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野鳥との距離感

日本で野鳥撮影をする場合、超望遠レンズを使用することが多いが、それは野鳥が私たち人間に対して恐怖を感じているから。彼らにとって、人間との距離をとることが安全を確保することになります。しかし、ブラインドを使ったり、時間をかけてゆっくりと近づけば、鳥たちとの距離は縮まります。今回は、鳥たちとの撮影距離のとり方について説明します。

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カツオドリ
カツオドリ
カツオドリ
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小笠原諸島母島の港でのこと。この港では時々カツオドリがダイビングをしているのだが、この時は岸壁に止まったカツオドリの横に少年が!まるで会話をしているようだった。このあと、彼の友だちも並んでカツオドリを見ていたが、妹と思われる少女が走ってくると、彼女とバトンタッチをするように、カツオドリは飛んでいった。


撮影データ
  • 絞り:F4
  • シャッタースピード:1/4000秒
  • ISO感度:800
  • 露出補正:-1
  • 焦点距離:500mm
  • 一眼レフカメラ(フルサイズ)

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野鳥との距離はケースバイケース

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あなたは、見知らぬ人が無言で近づいてきたらどうしますか?まず、違和感を覚えるでしょう。ましてやその人が危険そうに見えれば、必ず安全な距離を保つはずです。野鳥たちにも同じことが言えます。彼らにとって人間は、怖い存在なのです。
普段、警戒心が強いスズメやヒヨドリ、ハシブトガラスが、動物園や公園ではおどろくほど近くで観察できることがあります。これは、人から危害を加えられた経験がないからです。しかし、個体によってこの警戒心は異なり、触れられそうな近さまで来るものもいれば、一定距離を保つものもいます。
撮影をするにあたり、彼らが警戒心を持たない距離ならば、自然な姿や行動を写すことができるのです。


ミユビシギ

ミユビシギの群れが採餌しながら向かう方向を確認し、その先で寝転がりながら待っていると、どんどん近づいてきた。このあと、彼らは私の真横まで来ると、さすがに私の存在に気がつき飛び去った。

絞り
F5.6
シャッタースピード
1/800秒
ISO感度
1600
露出補正
0
焦点距離
100mm
一眼レフカメラ(フルサイズ)
イメージ
ファインダー内
ミユビシギ
ミユビシギ
ミユビシギ
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どの鳥が一番手ごわい?

イメージ

やはり猛禽類は一番手ごわいと言っていいでしょう。食物連鎖の上位にいる種類ほど警戒心が強いのは、獲物を狙うにあたり、のんびりと目立つ場所にいないことが理由かもしれません。しかし、例外がいます。南西諸島のカンムリワシです。その理由は、食物連鎖の頂点に君臨していることと、人間からの危害を受けておらず、逆に農作業などの人の作業でエサが手に入ることにも関係しているかもしれません。
逆に警戒心が強い猛禽類としては、クマタカやイヌワシ、人里離れた場所に生息するオオタカなどですが、身近な野鳥でも、スズメ、ヒヨドリ、ハシブトガラスやハシボソガラスなども警戒心が強く、撮影には苦労します。反対に秋に、シギやチドリの幼鳥が単独で渡ってきたときには、手で触れられそうな距離まで近づけることもあります。

オオタカ

オオタカが川沿いの樹にとまっていた。車でいったん通り過ぎてから、車内に三脚を立ててカメラをセット。Uターンしてゆっくりと近づき、窓から何とか撮影ができたが、思い切り警戒していることがこちらにもひしひしと伝わり、1分もしないうちにすぐに飛び去った。

絞り
F10
シャッタースピード
1/1600秒
ISO感度
800
露出補正
+0.3
焦点距離
1000mm相当(500mmにx2テレコンバータを使用)
一眼レフカメラ(フルサイズ)
イメージ
ファインダー内
オオタカ
オオタカ
オオタカ
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カンムリワシ

