製品ライフサイクル全体で共生の実現に向けて取り組んでいます。
キヤノンは、環境ビジョンや環境目標の実現に向けて、国内外のグループ会社が一丸となって環境保証活動を展開しています。キヤノン(株)代表取締役CFOのもと、「サステナビリティ推進本部」を中核とし、事業本部や国内外グループ会社とのグローバルな体制で、環境活動を進めています。活動の実施にあたってはキヤノン(株)執行役員であるサステナビリティ推進本部長が代表取締役CFOに月1回定期的に報告を行い、活動の承認を受けています。グループ全社ならびにビジネスへの影響を見直す必要があるような気候変動を含む環境に関する世界的な動きが発生したときは、サステナビリティ推進本部長が代表取締役CEO、代表取締役CFOに報告し、リスク・機会への対応の方向性、施策について承認を受けています。
キヤノンは、環境保証活動の継続的な改善を実現するしくみとして、全世界の事業所においてISO14001によるグループ共通の環境マネジメントシステムを構築しています。
環境マネジメントシステムは、各部門(各事業本部、各事業所およびグループ会社)の活動と連携した環境保証活動を推進(DO)するために、中期ならびに毎年の環境目標を決定(PLAN)し、その実現に向けた重点施策や実施計画を策定して事業活動に反映させています。
さらに、各部門における取り組み状況や課題を確認する環境監査や、業績評価に環境側面を取り込んだ環境業績評価を実施(CHECK)し、環境保証活動の継続的な改善・強化(ACT)へつなげています。各部門の環境保証活動においても、それぞれPDCAサイクルを実践することで、継続した改善・強化を図り、グループ全体の環境保証活動を推進しています。
サステナビリティ推進本部では、環境に関わる法規制情報の収集、グループ全体の方針設定や規程の制定、環境保証活動の評価方法の立案・管理を行うなど、環境マネジメントシステムのスムーズな運営を支援しています。
また、環境マネジメントシステムの有効性について、第三者の客観的な評価を受けるため、国内外の生産・販売会社のうち、事業運営上認証取得が必要な拠点においてはISO14001統合認証を100%取得しています。2022年時点で、キヤノン(株)および世界40の国・地域のグループ会社(合計120社/564拠点)がISO14001統合認証を取得し、審査機関から「キヤノングループ全体として事業環境が大きく変化している中、新たな事業領域への展開を見据えた新たなリスクや機会を特定し、EMSに展開している」と肯定的な評価を受けています。
グループ全体での統合認証の取得は、ガバナンスの強化とともにキヤノンにおける環境マネジメントの効率的な運用につながっています。このしくみの中でサステナビリティ推進本部は、グループ全体の環境保証活動を統括し、マネジメントレビューを通じて活動の進捗状況をキヤノン(株)代表取締役CEOならびに代表取締役CFOに報告し、承認を得ています。
キヤノンの環境の取り組みは、工場での取り組みにとどまらず、製品ライフサイクル全体で行われています。ライフサイクル全体での環境負荷低減を実現するために、製品開発ではLCA(ライフサイクルアセスメント)の手法を導入しています。2022年は取引先から部品原材料CO2の実データの収集を開始、LCAに組み込むことで、実態を反映した製品開発に役立てています。
キヤノンは一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が推進する「Green x Digitalコンソーシアム」に参画し、サプライチェーンCO2排出量の見える化に向けた実証実験に参加しています。サプライチェーン全体の脱炭素化、ネットゼロをめざして、自社排出に加え、サプライチェーン全体からのCO2排出量の正確な把握に貢献しています。
製品環境に関する法的要求事項およびその他の要求事項に適合し、達成すべき環境性能をもつことを確実にするため、製品化プロセスの中で、製品環境アセスメントを実施しています。
実施にあたっては、まず、商品企画の段階で製品が達成すべき環境性能を目標として設定。商品化および量産への移行を判断する前に設定した目標の達成状況を評価し、製品に対する法的要求事項およびその他の要求事項への対応状況を確認しています。
