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事業を通じた新たな価値創造、社会課題の解決産業イノベーションの推進

キヤノン独自の光学技術や画像処理技術の成果でものづくりの現場を支え、経済の持続的な成長に貢献します。

持続可能な社会を実現するには、社会環境の変化に対応し続けるためのイノベーションを推進していく必要があります。現在、IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボット技術などを活用した第四次産業革命と呼ばれる新たな流れが進行する中で、オーダーメイドやカスタマイズされた製品やサービスの可能性が広がっています。キヤノンは、中長期経営計画「グローバル優良企業グループ構想フェーズⅤ」においてBtoB分野への事業領域拡大を宣言しています。長年にわたり磨き上げてきた独自の光学技術や画像処理技術の成果を産業用の機器に応用し、新たな価値を創造していきます。

半導体露光装置においては、従来の光露光方式による露光装置以外にもナノインプリントリソグラフィ技術の確立に取り組んでおり、半導体のさらなる微細化の実現とコスト低減によりIoT時代をけん引する半導体デバイス製造に貢献することをめざしています。また、キヤノントッキの有機ELディスプレイ製造装置やキヤノンアネルバのスパッタリング装置も人々の豊かな生活を裏で支える不可欠な装置として活躍しています。加えて、最新鋭のセンシング技術および三次元認識技術などを活用した、産業用ロボットの「眼」にあたる革新的な「3Dマシンビジョンシステム」を開発し、製造業における生産性の向上に寄与しています。

先進国と新興国の経済成長率推移

  • 出典:IMF「World Economic Outlook, April 2018」

人々の豊かな生活を支える技術

電子機器の頭脳となる半導体デバイスは、モバイル機器用メモリーの需要増加や車載用半導体デバイスなど用途の多様化を背景に、あらゆるものがインターネットにつながるIoT時代に欠かせません。キヤノンは半導体製造工程における露光装置を提供しています。半導体は回路パターンの微細化により集積度が上がり、性能や記憶容量が向上しますが、キヤノンは回路パターンをスタンプのように押し付ける画期的な技術(ナノインプリントリソグラフィ)で、微細化と製造プロセスの削減による大幅なコストダウンの両立をめざしています。これにより、電子機器のさらなる高性能化や情報通信技術の発展に貢献していきます。2017年は、ナノインプリント技術を用いた半導体製造装置を半導体メモリーのリーディングカンパニーである東芝メモリ株式会社に納入しました。

また、キヤノンアネルバでは真空中で薄膜を形成、加工する技術を生かし、半導体製造用のスパッタなど成膜装置を製造しているほか、情報社会を支えるHDD用のヘッド製造用スパッタリング装置では世界シェア100%を誇ります。加えて、高速通信を行う4G(第4世代)や次世代5G(第5世代)で使われる通信用デバイスが注目を集めており、キヤノンアネルバが製造する装置はさらなる高性能化と大幅なコストダウンに貢献しています。

一方、キヤノントッキが開発・製造する有機ELディスプレイ製造装置も、有機ELディスプレイの需要が高まる中、生産になくてはならない装置となっています。有機ELディスプレイは、液晶ディスプレイと比較して薄く、鮮やかな色彩を表現することができ、また「曲げられる」、将来的には「折りたためる」などの応用性に期待が寄せられています。他社の追随を許さない圧倒的な技術力で、スマートフォンやテレビなどをはじめとする有機EL表示デバイスの需要に応え、新たな価値を創造していきます。

東芝メモリに導入されたナノインプリントリソグラフィ技術を用いた半導体露光装置

ものづくりの革新を支える技術

製造業の現場ではさまざまなロボットが活躍していますが、これまではパレットや部品箱にバラ積みされた部品を、ロボットが作業しやすいように整列させる必要があり、工程短縮や自動化のボトルネックになっていました。キヤノンは、バラ積みされた部品の位置や姿勢を高精度に認識できる3次元認識機能を搭載した「ロボットの眼」といえる3Dマシンビジョンシステムを開発。既存のロボットと組み合わせることで、バラ積み部品のピックアップを高速・高精度で行え、部品供給工程の自動化を可能にしました。小型部品から大型部品にまで対応する製品展開により、自動車、電機、金属、樹脂、化学メーカーなど幅広い製造業の生産性向上に貢献し、今後は組立作業の自動化への応用も期待されています。

また、産業用カメラやキヤノン製のネットワークカメラと組み合わせられるソフトウエアの販売も開始。異常事態の予兆監視や早期復旧を支援できるソフトウエアや、画像処理技術でバーコードの読み取り作業、資材配置の点検などを可能にするソフトウエアで製造現場の作業効率化に貢献します。

バラ積み部品のピックアップを行う3Dマシンビジョンシステム