石垣島の林道を車で走りながら鳥を探していると、カンムリワシが枝にとまっていた。その下をいったん通りすぎたが飛ばなかった。「これは!」と思いUターンしてゆっくりと近づく。それでもまだ飛ばないので24‐70㎜のレンズに交換して、車の窓から撮影することができた。こういうことができるのは、日本の猛禽類の中ではカンムリワシだけかもしれない。

絞り
F4
シャッタースピード
1/125秒
ISO感度
400
露出補正
+2.7
焦点距離
44mm
一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)
イメージ
ファインダー内
カンムリワシ
カンムリワシ
カンムリワシ
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怖がらせずに、近づくコツ

イメージ

野鳥は人のシルエットを怖がるので、そのラインを隠すようにするといいでしょう。簡単なのは、布などを広げて姿を隠すことです。こちらの姿が見当たらなければ、かなり警戒心が弱くなるので、リラックスした姿を狙えます。もう少し慎重にしたいのなら、テントタイプのブラインドを使うことをおすすめします。
ちなみに、私はよく車から撮影しています。窓枠にレンズを載せて撮影するのですが、車で近づくだけでもかなり距離を縮めることができます。ただし、いきなり近くに止まると、やはり警戒して飛んで逃げられてしまいます。あらかじめ窓枠にレンズを載せて、相手の様子を見ながら徐々に近づけば、逃げられる確率がぐっと減ります。
気をつけなければいけないのは、周囲の交通事情を無視した行動です。急ブレーキや無謀な駐車などはもとより、とくに農道では農家の方の邪魔にならないように気をつけなければなりません。たとえ、とてもいい調子で撮影できていたとしても、農作業の妨げになるようならあきらめて移動しましょう。農道は作業道なので、あくまでも「撮影をさせてもらっている」という謙虚な心を忘れないでほしいものです。

カワセミ

不忍池のボート乗り場で、ボートに止まるカワセミ。餌付けはされていないが、非常に人通りの多い場所にもかかわらず人に対して警戒心が薄いようで、肉眼でもはっきりとわかる位置で撮影できた。

絞り
F5
シャッタースピード
1/3200秒
ISO感度
800
露出補正
0
焦点距離
248mm
一眼レフカメラ(フルサイズ)
イメージ
ファインダー内
カワセミ
カワセミ
カワセミ
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リラックスするとどんな撮影ができるのか?

イメージ

鳥は、警戒すると飛んで逃げます。警戒していて、逃げようかどうしようかと悩んでいるときは、落ち着きがなくなって、キョロキョロとあたりを見回したりします。飛ばずにこちらの存在を許容してくれれば、警戒心が緩み、羽づくろい、伸びなどをしてくれますし、運が良ければうたた寝などもしてくれることでしょう。
これらの行動で彼らがリラックスしていることが確認できれば、ゆっくりと近づき、超望遠から望遠レンズへ交換することで風景を入れた撮影もできるでしょう。


ミツユビカモメ

ミツユビカモメが珍しく愛知県の港に入った。エサを食べて眠くなったのか車止めの横で眠り始めた。起こさないようにゆっくりと近づき、最後はバリアングルを使ったローアングルで眠たそうな姿を撮影できた。

絞り
F8
シャッタースピード
1/1600秒
ISO感度
200
露出補正
0
焦点距離
18mm
一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)
イメージ
ファインダー内
ミツユビカモメ
ミツユビカモメ
ミツユビカモメ
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キセキレイ

対岸の枝に来るアカショウビンを待っているが、一向に来る気配がない。ただぼ~っと座って待っていると、池に沈んだ倒木の枝にキセキレイがとまり、羽づくろいのあと伸びをした。ブラインドを張っていなかったが、じっと座っていたことと、ぼ~っとしてこちらの殺気がなかったために、くつろぐ姿を撮影できた。

絞り
F8
シャッタースピード
1/200秒
ISO感度
1600
露出補正
-2.3
焦点距離
700mm相当(500mmにx1.4テレコンバータを使用)
一眼レフカメラ(フルサイズ)
イメージ
ファインダー内
キセキレイ
キセキレイ
キセキレイ
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エゾフクロウ