キヤノンでは、内部環境監査を通じて環境マネジメントシステムの有効性を確認しています。内部環境監査は、サステナビリティ推進本部が実施する「本社環境監査」と各事業拠点・事業本部の監査部門が実施する「事業拠点環境監査」「製品環境監査」からなり、一部の拠点では拠点間の相互監査を実施しています。年間を通した内部環境監査の結果は、サステナビリティ推進本部のグループ監査統括部門がまとめ、マネジメントレビューの情報としてキヤノン(株)代表取締役CEOおよび代表取締役CFOに報告しています。2022年も重大な不適合や違反がないことを確認し、継続的改善および未然防止の観点から運用管理上の軽微な指摘事項についても改善対応を行っています。
また、環境マネジメントシステムの有効性について、第三者の客観的な評価を受けるため、国内外の生産・販売会社のうち、事業運営上認証取得が必要な拠点においてはISO14001統合認証を100%取得しています。2022年時点で、キヤノン(株)および世界40の国・地域のグループ会社(合計120社/564拠点)がISO14001統合認証を取得し、審査機関から「キヤノングループ全体として事業環境が大きく変化している中、新たな事業領域への展開を見据えた新たなリスクや機会を特定し、EMSに展開している」と肯定的な評価を受けています。グループ全体での統合認証の取得は、ガバナンスの強化とともにキヤノンにおける環境マネジメントの効率的な運用につながっています。このしくみの中でサステナビリティ推進本部は、グループ全体の環境保証活動を統括し、マネジメントレビューを通じて活動の進捗状況をキヤノン(株)代表取締役CEOならびに代表取締役CFOに報告し、承認を得ています。
環境業績評価は、事業本部、事業拠点、販売会社の各組織の環境活動の実績を年2回、評価・評点化するもので、経営状況などの実績とあわせて評価される「連結業績評価制度」に2001年から組み入れられています。本評価は、サステナビリティ推進本部が評価基準を策定、評価するもので、連結業績評価の総得点中約10%を占めています。評価基準は、主に「法規制・社内基準の遵守」「環境目標の達成状況」「製品の環境パフォーマンス改善実績」「環境コミュニケーション」などであり、評価結果は半期ごとにグループ内で発表されます。その評価は組織責任者である各事業の事業本部長、生産および販売会社の社長の評価として活用されます。このように、キヤノンでは、環境を経営評価の一部として取り入れています。
各事業拠点はエネルギー使用量(CO2排出量)、廃棄物排出量、化学物質排出量、水使用量を月次ベースでキヤノン下丸子本社のサステナビリティ推進本部・環境統括センターに報告します。サステナビリティ推進本部はそれを集計し、目標達成への進捗をモニターしています。集計結果は毎月役員、事業部門長、国内外の主要グループ会社のトップに報告されます。また、評価・特定されたリスクは、ISO14001によるグループ内共通の環境マネジメントシステムのしくみの中で、環境保証活動のPDCAサイクルで管理しています。
キヤノンでは、環境に対する従業員意識の向上と取り組みの促進をめざし、2003年に日本国内の活動事例を紹介する社内展示会を開始しました。2008年より対象を海外の活動事例にも拡大し、2009年からは優秀事例を経営トップが表彰する環境表彰制度へと発展させてきました。こうした展示会や表彰制度は、経営層が優れた活動を見い出し、社内展開を活発化させるとともに、従業員の環境意識を向上させる貴重な機会にもなっています。さらに、2013年からグループ内のイントラネットでオンライン展示会を併設したことで、多くのグループ従業員が年間を通じてアクセスできるようになり、事例の横展開のスピードが格段に早まりました。2022年は3年ぶりに対面による表彰式を開催し、優秀賞4件を選出しました。
キヤノンの環境教育プログラムは、全従業員に対する環境基礎教育と特定の業務を行う従業員を対象とした「専門環境講座」により構成されています。
