可能にしています。

フェーズVIにおける事業戦略

事業機会

  • IT技術の進展に伴う、新たな印刷・ドキュメントソリューションの需要
  • リモートワークの拡大など、働き方の多様化による新たなプリントサービス需要
  • 商業印刷、産業印刷におけるデジタル印刷市場の拡大

リスク

  • 新しい時代にあうデジタルサービス展開の遅れ
  • 新型コロナウイルス感染症の影響に伴うオフィスにおけるプリントボリュームの変動

成長が見込まれるデジタル商業印刷において、キヤノングループの総力を結集し、高画質・高生産性・高信頼性を実現する商品を拡充します。さらに、ラベル印刷やパッケージ印刷をはじめ、印刷メディアの対応の拡張にも注力していきます。

これにより、ハードウエアでは、ホームユース、専門業務ユース、オフィスユース、商業・産業印刷ユースまで、全ジャンルをカバーする製品群を提供していきます。また、システムにおいても、ホーム、オフィス、商業・工業施設、商業・産業印刷所にクラウドベースのオンデマンドプリンティング環境を提供します。

また、コロナ禍では、紙メディアがどこでも使える環境になく、お客さまのワークフローに影響を与えたことが明らかになりました。オフィスで培ったプリントマネジメント技術を発展させた、DX時代の新たなソリューションを提供し、収益にも好影響を与えていきます。

一方、新興市場では、通常の発展をスキップした需要が生まれることも多々見られます。国や地域ごとに何が必要で何が不要か徹底的なリサーチをした上で事業拡大を図ります。

また、インクジェット発泡技術の他産業への応用などの新規事業の可能性を探る一方、これまでもさまざまな技術革新を行ってきた環境配慮にも一層力を入れていきます。

イメージンググループ

キヤノンがこれまで培ってきた光学技術、映像処理・解析技術とネットワーク技術を融合させ、既存事業の競争力をさらに強化するとともに、スマートシティやスマートモビリティなど新たな事業領域を確立し、社会インフラの構築に貢献します。

光学産業分野の競争優位

  • 長年にわたりカメラ産業において、プロフェッショナルにも使用され歴史をつくってきたブランド力
  • 光学機器のトップメーカーとして長年培ってきた技術力
  • カメラ、映像管理ソフト、映像解析技術のすべてを保有し、一貫して製品の提供が可能

価値創造に向けた基本的な考え方

カメラ市場は、スマートフォンの普及や、新型コロナウイルス感染拡大の影響により市場縮小が進みました。一方で、プロフェッショナルやハイアマチュア向けの豊かな表現力をもつ高機能カメラやミラーレスカメラへの需要は継続しています。こうした需要の確実な取り込みに向けて、キヤノンではこれまで培ってきた技術力を生かし、高性能・高品質な製品を提供し続けています。また、キヤノンは写真、映像文化の発展に貢献し、人々が「幸せを感じる」という社会価値の提供にさらに焦点を置いていきます。写真の裾野を広げるニューコンセプトに基づく製品を発売するほか、3D空間をまるごとキャプチャし再構成する自由視点映像といった新たな映像表現にも注力していきます。

一方、ネットワークカメラ市場は、セキュリティに対する人々の意識の高まりや、グローバルレベルでの「スマートシティ」構想の進展などにより拡大傾向にあります。こうした中、キヤノンのネットワークカメラは、防犯や交通安全、都市計画作りにも貢献していきます。さらに、映像解析技術により工場など生産現場において、部品の欠品確認や作業の自動化に寄与するほか、小売店舗では人や商品の流れを検出し、販売拡大につなげるなど、新たな領域において価値を提供しています。一方で、プライバシーへ配慮したモニタリングを実現するため、映像内に映る個人を識別できなくするソフトウエアの開発も行っています。こうしたネットワークカメラ領域での活動は、グループ会社であるアクシスコミュニケーションズ(以下、アクシス)およびマイルストーンシステムズ(以下、マイルストーン)がオープン戦略を取り入れていることによって実現しています。パートナー企業が柔軟にシステム構築ができ、安心・安全への貢献のみならず、生産性向上や顧客満足の改善、品質向上にもつながっています。

当分野では高品質なデジタルカメラやネットワークカメラなどの提供により、SDGsのゴール9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、ゴール11「住み続けられるまちづくりを」を中心としたSDGsの達成に貢献していきます。

関連するSDGs

  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 11 住み続けられるまちづくりを
  • 12 つくる責任 つかう責任
  • 13 気候変動に具体的な対策を

