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人と社会への配慮

重要課題

基本的な考え方

キヤノンは1937年の創立当時から「人間尊重」の精神を継承しています。そして、事業のグローバル展開に伴い、1988年には「共生」を企業理念として事業活動の礎とし、文化、習慣、言語、民族などの違いを問わず、すべての人類が末永く共に生き、共に働き、幸せに暮らしていける社会の実現をめざしています。

世界規模で感染拡大を続ける新型コロナウイルスは、私たちの生活や経済活動に大きな影響を与えています。そのような中、安心・安全に働き、暮らせる社会がますます強く求められるようになっています。また、SDGs(持続可能な開発目標)では、企業においても、誰もが活躍できる社会を実現し、そのために科学技術のイノベーションに尽力することが期待されています。

このような中キヤノンは、ビジネス活動のみならず、人や社会にも配慮した複眼的な取り組みにも力を入れています。社会の一員として役割を果たしながら、自社の持続的な成長と発展を果たすことをめざし、SDGsの実現にも貢献していきたいと考えています。

マテリアリティ

キヤノンは、自社の事業活動の基盤ともなる3分野「人権と労働」「製品責任」「社会貢献」を「人と社会への配慮」にまとめてマテリアリティに設定しています。活動の推進にあたっては、新型コロナウイルスの感染拡大などさまざまな要因によって変化する社会情勢やステークホルダーの期待・要望に応え、社会の持続的発展に資することも重要と考えています。そのため、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」や「世界人権宣言」などの世界的ガイドラインのほか、CSR専門家をはじめとした第三者からの意見、さらにはステークホルダーへのアンケート結果などを通じて社会からの要請や期待を把握し、活動の妥当性の検証ならびに、活動の見直しを進めています。ステークホルダーアンケートの結果を見ると、「人権と労働」「製品責任」「社会貢献」それぞれの取り組みについては、下表の項目への自社ならびに社会の関心が高いことが分かりました。

キヤノンは今後も、これらの情報をもとにステークホルダーの関心や期待を把握し、自社の活動への影響度を考慮の上、活動の見直しや新規活動の検討を進めていきます。

ステークホルダーアンケートの結果(関心の高い項目上位5項目)

人権と労働 製品責任 社会貢献

キヤノンハイテクタイランドでのインクジェットプリンターの生産

環境試験室での品質評価

インドで展開する眼科医療プロジェクト

リスクと機会

「人権と労働」「製品責任」「社会貢献」3分野の活動に対する取り組みが不十分なために発生するリスク、また活動に取り組むことによって生まれる機会は主に次の通りです。

各分野における主なリスク・機会と事業活動への影響

  リスク 機会
人権と労働
  • 社会からの評判の低下
  • ハラスメントなどによる訴訟リスク
  • 人材獲得難、流出
  • 生産性や活力低下
  • 災害や感染症などによる生産体制への影響 ほか
  • 事業の持続的発展
  • 多様性の向上、社員の生産性の向上
  • グローバルな事業展開
  • イノベーションの創出
  • ノウハウ・技能の伝承 ほか
製品責任
  • ブランド価値の毀損
  • お客様からの信頼喪失 ほか
  • お客様、社会からの信頼性向上
  • ブランド力の向上
  • 競争優位性の確保 ほか
社会貢献
  • グローバル市場の縮小
  • 次世代を担う人材の不足 ほか
  • 地域社会の継続的な発展
  • 次世代を担う人材の獲得
  • 地域社会との信頼関係の構築
  • ブランドイメージの向上
  • 文化の継承、スポーツ振興 ほか

アプローチ

  • GRI102-11
  • GRI102-15
  • GRI103-1
  • GRI103-2

人権と労働

キヤノンは、多様な背景や価値観をもつ従業員がそれぞれの能力を発揮し、生産性を向上させることが企業の持続的な発展と成長にとって重要であると考え、国籍や人種、文化など多様性に富む人材が互いに尊重しあい、一人ひとりが安心して最大限力を発揮できる職場環境づくりや従業員の健康支援にグループ全体で取り組んでいます。

