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新たな価値創造、社会課題の解決メディカル事業の拡大

マネジメントアプローチ

イメージング技術とものづくり技術を融合し、画像診断システムやヘルスケアIT、体外診断などの領域で先端技術を開発することで、医療の向上に貢献します。

キヤノンのアプローチ

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キヤノンは、医師でもあった初代社長、御手洗毅の「医療で社会に貢献したい」という強い思いから、創立間もない1941年に、肺結核の発見を目的とした国産初のX線間接撮影カメラを発売しました。以来、眼科機器やデジタルラジオグラフィなど画像診断技術を活用した機器の提供を通じて、疾病の早期発見や診断に貢献してきました。現在は、中長期経営計画「グローバル優良企業グループ構想フェーズⅤ」における新規事業の柱の一つとしてメディカル事業を強化。2016年には、キヤノンメディカル(当時 東芝メディカル)をグループに迎え入れました。キヤノンメディカルは、約100年にわたりメディカルシステム事業を推進。X線CTやMRI、超音波診断装置など、患者さんの負担軽減と高精細画像を両立させる技術開発を行ってきました。これに、キヤノンが培ってきた画像処理技術やAIを使った診断支援などの技術を融合させ、患者さんや医療従事者に寄り添ったソリューションを提供しています。

世界的な高齢化に伴い、幅広いヘルスケア分野へのニーズが高まり、今後ますます市場が成長すると見込まれます。キヤノンは、メディカル事業のさらなる強化をめざし、2019年7月に、日本医療機器開発機構に出資。 国内外の大学や企業と連携し、医療機器などの事業化を推進するインキュベーターとの業務提携により、オープンイノベーションを通じた新たな価値創出や事業化の加速を進めます。

さらに、2019年8月には、国立大学法人 京都大学iPS細胞研究所と、高品質な自己由来iPS細胞の実現に向けた共同開発を開始しました。キヤノンのもつ光学技術や計測技術、画像診断技術、品質管理技術により、低コストな検査手法の開発、iPS細胞製造の低コスト化と期間短縮の実現をめざします。

また、米国ボストンのキヤノンUSAヘルスケアオプティクスリサーチラボラトリーにおいては、ハーバード大学医学部の関連医療機関であるマサチューセッツ総合病院およびブリガムアンドウィメンズ病院と、新診断方法や治療支援等に係る最先端の共同研究を進めています。

今後も、キヤノンメディカルを核に、国内外のさまざまな先端医療機関と提携しながら、メディカル事業を強化・拡大していきます。

SDGsとの関連性

キヤノンのメディカル事業の拡大は、SDGsのゴール3 「すべての人に健康と福祉を」の達成に貢献しています。国内外の先端医療機関とのオープンイノベーションなどをさらに広げて、医療の分野における課題解決を図るとともに、新たな価値創造につなげるなど、SDGsのゴール17「パートナーシップで目標を達成しよう」にも貢献しています。

  • 3 すべての人に健康と福祉を
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう

価値創造の事例

3つの領域でソリューションを提供

キヤノンのメディカル事業は、「画像診断」「ヘルスケアIT」「体外診断」の3つの領域において、より効率的な医療と、患者さんの満足を両立するソリューションの提供をめざしています。

「画像診断」では、世界中の先進医療機関や大学とのオープンイノベーションにより、確実な診断を支援する高精細画像の提供と、被ばく低減・検査時間の短縮など患者さんの負担軽減を両立する技術開発に注力しています。

「ヘルスケアIT」では、AIの活用をはじめ、医療現場に散在する膨大なデータを統合・解析し、有用性の高い医療情報として提供することで、より効率的な医療の実現をめざしています。

「体外診断」では、病気のさらなる早期発見、感染拡大の予防のために、血液や遺伝子などの検査ソリューションの開発や、迅速検査ソリューションなど、高度化する医療への適用を進めています。

キヤノンメディカルで取り扱う検体検査システム

ディープラーニングを活用した画像再構成技術

X線を用いた診断装置には、患者さんの放射線被ばく量低減と、精度の高い診断に必要な画質の向上が常に求められます。キヤノンメディカルは、画像再構成技術「Advanced intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)」を開発。ディープラーニングを用いてCTのノイズを低減しながら、より少ない放射線量で高精細画像を提供できます。AiCEは、世界初の高精細CT「Aquilion Precision」、エリアディテクターCT「Aquilion ONE/GENESIS Edition」、「Aquilion Prime SP」に搭載され、2019年7月にはMRI装置「Vantage Centurian」にも搭載されました。これまでにない高画質化・高速化で、高分解能の画像診断が可能になるとともに、検査時間の短縮化により患者さんの検査負担を軽減します。

迅速で人にやさしい体外診断システム

キヤノンメディカルは、高感度検出技術により、発症初期の微量なウイルスも迅速に検出する体外診断システムを提供しています。インフルエンザ迅速検査システムは、より早く、簡単で正確な検査による診断が求められる医療現場において、鼻かみ液でも検出を可能とし、小さな子どもも安心して検査ができるようになりました。早期検査による早期治療が可能となり、重症化、感染拡大の防止にもつながっています。

血液などを検査する検体検査システムにおいても、キヤノンメディカルは豊富な製品ラインアップをもち、さまざまな検査に対応。加えて、エボラ出血熱やジカ熱などの熱帯感染症が世界的に大きな脅威となっている中、早期発見に貢献するDNA検査システムの開発を、日本医療研究開発機構(AMED)の研究事業の中で長崎大学と行っています。2018年には、国内初のジカウイルスRNA検出試薬の販売を開始。また2019年には、常温での輸送・保管ができる蛍光LAMP試薬を開発し、コンゴ民主共和国におけるエボラウイルス実験体を用いたテストを実施するなど、熱帯地域などでの活用をめざし、引き続き研究を進めています。

今後も、検査の高速化や検体の微量化などを推進し、患者さんの負担軽減と医療の効率化の両立を図っていきます。

コンゴ民主共和国におけるエボラウイルスの検出テスト