環境基礎教育は環境保証活動の重要性、環境方針・目標などの理解、専門環境講座は環境保証関連業務に携わる従業員の知識やノウハウの習得を目的としています。「専門環境講座」は、製品環境、拠点環境、環境監査に分類され、なかでも製品環境講座は製品アセスメント実務者研修、物品調査実務者研修など、担当者としての知識やノウハウの習得のための研修を行っています。
これらの教育プログラムは、eラーニングによる知識習得、集合研修など、目的にあわせて、必要な従業員がいつでも受講できる環境を整えています。
特に専門環境講座のうち、リスクマネジメントに関わる講座については、グローバルな教育に力を入れており、2016年から英語や中国語による研修教材も使用しています。2022年も、リスクマネジメントに関連する業務に従事する従業員への教育を完了しました(2022年実績約8,000人)。
また、2017年から新入社員に対する工場生産実習の一環として、リサイクル研修を実施しています。リサイクル拠点の一つであるキヤノンエコロジーインダストリーにおいて、オフィス向け複合機の解体実習など、リサイクルに関する教育を行っています。
キヤノンでは、「Minimum Energy 360」を合言葉に、全社員が共通の考え方を持って環境課題の解決に取り組んでいます。社員一人ひとりが、「あらゆる企業活動を最小のエネルギーで行う/行えるようにする意識」を持つことで、取り組みを加速していきます。
キヤノンは、多様なステークホルダーに向けた環境情報の開示に努めています。本レポートの発行をはじめ、環境Webサイト、各種の展示会など、さまざまな媒体や機会を活用して、キヤノンの取り組みを知っていただくために積極的に活動しています。さらにステークホルダーのみなさまからいただいたご提案や意見をもとに、活動のより一層の推進や改善に努めています。
また、地域の小学校への環境出前授業や地域の団体と連携した環境プログラムの提供など、地域のみなさまへの環境に関する教育・啓発につながる活動を各地で推進しています。2011年、キヤノンではトナーカートリッジを題材にした環境出前授業を開始しました。2022年からはキヤノンブルターニュにも活動を広げ、のべ240回以上の授業を開催し、参加者は1万2,000人を超えています。
2018年2月に開所したキヤノンエコテクノパークは、最新鋭のリサイクル工場であるとともにキヤノンの環境活動の発信拠点としての役割も担っています。トナーカートリッジやインクカートリッジの自動リサイクルシステムの見学コースのほか、キヤノンバードブランチプロジェクトをはじめとするさまざまな環境活動をパネル、映像、体験コーナーで紹介するショールームを設置。お客さまの見学のほかにも小学生などに向けた環境学習の場としても活用しています。2022年は一般のお客さまの見学や環境授業の受け入れを本格的に再開したほか、ウィズコロナに対応したオンライン授業も継続しました。さらに見学ルートの見直しや展示エリアのレイアウト変更を実施しました。
(見学などのお問い合わせも上記サイトをご参照ください)
キヤノンエコテクノパークの環境授業では、オンラインを活用したカリキュラムの拡充も行っています。オンラインでも、対面で行っていた環境授業をベースに、実際にキヤノンエコテクノパークで実施している分別方法をデモで紹介するなど、子どもたちが資源循環の大切さやSDGsを含む環境課題について楽しく学び、考えられる双方向型の授業を実現。2022年は、キヤノンエコテクノパーク近隣の小学校7校に対して実施し、約210人の子どもたちにキヤノンの取り組みや資源循環の大切さを学んでもらいました。
オンライン環境授業の様子
キヤノンスペインは、スペインの全国ラジオ番組に出演し、サーキュラーエコノミー分野におけるキヤノンのコミットメントと行動方針を説明しました。具体的には、リマニュファクチュアリングの考え方や、再製造機EQ80 imageRUNNER ADVANCEシリーズが新規製品にくらべて原材料の節約やCO2排出量の削減につながるという点で、SDGsにどのように貢献しているかを説明しました。今回キヤノンスペインが出演したラジオ番組は、経済・環境ニュースを扱い、ゴールデンタイムに放送されているため、非常に多くのリスナーが聴取しました。