フェーズV振り返り

デジタルカメラ事業の大きな成果としては、市場縮小傾向がある中でマーケットシェアNo.1を堅持できたことです。さらに、ミラーレスカメラへの移行やニューコンセプトカメラの開発など、新規事業・製品を開発するためのリソースシフトを進めることができました。2020年はコロナ禍により需要が一時的に落ち込みましたが、市場は回復基調です。また、テレコミュニケーションの機会が大幅に増加したことから、強みである映像の緻密さや正確性のニーズがこれまで以上に確実に高まることが見込まれます。

ネットワークカメラ事業では、フェーズIV 期間中にグループ入りしたアクシス、マイルストーンに加え、2018年にはブリーフカムをグループに迎え入れるなど、M&Aも活用しながら体制の強化を図りました。さらに、2017年にマイルストーンのクラウド事業の企画・開発部門を分社化しアーキュリーズを設立し、ネットワークビジュアルソリューションを一貫して提供できるバリューチェーンを構築できたことがフェーズVの大きな成果となりました。

フェーズVIにおける事業戦略

事業機会

  • 工場、小売店、医療、学校などのネットワークカメラの活用
  • スマートシティ、IoT、AIなどの進歩・普及による需要拡大
  • VR、AR、MR、自由視点映像など新たなイメージング技術の台頭
  • ネットワークカメラシステムや映像解析ソフトウエア市場の拡大

リスク

  • スマートフォンの普及によるカメラ市場の縮小
  • 新型コロナウイルス感染拡大の影響による販売機会の減少、サプライチェーンの混乱
  • 若年層におけるブランド認知度

スマートモビリティ事業の確立を目標に掲げ、キヤノンの光学技術、映像処理・解析技術とネットワーク技術を活用して、車載カメラ事業へと参入する方針です。すでに自動運転用のLiDAR(光による検知と測距)や次世代AGV(自動搬送台車)・AMR(自律走行搬送ロボット)分野においては他社と協業を開始し、製品化などの成果も出始めています。

ネットワークカメラ事業では、今後、キヤノン、アクシス、マイルストーン、ブリーフカム、アーキュリーズが連携し、IoT・AIなどの進歩に伴う多様なニーズを取り込むためのプラットフォーム構築を進め、販売会社と協力して顧客のニーズにあわせた新たなソリューションを提供していきます。また、新型コロナウイルスの影響に伴うリモートワークでの高画質映像や工場の省人化、医療現場における新たな需要への対応のほか、群衆人数のカウントや顔認証などAI技術を活用した映像解析技術によるソリューションも提供していきます。

カメラ事業については、今後成長が見込まれるミラーレスカメラ市場に注力し、引き続き付加価値の高い製品を展開していきます。また、若年層を中心とした静止画・動画を「楽しむ」ニーズなど、時代とともに変化する価値観の変化に応えるため、ニューコンセプトカメラの製品展開も強化します。さらに、グローバルでサービス・サポート体制の完備に努め、お客さまに安心して製品を使っていただける体制を維持していきます。

メディカルグループ

IoT 、AIなどのデジタル技術やバイオテクノロジーの進歩を積極的に取り入れ、画像診断機器・ システム事業を強化するとともに、検査試薬など検査装置周辺領域を含む体外診断分野にも 本格的に参入し、グループの総合力を活用して事業拡大を図っていきます。

メディカル分野の競争優位

  • メディカル分野での100年を超える知見と医療従事者とのパートナーシップ
  • キヤノンがもつ多彩なイメージングおよびものづくり技術
  • 世界150以上の国や地域における販売・サービス拠点

価値創造に向けた基本的な考え方

世界的な高齢化の進展や医療費の高騰、さらには新型コロナウイルス感染拡大による脅威などを背景に、健康増進、疾病予防への関心は高まっており、ヘルスケア分野へのニーズは急速に拡大しています。こうした中キヤノンは、「画像診断」「ヘルスケアIT」「体外診断」の領域において、医療従事者に有用性の高いさまざまな製品やサービスを提供しています。これは、2016年にグループ入りしたキヤノンメディカルシステムズ(キヤノンメディカル)の長い歴史の中で培ってきた知見が生かされ、研究開発・製造・販売・サービスなど各フェーズにおいて大学や医療機関などさまざまなパートナーと連携することで実現されています。国立がん研究センターと産学連携による次世代の革新的なシステム創出に向けた合意、熊本大学とボルドー大学とのディープラーニングのMRI撮像への適応に関する共同研究など、多くのプロジェクトが現在も進行中です。

こうした新たな価値を生み出す事業活動は、キヤノンの企業理念「共生」、キヤノンメディカルの経営スローガン「Made for Life」に根ざした事業活動推進を経営の根幹に据えた結果として生み出されています。今後、CTやMRIの製品に、キヤノンのイメージング技術を掛けあわせることで、付加価値の高い製品を創出するなど、「真の融合」を果たしシナジー効果の最大化を追求していきます。

