地球規模の気候変動や行き過ぎた開発によって、貴重な森林資源や生物多様性、また、さまざまな動植物の生息域が失われつつあります。キヤノンは、自然環境や生物多様性が将来の持続可能な社会にとって重要な基盤であることを深く認識し、保全に向けた行動を推進しています。
キヤノンは、生物多様性が持続可能な社会にとって欠かせないものであると認識し、グループ共通の「生物多様性方針」を掲げて、さまざまな生物多様性保全活動に取り組んでいます。
基本的な考え方キヤノンは、生物多様性が将来の持続可能な社会にとって重要な基盤であることを深く認識し、生物多様性に資する行動を推進していきます。
行動指針世界各地のキヤノングループにおける取り組みをご紹介します。
巣箱を設置する様子
事業所内で営巣が確認された巣箱
キヤノンでは、鳥をテーマに生物多様性について考える、「バードブランチプロジェクト」を推進しています。各事業所の緑地を活用して、野鳥が暮らしやすい環境を整備するとともに、社内外への生物多様性の啓蒙活動を行っています。
例えば、キヤノン(株)下丸子本社では、事業所内の野鳥の生育環境の整備に加え、ネットワークカメラによる観測や、継続的な鳥類調査を行っています。また、身近な自然に興味を持ってもらうため、社員向けのセミナーや野鳥観察会などを実施しています。
下丸子以外の国内事業所でも、「日本野鳥の会」のサポートのもと、順次鳥類調査や生育環境の整備を行っているほか、フランスやオランダなどの海外拠点においても、現地の専門家と連携した活動を展開しています。2021年までにはプロジェクト参加拠点を国内22拠点(2019年)から36拠点に拡大していきたいと考えています。
また、これらの取り組みを紹介するWebサイトを公開しており、2022年までにアクセス数60万PV(2019年)から100万PV(2022年)を目指していきます。この活動を通じて生物多様性保護の重要性を伝えています。
キヤノンUSAは、世界的に有名な米国・ワイオミング州のイエローストーン国立公園に資金を提供し、絶滅危機に瀕した野生動物の保護のための調査活動を支援しています。
とくに、教育・研究プログラム「Eyes on Yellowstone」では、キヤノンの映像機器を使用して生態観察を行い、映像ライブラリーをデジタル化してWebサイトで配信。この映像は、世界中の数百万人に及ぶ子どもたちに教材として利用され、地球環境に関する知識や保護の重要性を認識するために役立てられています。
キヤノンカナダが推進する「Branch Out」プログラムでは、一般社員からマネジメント層まで、あらゆる階層の社員が、さまざまな地域コミュニティを緑化し、サステナブルな環境の構築を支援しています。2014年に植樹活動からスタートし、公園・川・海岸の清掃、外来植物の駆除、生息環境の回復、リクガメのためのシェルター構築など、あらゆるサステナビリティ活動へと対象を拡大してきました。キヤノンカナダでは、トロント、ケベックシティ、バンクーバーなど13の事業所で働くすべての従業員が就業時間内にボランティアとしてプログラムに参加することを推奨しています。活動を開始以来、カナダ全土の68カ所においてのべ9,700時間以上活動し、36,000本以上の植樹、7,000m3超の外来植物の駆除、さらには海岸線の復元など、実績を積み重ねています。2019年には、カナダの大手日刊紙「Globe & Mail」が主催するCanada’s Top 100 Employers projectにおいて、「Canada’s Greenest Employers」に初めて選出され、環境・CSR活動に積極的に取り組む企業として認定されました。
キヤノングループ会社のアクシス(Axis Communications)社(スウェーデン)は、サイを密猟から守るNPO団体の活動を支援するため、2016年にネットワークカメラとホーンスピーカーを寄贈しました。このカメラは赤外線を検知して画像生成を行うため、昼夜を問わず監視ができるようになりました。さらに、独自の画像認識技術により不審者を認識し、スピーカーで警告を発することもできます。
キヤノンマーケティングジャパン(日本)は、子どもたちの未来に多様な生き物を育む緑豊かな美しいふるさとを残すため、「未来につなぐふるさとプロジェクト」を日本国内のさまざまな地域で展開しています。このプロジェクトでは、各地のNPOや地域住民の方と連携した環境保全活動や環境教育を実施。一般の方をはじめ、従業員とその家族、取引先などのさまざまなステークホルダーが参加しています。また、使用済みカートリッジ回収量や用紙の販売数に応じた金額を同プロジェクトの活動資金とするなど、事業と連携して活動を推進しています。
キヤノンハイテクタイランド(タイ)は、海洋生態系の保全を目的に、海洋・沿岸資源研究センターや地域コミュニティの協力のもと、チョンブリ県サッタヒープ地区の海岸で海草復元プロジェクトに取り組みました。キヤノンから150人が、地域政府やコミュニティから50人が参加し、総勢200人で合計約1万本の海草植え付けを行いました。
キヤノンは、バリューチェーンにおける生物多様性の保全にも取り組んでいます。オフィス向けに販売している用紙の原材料となる森林資源を持続的に活用できるように、森林資源の保全に配慮した木材製品の調達に関する方針を策定。その方針に従って、「森林認証用紙」や「環境に配慮された供給源の原材料から製造された用紙」を採用しています。
キヤノングループは、木材製品の調達において木材利用を目的として管理された森林資源から供給された材料を使用する。
2.使用する森林資源のトレーサビリティの実施「原料となる木材の収穫から物品の製造過程全体を通じてのトレーサビリティの確保」をお取引先の協力のもと実施する。
3.「トレーサビリティ確保」のエビデンス確認キヤノン製品(またはOEM製品)およびそれらの包装を構成する物品が各国の木材製品規制の対象となる場合などについては、それに使用する調達物品について、お取引先の協力のもとエビデンスを管理する。
キヤノングループの木材製品管理基準はこちらをご覧ください。