キヤノン中国では北京本社が入居しているオフィスビルの食堂と共同で、一般的な家畜の肉よりも生産の過程でCO2の排出量が少ない代替肉を使った料理を提供し、地球温暖化防止への関心を喚起するイベントを実施しました。代替肉を使用した18種類の料理と食肉生産過程で排出されるCO2についての比較をしたパネルを食堂に展示し、おいしい料理を味わってもらうと同時に、温暖化防止への理解を呼びかけました。食肉の生産過程においても多量のCO2が排出されることを知らない人も多く、「たいへん参考になった。」との声が聞かれました。また、食堂にはキヤノン以外の企業やお客さまも利用しており、こうした方々にも地球温暖化について考えてもらうきっかけとなりました。
キヤノンでは、グループ一体となった環境マネジメントを実践した結果、2022年も環境に重大な影響を与える事故や重大な法規制違反はありませんでした(水質/水量基準含む)。
なお、事業拠点において、騒音などに関する苦情がありましたが、適切に対応し対策を完了しました。
私たちの生活は豊かになる一方、気候変動や資源の枯渇、有害物質による汚染や生物多様性の低下など、さまざまな環境課題が存在しています。こうした課題に対し、世界ではカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に向けた議論が加速しています。企業は各環境課題がもたらす事業活動への影響を認識した上で、国や自治体、専門家などのステークホルダーと連携しながら、課題の解決に貢献していくことが重要ととらえています。キヤノンでは、専門機関や政府機関からの情報をもとに変化する社会の姿をさまざまに想定し、事業上のリスク・機会を特定しています。
リスク機会 | リスク・機会の概要 | 財務影響 | 対処 | |
---|---|---|---|---|
リスク | 移行リスク | 省エネルギー規制の強化と対応コストの増加 (製品・拠点) |
大 |
|
経済的手法を用いた排出抑制(炭素税など)による事業コストの増加 | 中 |
|
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物理リスク | 台風や洪水被害の甚大化など異常気象の深刻化による操業影響 | 中 |
|
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評判リスク | 情報開示の不足による外部評価の低下 | 小 |
|
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機会 | 製品・サービス | 省エネルギー製品をはじめライフサイクル全体でのCO2排出量が小さい製品に対する販売機会の拡大 | 大 |
|
ハードとソフトの両面から革新を支えるさまざまな製品・ソリューションの販売を通じた社会全体のCO2削減への貢献 | 大 |
|
||
資源の効率 | 生産や輸送の高効率化によるエネルギーコストの削減 | 中 |
|
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エネルギー源 | 再生可能エネルギーの低コスト化による活用機会の拡大 | 中 |
|
|
その他 | 気候関連情報の開示促進による企業イメージの向上 | 小 |
|
リスク | 機会 | ||
---|---|---|---|
資源循環 | 移行リスク | • 資源制約による原材料調達コストの増加 • 資源効率要求の規制化と対応コストの増加(製品・サービス) • 各地域における使用済み製品の回収・処理コストの増加 |
• 資源効率の向上による事業活動でのコスト削減 • 3R設計ならびに資源循環を促進する先進的技術による競争力向上 • 循環型社会に貢献する製品・消耗品に対する需要の増加(リマニュファクチュアリング製品など) • 資源循環に対する先進性アピールによる企業イメージの向上 • 資源循環の取り組みによるCO2削減効果の創出という価値の提供 |
物理リスク | • 異常気象による水の安定供給の阻害と操業影響 | ||
評判リスク | • 資源循環への対応遅れによる企業イメージの低下 | ||
