望月規弘(左)と内藤泰裕(右)の写真

動き始めたLCA。まずは、トナーカートリッジの回収をテーマにして、調査・研究を開始。当時の立ち上げチームのメンバーだった望月は、1990年代後半には製品のLCA評価に展開し、2001年からは全事業へとLCAの検討を拡大していった。

望月原単位*は基本的に素材ベースのため、モーターなどの部品を分解して、素材別の重量を算出していました。また、サプライヤーに協力してもらい、モールド成型やプレス加工などの加工エネルギーや端材量などのデータを蓄積し原単位化を進めました。

*原単位:
一定量の生産物をつくるために使用する、または排出するモノや時間などの量のこと。
ここでは、一定量の生産物をつくるときに発生するCO2の量のことを意味する。
ユニット部品と、それを分解して素材ごとに分けた写真 ユニット部品と、それを分解して素材ごとに分けた写真

部品を分解して1つ1つ重量を測定。素材ごとの重量を算出していた。

CO2の計算に必要な原単位は、製品に使われている素材の情報や事業活動で使用するエネルギーなど、1つ1つ情報を集めるという、気の遠くなるような作業だった。また、収集した膨大なデータを体系的に整理することも課題だった。

望月LCA評価を行うためには製品の素材・部品構成情報や梱包材情報、使用時のエネルギー消費情報、生産サイトにおける一台当たりのエネルギー消費情報、製品輸送情報、廃棄・リサイクル情報など多くの部署から情報を収集する必要があります。これらの情報を1つ1つ収集し、1999年、LCAをベースとしたタイプIII環境ラベル(複写機・複合機およびインクジェットプリンタ)を公開(業界初)しました。その後、全社展開するために、これまでのデータ収集と算定作業を体系化して「LCA評価システム」を構築しました。

2000年に発行されたタイプIII環境ラベル

2000年に発行されたタイプIII環境ラベル

「高機能製品を売ることは本当に環境に悪いのか」

こうして構築されたLCA評価システムを使用して、各事業の改善状況の評価が始まった。それを担当する内藤を待っていたのは、新たな課題だった。

内藤LCAを用いて各事業部の製品を評価できるシステムは一応できたものの、事業部門からは「低環境負荷製品を世に送り出しているのに、その改善努力が評価に表れていない。」という指摘を受けることがありました。

分析してみると、その原因は大きく2つ。「プロダクトミックスの影響」と「製品の高機能化」。これらをどう評価するかが課題だった。

内藤例えば、コンパクトデジカメと一眼レフを「カメラ」というひとくくりで評価してしまうと、一眼レフの新製品を小型軽量化して売り上げを伸ばしても、カメラ全体に占める一眼レフの比率が高くないと、カメラ全体では小型軽量化が進んでいないという数字になる場合があります。このようなプロダクトミックスの影響をなくすために、製品群のカテゴライズを最適化することにより、事業部からも評価結果に納得してもらえるようになりました。
また、例えば、印刷機の消費電力が1.5倍になったとしても、印刷できる枚数が2倍になれば、1枚あたりの消費電力は削減されます。絶対量だけを評価していれば改善は悪化しているように見えますが、「お客さまに提供する機能や価値」をベースに考えることにより、事業部の改善努力を反映できる評価システムができました。

「製品の改善も、会社全体の改善も正しく評価したい」
事業の拡大・変革に応じ、評価手法も磨き続ける。内藤の挑戦はまだまだ続く。

望月規弘の写真

望月 規弘(もちづき のりひろ)

環境統括センター 環境企画部 主席

2000年から環境業務に従事。以来、主にライフサイクルアセスメント(LCA)を用いた環境マネジメント、環境コミュニケーション活動に取り組んでいる。また、国際標準化の国内委員や産業環境管理協会 JEMAIの定量的環境ラベルの算定ルール策定など、LCA分野で業界を牽引している。

内藤泰裕の写真

内藤 泰裕(ないとう やすひろ)

環境統括センター 環境推進部 製品環境推進課 専任主任

入社後、キヤノン製品に関わる機能材料、環境材料の研究開発に従事、現在はLCAを用いたキヤノン事業活動全体に亘る環境負荷算定、及び算定手法の開発を行っている。各部門との情報共有、世の中の動向把握を通して、鳥瞰的な視点で業務に取り組むよう心がけている。

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