早朝、エゾフクロウの巣立ちしたヒナたちを探しに行くと、はじめに1羽の親鳥が見つかった。この日はカメラマンが少ないこともあり、撮影をしているともう1羽が横に飛んできてとまり、やがてラブラブな相互羽づくろいを始めた。やはり人が少ないことで彼らも緊張していないのだろう。普段見ることがない、リラックスした姿を撮影することができた。

絞り
F5.6
シャッタースピード
1/40秒
ISO感度
400
露出補正
0
焦点距離
500mm
一眼レフカメラ(フルサイズ)
イメージ
ファインダー内
エゾフクロウ
エゾフクロウ
エゾフクロウ
拡大する

海外では広角レンズでも撮影ができる?

イメージ

海外に行くと、普段人との接触がなく、危害を加えられていない鳥たちは、人を見ると寄ってくることがあります。孤島で繁殖する海鳥などは好奇心旺盛な種類が多く、向こうから寄ってくることもあります。
以前、ミッドウェイ島で寝転んで撮影していたときに、コアホウドリが背中を歩いて、乗り越えていったこともありました。日本でもっとも警戒心が薄いのは、ライチョウでしょう。広角レンズでも撮影ができますが、いくら近くまで寄ることができても野生の生きものなので、絶対にさわらないでください。私たちが持っている菌が、彼らに悪影響を与える可能性もあるからです。

ライチョウ

ライチョウは高山帯で生活することと、普段人間から危害を加えられていないことで、人を恐れない個体が多い。特に遊歩道近くに縄張りを持つ個体は人を気にしないような気がする。この個体はこちらに向かって歩いてきた。じっとしている私のすぐ横を通り過ぎようとしたので、短いレンズで真上から撮影することができた。

絞り
F4
シャッタースピード
1/500秒
ISO感度
200
露出補正
0
焦点距離
40mm
一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)
イメージ
ファインダー内
ライチョウ
ライチョウ
ライチョウ
拡大する

ヤマセミ

紅葉した枝の中で、ヤマセミのペアが休息していた。逃げられないように窓枠に載せたビーンズバッグ(クッション)の上にレンズを置いて、ゆっくりと車で近づき、「ペアどまり」の撮影ができた。ちなみに1000㎜で撮影していることと、ノートリミングなので、画面の中のヤマセミがこの大きさになることを考えれば、かなりの距離があることがわかると思う。警戒心がとても強い鳥なので、撮影できた時はうれしかった。

絞り
F8
シャッタースピード
1/320秒
ISO感度
1600
露出補正
-1.3
焦点距離
1000mm相当(500mmにx2テレコンバータを使用)
一眼レフカメラ(フルサイズ)
イメージ
ファインダー内
ヤマセミ
ヤマセミ
ヤマセミ
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ツグミ

車の窓枠からツグミのとまりを狙っていると、こちらのことはあまり気にしていない感じだった。車内撮影かつAPS-Cでの700mmという超望遠レンズを使用したことで、リラックスして伸びをする姿を撮影することができた。

絞り
F5.6
シャッタースピード
1/1250秒
ISO感度
400
露出補正
-0.3
焦点距離
700mm相当(500mmにx1.4テレコンバータを使用)
一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)
イメージ
ファインダー内
ツグミ
ツグミ
ツグミ
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カワセミ

カワセミがエサ場にしているところでブラインドを張って待つと、カワセミが来てエサをとり、止まり木に止まった。事前に知人が張っていたブラインドを使わせてもらっていたから、こんなにも簡単にリラックスした姿を撮ることができた。いきなりブラインドを張ると警戒して来ないこともあるので、彼らが馴れてくれることがまずは一番大事だ。

絞り
F10
シャッタースピード
1/4000秒
ISO感度
1600
露出補正
-1
焦点距離
500mm
一眼レフカメラ(APS-Cサイズ)
イメージ
ファインダー内
カワセミ
カワセミ
カワセミ
拡大する