これにより、SDGsのゴール3「すべての人に健康と福祉を」、医療技術の発展を推進することでゴール9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、大学や医療機関、取引先など官民を含めた共同開発・オープンイノベーションを積極的に推進することでゴール17「パートナーシップで目標を達成しよう」、このほかゴール12「つくる責任 つかう責任」、ゴール13「気候変動に具体的な対策を」などの達成に貢献しています。

関連するSDGs

  • 3 すべての人に健康と福祉を
  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 12 つくる責任 つかう責任
  • 13 気候変動に具体的な対策を
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう

フェーズV振り返り

フェーズV期間中の最大のトピックは、2016年にキヤノンメディカルをグループへ迎え入れたことです。これにより、キヤノンとしての事業ポートフォリオ転換が進み、新規事業の柱の一つであったメディカル事業を拡大することができました。統合から4年を経て、キヤノンとキヤノンメディカルのシナジー創出のための土台づくりを終え、販売網の整備なども進み、今後の事業拡大に向けての体制が整いました。

フェーズVの最終年度である2020年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、営業活動や機器の設置が制限される事態となりました。こうした状況の中、長崎大学の協力のもと蛍光LAMP法を用いた新型コロナウイルス迅速遺伝子検出キットの開発・製品化や、横浜市立大学と共同開発した抗原定性検査キットの販売を開始するなど、感染拡大防止に寄与する製品力の強化に努めました。一時的な販売機会の減少やサプライチェーンの混乱はあったものの、画像診断装置を中心とした受注を確実に獲得した結果、販売は2019年比微減にとどまりました。

フェーズVIにおける事業戦略

事業機会

  • IoT、AIなどを活用したDXが医療現場へ浸透
  • 遺伝子を含むバイオテクノロジー・再生医療技術の進化
  • 新型コロナウイルスなどをはじめとした感染症拡大防止に貢献する製品・サービスの開発

リスク

  • 新型コロナウイルス感染拡大の影響による販売機会の減少とサプライチェーンの混乱
  • 医療機器における域内生産品優遇政策の浸透
  • グローバル市場におけるプレゼンス拡大の遅れ

中長期的に見ると、医療機器や画像診断支援サービスへの需要は継続するため、積極的な収益拡大に取り組んでいきます。

CTやMRI、超音波診断装置といった主力製品については、キヤノンの優れた生産技術を最大限活用するために製品のプラットフォーム化や部品のユニット化を進め、組立の自動化や内製化などによる生産革新を実現し、さらなる原価低減を図ります。

また、キヤノンの撮影技術をCTやMRIに応用するなど、製品の性能強化にも努めます。特にIoTやAIを活用したDXが医療現場に浸透しつつあることから、診断ソリューションや画像解析アプリケーションの商品競争力を強化し、日本のみならず欧米や新興地域において拡販を図る方針です。医療ITシステムにおいては、医師別・診療シーン別に最適な情報を提供する医療情報統合ビューアや、緊急の患者さんの画像情報を素早く適切に処理して一刻も早い治療方針策定に貢献する読影支援ソリューションをすでに提供し、事業拡大を図っています。

さらに、これからの医療の進歩をドライブするバイオテクノロジー分野に注力します。検査試薬など検査装置周辺領域を含む体外診断分野にも本格的に参入し、キヤノングループの総合力を最大限に活用し事業拡大を図っていくほか、京都大学iPS細胞研究所と2025年までに高品質な自家移植用のiPS細胞(my iPS細胞)を実用化するプロジェクトを進めるなど、再生医療技術を用いた新たな領域にも事業を拡大していきます。

こうした取り組みに加えて、引き続き世界中の有力大学との共同研究なども推進し、グローバルなプレゼンスを一層高めていく方針です。

インダストリアルグループ

半導体産業のますますの拡大が予測される中、お客さまのニーズを捉えた「デザインイン」の発想による製品開発を推し進め、拡大する産業機器需要に応えるとともに社会インフラの構築や技術革新に貢献します。

産業機器分野の競争優位

  • 低コスト化・微細化を可能にするナノインプリントリソグラフィ技術
  • 顧客生産性、コストオブオーナーシップに寄与する製品
  • 設計段階から顧客ニーズを取り入れる「デザインイン(マーケットイン)」の発想に基づく製品開発
  • 研究開発から設計・生産まで一貫して対応できる製造拠点、製造設備
  • 高度な技術力・経験を有するプロフェッショナル人材

