東京2020オリンピック・
パラリンピック&55競技

見どころ紹介

サーフィン
オリンピック競技

東京2020で初めてサーフィンがオリンピック競技に採用されました。競技スポーツとしてのサーフィンが持つ魅力や見どころを教えてください。

サーフィンは、アメリカをはじめ、オーストラリア、ブラジル、ヨーロッパなど世界各地で愛好され、サーフィン人口は日本国内で250万人、世界では3500万人を超えると言われています。スポーツでありながら、レジャーやライフスタイル、カルチャーなど、サーフィンに対して様々なイメージをお持ちの方がいらっしゃると思いますが、自然を相手にするスポーツで、海との一体感がサーフィンの第一の魅力です。

そんなサーフィンですが、競技としては、トレーニングを重ねてきた優れたサーフ・アスリートたちの驚きの演技に注目していただきたいです。動く水の斜面に対して、波を発射台に空を飛ぶ、アクロバティックな空中技。大きな水しぶきが上がるほど得点は加算されます。同じ波が来ることはありません。そんな中で選手たちは、ヒート(=グループ、組み合わせの意味)中で一番の波を奪い合い、自分の演技をアピールできる波を見つけ出し、波のキャンバスに美しい弧を描き、高得点を目指します。

試合の進め方や、どういったルールで行われるのか、教えてください。

現時点(2018年2月9日現在)では、東京2020の試合フォーマットなどで決定事項としてお伝えできることがありませんが、一般的にサーフィン競技は、制限時間20~30分ぐらいで、1ヒート2~4名の選手が海の中に入り、それぞれが波に乗り演技をします。そして、それに対して審査員が、波の大きさ、技のスピードや力強さなどを10点満点で評価し、そのなかの高得点2本の合計点で競い合い、トーナメント方式で行われます。サーフィンは波を捕まえて、サーフボードの上に立つところからスタートします。そして、ヒート時間内の一番大きくて良い波を捕らえる。更にその波のどの部分を使い、いかにスピードを殺さずに波の切り立った斜面で、流れのある難しい演技をするのかが高得点へのカギとなります。

2020年に向けた準備状況について、運営と強化の両面から教えてください。

選手の準備に関しては、日本を代表する選手を選出するために強化委員会を設け、一般社団法人日本サーフィン連盟、一般社団法人日本プロサーフィン連盟、WSL(ワールドサーフリーグ)アジア・ジャパンの3団体での協議の上、81名の強化指定選手を選出しました。この選手リストは毎年更新されていきます。強化委員会では、日本代表選手の個々の技術向上と団体での順位を上げることを目標に掲げ、長期的な取り組みを進めています。また2017年度は強化指定選手の国内合宿を行い、日本のナショナルコーチに就任したウェイド・シャープ氏が中心となって、ヒート形式の実践トレーニングはもちろんのこと、ジャッジ・トレーニングも実施しました。普段採点される側の選手が自らを採点することによって、どのようなパフォーマンスが得点に結びつくのかを学びました。そして、専門家を招いて、アンチ・ドーピング講習会、SNSメディア・トレーニングなど、スポーツ・アスリートとしての在り方など選手の意識改革を行っています。

また、初めてサーフィンの試合を観戦される方が、競技をより楽しんで頂くためには、解説者の方が演技を分かりやすく伝えることが重要だと考えております。そのため日本サーフィン連盟では、各種メディア・報道関係者、スポーツキャスター・アナウンサーのための『サーフィン競技解説セミナー』を開催しております。これは、サーフィン競技を分かりやすく解説するために必要な概要・基本知識などを習得できるセミナーで、少しでも多くの方に、サーフィン競技の魅力が正しく、広く理解されていくことを望んでいます。

世界のなかで、日本の選手たちはどのくらいの位置にいるのでしょうか?

昨年9月に宮崎で行われました「ISA世界ジュニアサーフィン選手権」では、41ヶ国の300人余りの選手が出場する中、16歳以下のボーイズで安室丈選手が金メダル、上山キアヌ久里朱選手が銅メダルを獲得するなど、日本は国別順位で過去最高の3位の銅メダルを獲得しました。2年後の彼らの活躍が本当に楽しみです。

一方で、この大会では18歳以下のクラスもありましたが、世界レベルのスピードとパワーに追いつけていないのが現状です。体力面もさることながらメンタル面での強化が必要だと感じています。近年の競技サーフィンでは、コーチという存在が非常に注目されており、選手だけでなく、それを取り巻く全ての状況を把握でき、個々の選手に合わせた的確な指示が重要視されています。日本のナショナルコーチであるウェイド・シャープ氏は、無名だった中南米のコスタリカ・チームを世界レベルへと押し上げた実績を持っている人物で、日本チームを預けるには彼が適任であると思っております。

2020年はどんなところに注目してほしいですか?

波と一体になって、優美で気持ち良さそうだというサーフィンの素晴らしさは感じていただけると思います。東京2020では、スピードのある動きや、波を発射台にして空高くジャンプする技など、サーフィンがダイナミックな部分を持ち合わせているということ、そして、トップアスリートによるレベルの高いスポーツであるということを一般の方に理解して頂いた上で、楽しんでいただけたらと思います。

最後に、2017年12月末、IOC(国際オリンピック委員会)が承認するISA(国際サーフィン連盟)と、世界でプロツアーを主催するWSL(ワールドサーフリーグ)が発表した東京2020に向けた合意内容に関しては、今年2月に行われるIOCの理事会で最終的に決定されるものです。その内容には、開催国である日本に男子1名、女子1名という出場枠の話などもありましたが、競技方法に関しても決定事項はありません。しかし、今年9月に愛知県の田原市で開催が予定されている国際大会には東京2020へ向けた国を代表する選手が多く出場する予定です。

協力:日本サーフィン連盟 事業本部広報委員会委員長 菊地雪秀様
インタビュアー:徳植卓司(サーフメディア)