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化学物質

製品や生産工程で使用する化学物質の徹底管理を行っています

キヤノンでは、「製品含有化学物質」「生産工程で使用する化学物質」の管理を徹底しています。管理においては、製品に基準値を超えた化学物質を含有させない、事業拠点から基準値を超えた化学物質を排出させないための「予防」と、基準を遵守していることの「確認」を基本的な考え方としています。

製品中の化学物質を徹底管理

製品含有化学物質に関する、世界で最も厳しい規制にあわせた社内基準を設定し、この基準に即した製品開発に取り組んでいます。

キヤノンは、製品含有化学物質に関する環境保証体制をグループ全体で構築し、世界各国の法律や主要なエコラベルを参考に世界で最も厳しい規制にあわせた社内基準を設け、この基準に則した製品開発に取り組んでいます。
具体的には、製品への使用を禁止する「使用禁止物質」、今後の使用を禁止するため特定の期限までに代替に努める「使用制限物質」、含有量などを管理する「含有管理物質」の3項目に分類して、徹底した管理を行っています。

化学物質情報伝達スキーム「chemSHERPA」の活用と推進

化学物質を適切に管理するためには、原材料や部品・製品などに含まれる化学物質の情報を、サプライチェーンの上流から下流に、正確かつ効率的に共有し、各規制への適合を確認することが必要です。
従来は製品含有化学物質の情報伝達手段において、各社各様の調査フォーマットが氾濫し、同じ部品や化学品でも異なる書式に何度も回答するために、サプライチェーン全体で多くの調査負荷・コストが発生していました。また、各社各様の調査フォーマットが流通することで、サプライチェーンの情報伝達を通じたデータ信頼性の低下が懸念されていました。
そのような中、製品に含有する化学物質規制の適合性確認のための企業間の情報伝達を円滑化する目的で、経済産業省が主導して共通化した情報伝達スキームが「chemSHERPA」です。「chemSHERPA」は、国際規格であるIEC62474のデータスキームを採用したもので、材料・部品ごとに化学物質規制の適合性確認結果を管理することができます。また、化学物質規制の改訂がタイムリーに反映され、より精度の高い調査を行うことが可能となります。
キヤノンは、従来からIEC62474に基づき製品含有化学物質情報の調査・管理を行ってきましたが、2017年に「chemSHERPA」の導入を完了。キヤノンが運用を開始してから行った調査のうち、「chemSHERPA」による回答は、99%以上となり、社内の業務効率向上、サプライヤーの負担軽減につながっています。さらに、一部のサプライヤーでは、調査に対する回答に必要な情報を事前に準備して回答する「提供型回答」へと移行し、運用のさらなる効率化が図られています。
一方、回答が困難なサプライヤーには、新たに日本語・英語・中国語で回答マニュアルを作成し、「chemSHERPA」の国際的な普及を継続的に推進しています。

※ 電気・電子業界およびその製品に関するマテリアルデクラレーション。グローバル・サプライチェーンにおける電気・電子業界の製品に含有される化学物質や構成材料に関する情報伝達の効率化をめざしIEC(国際電気標準会議)が2012年3月に発行した国際規格

国際電気標準会議(IEC)で「サプライチェーン情報伝達の高度化」に貢献

キヤノンは、電気・電子技術分野において国際的な標準化を行う国際電気標準会議(IEC)において、環境に関わる規格を策定する技術委員会(TC111)メンバーとして、特に製品含有化学物質の情報伝達の規格策定に貢献。世界の専門家とのパートナーシップのもとに、サプライチェーン情報伝達の高度化に向けて取り組んでいます。

生産工程で使用する化学物質の管理

人体・環境への影響や可燃性など、安全面から規制が求められる化学物質を3レベルに分類し、レベルに応じて対策を講じています。

キヤノンは、生産工程で使用する化学物質について、人体・環境への影響や可燃性など、安全面から規制が求められている化学物質を「管理化学物質」としてリスト化し、「Aランク:使用禁止」「Bランク:排出削減」「Cランク:規制対象」の3レベルに分類して各レベルに応じた対策を講じています。

「Aランク:使用禁止」物質には、化学兵器禁止条約、ストックホルム条約、モントリオール議定書および石綿の使用における安全に関する条約に規定される物質、さらに、特定の温室効果ガス(PFC/HFC/SF6)、その他の土壌・地下水汚染物質、人の健康に重大な影響を及ぼす物質を定めています。

また、PFC/HFC/SF6以外の温室効果ガス、IPCCにより地球温暖化係数(GWP)が示されている温室効果ガス、揮発性有機化合物(VOC)、その他、キヤノンが対象として指定する物質を「Bランク:排出削減」物質に定めています。