化学物質 | • 規制の強化・拡大にともなう化学物質管理コストの増大 • サプライヤーでの不祥事にともなう操業停止と部品調達の寸断 • 規制への対応漏れによる企業イメージの低下 |
• 管理の高度化による安心・安全な製品の提供と競争力維持 • サプライチェーンを含めた管理の効率化によるコスト削減 • 国際標準化への貢献を通じた企業イメージの向上 |
|
生物多様性 | • 森林資源の減少による印刷用紙の供給減と高価格化 • 地域の生態系バランスが崩れることによる事業活動の制約 |
• 生態系保全への自社製品や技術の活用 • 地域社会への貢献を通じた企業イメージの向上 |
製品ライフサイクル(スコープ1~3)※を通じたCO2排出量を2050年にネットゼロとすることをめざします。
※ スコープ1:直接排出(都市ガス、LPG、軽油、灯油、非エネルギー系温室効果ガスなど)、
スコープ2:間接排出(電気、蒸気など)、
スコープ3:サプライチェーンでの排出(購入した物品・サービス、輸送・流通、販売した製品の使用)
2008年に設定した環境目標「ライフサイクルCO2製品1台当たりの改善指数年平均3%改善」を継続的に達成し、累計で50%改善とすることをめざしています。
また、SBTi*の基準に即し、スコープ1、2排出量を2022年比で42%削減、スコープ3(カテゴリー1,11)排出量を2022年比で25%削減することをめざします。(SBTi認定を取得)
*SBTi (Science Based Targets initiative) : 科学的根拠に基づいたGHG排出削減目標の設定を推奨する国際イニシアティブ
2022-2024年中期環境目標 | 2022年実績※2 | |
---|---|---|
総合目標 | ライフサイクルCO2製品1台当たりの改善指数年平均3%改善 | 年平均4.1%改善(2008~2022年) |
製品目標 | 原材料・使用CO2製品1台当たりの改善指数年平均3%改善 | 年平均2.5%改善(2008~2022年) |
2022年環境目標※1 | 2022年実績※2 | |
拠点目標 | 拠点エネルギー使用量の原単位改善度:1.2%改善 | 5.8%改善 |
廃棄物総排出量の原単位改善度:1%改善 | 0.7%改善 | |
生産に起因する水資源使用量の原単位改善度:1%改善 | 1.6%改善 | |
管理化学物質排出量の原単位改善度:1%改善 | 7.1%改善 |
※1 直近3年平均改善率、ただし日本の拠点エネルギーについては省エネ法に準じる。原単位分母は各拠点の特性に応じて決定(生産台数、有効床面積、人員など)
※2
データ集計の対象
「ライフサイクルCO2製品1台当たりの改善指数年平均3%改善」の目標に対し、年平均4.1%(2008~2022年)、2008年からの累計では、43%の改善となりました。2022年は、拠点における省エネルギー活動の強化、製品における小型軽量化、省エネ化など製品ライフサイクル全体での継続的な改善活動が進みました。
製品の小型・軽量化、省エネルギー化などに取り組みましたが、「原材料・使用CO2製品1台当たりの改善指数年平均3%改善」の目標に対し、年平均2.5%(2008~2022年)の改善となり、目標をわずかに下回りました。
拠点エネルギー使用量の原単位改善度についてより一層の脱炭素へ向けた活動を強化するために、従来の1.2%改善から2.4%改善へ目標を引き上げます。
総合目標、製品目標の2023-2025年中期環境目標および拠点エネルギーを除く2023年環境目標については昨年と同様としています。
2022年の製品ライフサイクル全体(スコープ1~3)※のCO2排出量は、約834万t-CO2となりました。2021年に対し、製品の小型軽量化、省エネ化、物流において航空輸送から海上輸送への切り替えなどの改善が進みましたが、世界全体の新型コロナウイルスからの回復により出荷台数が増加した影響で、原材料や使用、輸送におけるCO2が増加しました。その結果、製品ライフサイクル全体では、約21万t-CO2の増加となりました。製品ライフサイクル全体を通じ、事業活動で使用した資源(インプット)および地球環境への排出(アウトプット)は下図のとおりです。