価値創造に向けた基本的な考え方

キヤノンは、1970年に国産初の半導体露光装置を発売後、1986年にはその技術を応用したFPD露光装置の開発に着手。これらの領域は、現在の事業の柱となっています。従来は、半導体の微細化に応えるため、プロダクトアウト型の事業戦略で製品のラインアップを拡充してきました。この微細化へのニーズは現在も変わりませんが、2010年代からはお客さまのニーズの多様化にあわせ、「デザインイン」の発想へと戦略をシフトすることで、さらなる収益の獲得およびお客さまへの柔軟な価値提供につなげています。現在、i線(水銀)・KrF(フッ化クリプトン)の両半導体露光装置においては、生産能力(1時間当たりのウエハー処理能力)向上と重ねあわせ精度の高精度化などにより、製品の競争力強化を図っています。

当分野におけるキヤノンの製品は、それ自体が持続可能な社会を構築する上で役立つものであり、特に社会インフラの構築や産業イノベーション、あるいは省エネルギーを実現するための原動力となります。付加価値の高い製品をお客さまに提供することで、SDGsの達成に貢献していきます。特に、露光装置は消費電力が多いことから、新しい熱交換技術を取り入れた省エネルギー対応の製品提供や、お客さまの使用環境にあわせた温度制御方式を提案し熱効率の向上を図るといった、現行製品に新たな価値を付加する取り組みに注力していきます。消費電力の少ない半導体チップがスマートフォンに使用されるようになれば、社会インフラ構築、あるいは地球環境への配慮にもつながります。グローバル優良企業グループ構想フェーズVIを遂行する上でも、こうした「事業を通じた価値創造」を推し進めていきます。

このように、当分野では、新たな事業基盤の構築や、お客さまのニーズにあわせた柔軟な価値提供などに取り組んでいることから、SDGsゴール9「産業と技術革新の基盤をつくろう」や、ゴール11「住み続けられるまちづくりを」などの達成に貢献していきます。

関連するSDGs

  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 11 住み続けられるまちづくりを
  • 12 つくる責任 つかう責任
  • 13 気候変動に具体的な対策を

フェーズV振り返り

「デザインイン」の発想や、お客さまのニーズに沿った多種多様なアプリケーションを提供できたこと、さらに半導体製造の前工程だけでなく、後工程で付加価値の高いパッケージングの工程においても製品ラインアップを増やしたことにより、i線露光装置の支配的なマーケットシェアを獲得しました。KrF露光装置についても、2009年のシェアが数%程度でしたが、2020年では3割程度を獲得するまでに至っています。また、ディスプレイ技術進化の潮流を捉えて、FPD露光装置や有機ELディスプレイ製造装置の市場においても確固たる地位を築き、安定した収益基盤を確立することができました。

2020年はコロナ禍の影響を受け、設置作業に滞りが生じましたが、データセンターやパソコン需要の高まりを背景として、半導体デバイスに対する投資は回復基調にあります。同様に、成長が持続する有機ELディスプレイの分野でもお客さまの投資意欲は堅調で、社会環境が大きく変化する中にあっても、すべての製品で販売台数は増加し、シェアを拡大することができました。

フェーズVIにおける事業戦略

事業機会

  • 5G関連製品、IoT関連製品への需要の高まりによる半導体市場の拡大
  • 4K・8Kなど高精細画像、映像伝達への需要の高まりによる有機ELディスプレイ市場の拡大

リスク

  • 生産キャパシティを上回る装置需要の増加
  • 競合製品の性能向上や競合との価格競争による収益性の低下

4K・8Kなど高精細画像、映像伝達の需要増の動きにあわせ、有機ELディスプレイ製造装置を強化します。さらに、新しい製造方式や材料の開発を推進し、事業領域の拡大に努めていきます。

半導体露光装置では、5G関連製品やネットワーク・サーバーといったITインフラの需要増などにより、これからも事業機会の拡大が見込まれます。そのため、i線露光装置では支配的なマーケットシェアを維持するほか、KrF露光装置では引き続きマーケットシェアの拡大に努めます。さらに、最先端の露光装置市場への参入を視野に、ナノインプリントリソグラフィ技術の確立に引き続き取り組みます。極めて精密な回路のパターニングを低コストで実現できるナノインプリントリソグラフィ技術は、今後、微細な半導体チップの生産に寄与する技術です。

FPD露光装置では、高精細パネルへの高い需要が引き続き期待されることから、キヤノン独自の光学系をさらに進化させ、競争力の高い新製品を展開することでグローバルシェアの拡大を図る方針です。

また、装置を設置した後のサポートやお客さまへの継続的な提案などを行い、装置の販売後も継続的に収益を獲得するとともに、お客さまもメリットを感じるアフターマーケットの領域を拡大していきます。

そして、既存の基盤技術とナノインプリントで培った技術をはじめ、ほかの分野の技術もあわせて再編集することで、新たな事業基盤を構築していきます。

さらに、設計段階から特注部品を汎用部品に置き換える、あるいは部品の内製化を進めるなど、さまざまな方法でコストの削減を図っていきます。