なお、「Cランク:規制対象」物質は、基準値の遵守、使用量・在庫量の把握などの遵守事項を定めた化学物質です。

管理化学物質の使用量・排出量を削減するために

キヤノンでは、管理化学物質の排出削減のために、生産プロセス改善による化学物質の使用量削減や再利用など、各拠点でさまざまな取り組みを行っています。2022年はキヤノンプラチンブリタイランドやキヤノンハイテクタイランドにおける管理化学物質の代替化や台湾キヤノンにおける工程改善、除害装置導入による排出量削減といった継続的な削減活動により管理化学物質排出量は413tと、前年と比較して約3%の減少となりました。

管理化学物質排出量・PRTR制度対象物質排出量の推移

管理化学物質の使用量・排出量の推移

※ PRTR制度:化学物質排出移動量届出制度。PRTRはPollutant Release and Transfer Registerの略
※ 管理化学物質のうち「Cランク:規制対象」に分類している化学物質の集計は除いています
※ 主にISO14001統合認証の取得会社を集計の範囲としています

大気や水域の汚染を防止するために

キヤノンは、大気汚染や酸性雨の主要因となるNOx※1やSOx※2、海や湖沼の富栄養化の原因となるリンや窒素などの環境負荷物質の削減、水域での環境負荷指標であるBOD※3やSS※4の低減に努めています。例えば、キヤノン・コンポーネンツでは、処理後の排水にわずかに残る顔料を取り除くために、廃汚泥に含まれる活性炭を再利用する新たなフローをグループで初めて導入。環境負荷低減を実現しました。

※1:NOx(窒素酸化物):大気汚染や酸性雨、光化学スモッグの主な原因となる物質。燃料中の窒素分が酸化されたり、高温燃焼時に空気中の窒素ガスが酸化されることにより発生。
※2:SOx(硫黄酸化物):大気汚染や酸性雨の主な原因となる物質。石油や石炭などの化石燃料を燃焼することにより発生。
※3:BOD(生物化学的酸素要求量):水中の有機物を微生物が分解する時に消費する酸素量。BODの値が大きいほど水質は悪い。
※4:SS(浮遊物質量):水中に浮遊する粒径2mm以下の溶解しない物質の総称。

大気汚染を未然に防止するため、燃料使用設備の新規導入・更新に際しては、大気汚染物質(硫黄酸化物、窒素酸化物、ばいじんなど)の発生が少ない燃料を使用する設備を選定するとともに、重油の使用を原則禁止しています。また、オゾン層破壊物質やストックホルム条約で定められた残留性有機汚染物質についても使用を禁止しています。
また、オゾン層を破壊する物質やストックホルム条約で定められた残留性有機汚染物質についても使用を禁止しています。
排水については、各拠点に適用される法律などの規制項目について、その規制値を拠点基準値に設定したうえで、それぞれの項目について、拠点基準値の80%を社内管理値に設定し、管理基準を遵守できているかどうかを定期的に確認しています。
キヤノンでは、グループ一体となった環境マネジメントを実践した結果、2022年も環境に重大な影響を与える事故や重大な法規制違反はありませんでした。(水質/水量基準water quality/quantity permits含む)

土壌や地下水の汚染が確認された場合の対応について

キヤノンでは、土壌・地下水環境の保全を重要視し、「土壌・地下水汚染に対する基本方針」を策定。この方針のもとに対策の徹底を図っています。万が一、土壌・地下水汚染が確認された拠点については、法に則った汚染除去などの措置を確実に実施しています。
また、新規に土地を取得する場合には、事前に土壌調査を行い、土壌浄化などの対策を実施した上で、浄化完了後に購入することを基準化しています。さらに、各拠点で使用する化学物質を把握するとともに当該国や地域の基準と照らし合わせ、各地の状況にあわせたリスク対応を展開しています。

土壌・地下水汚染の浄化状況

事務所 対象物質 対応
下丸子 1, 2-ジクロロエチレン 薬剤注入、水質測定
宇都宮第一駐車場 フッ素およびその化合物 揚水処理、水質測定
取手 トリクロロエチレンなど
六価クロムおよびその化合物など
揚水処理、水質測定
キヤノンエコロジーインダストリー トリクロロエチレン、1, 1-ジクロロエチレン 被覆、揚水処理、水質測定
キヤノン・コンポーネンツ 水銀およびその化合物 被覆、水質測定

※浄化中の拠点は、行政に報告しています。

今後も、こうした取り組みを継続するとともに、モニタリングおよび浄化完了事業所の報告や届出を適切なタイミングで実施していきます。

PCB廃棄物の管理について

キヤノンでは、生体や環境へ影響を及ぼすPCB(ポリ塩化ビフェニル)について、法令に準拠し厳重に管理しています。2022年12月末現在、PCB廃棄物を保管している事業所は3拠点あり、保管している高濃度のPCB廃棄物は、蛍光灯安定器計492個です。これらについては、日本国内では中間貯蔵・環境安全事業株式会社において順次廃棄処理が進められています。

そのほかの重点的な取り組み

キヤノンが重点的に取り組んでいるその他の環境活動はこちらをご覧ください。

関連リンク