また、2021年からは集計範囲を拡大した影響で2020年にくらべ総量が増加しています。
※ スコープ1:直接排出(都市ガス、LPG、軽油、灯油、非エネルギー系温室効果ガスなど)
スコープ2:間接排出(電気、蒸気など)
スコープ3:サプライチェーンでの排出(購入した物品・サービス、輸送・流通、販売した製品の使用)
※ 原材料および加工に関わるCO2換算係数は、エコリーフ環境ラベルプログラムの換算係数を使用しています。2021年以降のデータについてはキヤノングループの連結対象会社を集計の範囲とし、それ以前は主にISO14001統合認証の取得会社を集計の範囲としています。
カテゴリー | 算定対象 | 2022年 (千t-CO2) |
算定方法 |
---|---|---|---|
1 | 購入した製品・サービス | 3,519 | 製品素材重量、および製品起因の廃棄物素材重量に素材/加工別原単位を乗じて算出 |
2 | 資本財 | 487 | 購入した資本財の資産区分ごとの合計金額に資産区分別原単位を乗じて算出 |
3 | スコープ1,2に含まれない燃料/エネルギー活動 | 179 | 各拠点での燃料/電力使用量を集計し、燃料採掘から燃焼/発電までの原単位を乗じて算出 |
4 | 輸送、配送(上流) | 402 | サプライヤーから自社生産拠点までの物流は、平均輸送距離、輸送重量を求め、輸送の原単位を乗じて算出 生産拠点から顧客倉庫までの物流は、物流実績に輸送の原単位を乗じて算出 |
5 | 事業から出る廃棄物 | 3 | 各拠点での材質別、処理別重量を集計し、廃棄処理の原単位を乗じて算出 |
6 | 出張 | 37 | 交通手段ごとの支給総額に、交通手段ごとの原単位を乗じる 自家用車出張の場合は、支給総額を燃料使用量に換算後、燃料燃焼の原単位を乗じる |
7 | 雇用者の通勤 | 159 | 交通手段ごとの支給総額に、交通手段ごとの原単位を乗じる 自家用車通勤の場合は、支給総額を燃料使用量に換算後、燃料燃焼の原単位を乗じる |
8 | リース資産(上流) | 0 | 賃借している建物、車両からの排出が該当するが、いずれもスコープ1,2に含まれている |
9 | 輸送、配送(下流) | 52 | 地域ごとに平均輸送距離と製品輸送重量を求め、輸送の原単位を乗じて算出 |
10 | 販売した製品の加工 | 0 | 自社ブランドで販売される製品における、中間製品のアウトソーシング先での排出は、カテゴリー1で計上している |
11 | 販売した製品の使用 | 2,284 | 製品ごとに生涯使用電力量を求め、平均電力原単位を乗じて算出 |
12 | 販売した製品の廃棄 | 198 | 販売した製品を素材別に分類し、素材重量ごとに廃棄処理の原単位を乗じて算出 |
13 | リース資産(下流) | 0 | 複合機などのリース資産は、販売製品とあわせてカテゴリー11に計上している |
14 | フランチャイズ | 0 | 該当なし |
15 | 投資 | 0 | 該当なし |
スコープ3 合計 |
7,320 |
温室効果ガス(エネルギー系温室効果ガスであるCO2と非エネルギー系温室効果ガスであるPFCs、HFCs、SF6、N2O、メタン、NF3)を集計対象としています。
電力のCO2換算係数については、電力供給会社ごとのCO2換算係数を使用し、CO2換算計数が公開されていない電力供給会社については、地域別の公表値を使用しています。なお、これらのCO2換算係数は集計時より遅れて開示されるため、過年にさかのぼって再計算の上、更新しています。「お客さまの使用」については、上記と同様の換算値を使用し、対象年度の出荷製品が平均使用年数・平均使用枚数などにおいて消費する電力量をCO2換算しています。データ集計のさらなる精度向上などにより、過去のデータが修正される場合があります。
「2022年のマテリアルバランス」「ライフサイクルCO2排出量の推移」に掲載の2021年/2022年のCO2排出量ならびに連結売上高原単位、「2022年のスコープ3 GHG排出量」に記載の各数値について、第三者検証を取得しています。