また、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」や国際労働機関(ILO)「国際労働基準」などの国際規範のほか、「持続可能な開発目標(SDGs)」でも見られる通り、企業においても人権への取り組みを進めることが国際社会から求められています。ステークホルダーへのアンケートの結果においても「差別、ハラスメントの防止、基本的人権の尊重」が最も高い関心項目となっており、キヤノンの取り組みも注目されていることが分かります。全世界でビジネスを展開するキヤノンでは、各国・地域の法令を遵守するだけでなく、各グループ会社の規定により、従業員の人権を尊重する取り組みを強化しています。

さらに、2021年から新たにスタートした中長期経営計画「グローバル優良企業グループ構想フェーズⅥ」では、今後の事業ポートフォリオに沿った多様な能力、価値観をもった人材の育成への注力を掲げています。社内教育の充実に加え、社内転職を通じて適材適所を実現し、生き生きとやりがいをもって働く従業員一人ひとりを組織と会社の原動力として、持続的な成長をめざしています。

製品責任

メーカーにおいて、お客さまの安全に関わる品質問題の発生は、ブランドを傷つけ、お客さまの信用を毀損することによる業績の悪化など、経営に甚大な影響を及ぼします。一方で、お客さまのニーズに応える、使いやすく高品質・高付加価値な製品の提供に加え、時代が求める新たな技術の創出を実現することは、企業としての大きな成長につながります。

キヤノンは、品質の基本理念として「ノークレーム・ノートラブル」を掲げ、グループ全体で「Canon Quality」を徹底するとともに、国際的品質管理規格の要求事項に独自の仕組みを加えた「品質マネジメントシステム」を構築し、製品企画から開発、生産、販売後のサービスまで、製品のライフサイクル全体で品質の向上に努めています。特に「安全性」に対しては、各国・地域の法令以上に厳しい独自の製品安全技術基準を設け、安全性の確保に努めるとともに、世界各地から寄せられた意見、要望を、関連部門間で共有するシステムを構築し、製品改善につなげています。

さらには、お客さまが安心して、快適に使用できることを目的とした分かりやすいマニュアル作成をはじめ、ユニバーサルデザインの考え方を導入し、世界中のすべてのお客さまの使いやすさに配慮した製品づくりを進めています。

社会貢献

キヤノンには、創立当時から社会に貢献するという精神が企業文化として定着しています。また、事業活動を通じて得られた利益を、人道・災害支援や教育・学術支援、芸術・文化・スポーツ支援など、さまざまな活動を通じて地域社会に還元しています。地域が抱えるそれぞれの課題解決に貢献することは、企業としての信頼性向上のみならず、持続的な発展においても欠かすことができないと考えています。

このような考えのもと、キヤノンは「キヤノングループCSR活動方針」を制定し、キヤノンの強みである 「高度な技術力」「グローバルな事業展開」「専門性のある多様な人材」などのリソースを生かし、それぞれの地域の特性や課題にあわせた活動を、世界各地のキヤノングループ事業拠点で展開しています。また、次世代を担う子どもたちに対する取り組みに関しては、「子どもの権利とビジネス原則」を支持し、子どもの権利の実現に向けた社会貢献活動に取り組んでいます。

関連するガイドラインなど

  • 国連「ビジネスと人権に関する指導原則」
  • 国際労働機関(ILO)「国際労働基準」
  • 「持続可能な開発目標(SDGs)」
  • OECD多国籍企業行動指針
  • ISO26000
  • 日本経済団体連合会「企業行動憲章」

SDGsとの関わり

「人と社会への配慮」に関する各活動は、下記のSDGsゴールと深く関わっています。

人権と労働
  • 3 すべての人に健康と福祉を
  • 5 ジェンダー平等を実現しよう
  • 8 働きがいも 経済成長も
  • 10 人や国の不平等をなくそう
製品責任
  • 12 つくる責任 つかう責任
社会貢献
  • 4 質の高い教育をみんなに
  • 品質マネジメント
  • 製品の安全性の確保
  • 製品の使いやすさの向上