インタビュー - Interviews -

本郷 理華選手
インタビュー

シニアの自覚が沸き、練習への意識が変化
「ラッキー!」から「チャンスをモノに」

文・野口美恵(スポーツライター)

シニアに上がった今季、GPシリーズロシア杯優勝、グランプリファイナル出場、さらに世界選手権6位と、世界トップグループへと飛躍した本郷理華。その艶やかな一年の成長を聞いた。

ジュニアに出る予定が、シニアのGPへ 基礎スケーティングからやり直す日々
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試合ごとに成長していく素晴らしい1年でした。改めて、その要因は?

今季は、試合が終わる度に「この試合はどこが足りなかったか」と先生達と反省して、しっかりと突き詰めていきました。もちろんジュニアの頃もやっていましたが、シニアにあがって改めて自覚が沸きましたし、自分で深く考えて練習する姿勢になったのが昨季までと一番違うところだと思います。

では今季全体を振り返りたいのですが、実は今季の初めはジュニアに出る予定だったとか?

はい。昨年の世界ジュニアで8位でしたし、今季もジュニアGPシリーズに出る予定でした。でも夏にシニアのGPカナダ杯に出られることになり、シニアに出られるなら1戦だけでも良いんじゃないかと長久保裕先生たちと相談して、シニアに上がることを決めました。

急遽シニアに上がり、練習は大変でした?

先生達からは「このままの滑りじゃシニアで全然太刀打ちできない。スピードも足りない」と言われ、ジャンプ以外の所を頑張りました。 基礎スケーティングから始まり、プログラムのつなぎの部分や表現など、すぐには直らない部分ですが、夏の終わりからコツコツやっていきました。

シニアに出るとなると基礎の練習も楽しくなりましたか?

最初はカナダ杯に出られると決まって凄く嬉しくて「練習、頑張ろう」と燃えていたんですけれど、先生に「このままじゃシニアに上がってもダメだ」と脅されるにつれて不安になり、だからといって落ち込んでも仕方ないので頑張ろう、という思いを繰り返していました。

鈴木明子からの表現指導 姿勢も良くなり「感心してばかり」
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同門だった鈴木明子さんに練習を見てもらったそうですね。

昨年の9月くらいからアドバイスを頂きました。明子さんは自分が思いもしないことを教えてくれるんです。音の取り方も、自分は拍子通りに音をとっていたのですが、「1拍子目は少し溜めて、2拍子目で早く動く」などを教わりました。最初は感心してばかりでした。

演技の楽しみが広がったのでは?

明子さんに注意された通りにやってみたら、先生たちにも「音に合ってきた」と言われたのが凄く嬉しかったです。

動きも綺麗になりましたよね。

自分は肩が上がって首が縮こまるクセがあったんですね。いつもは「肩を下げろ」とか「背中を伸ばせ」とか言われて、頑張ろうとすればするほど肩に力が入っていたんです。そしたら明子さんから「肩と首の間に空間を作るように」と言われて、やってみたら良くなって。ちょっとした考え方の違いで直るんだと、びっくりしました。

表現力もグッと出てきましたね。

目線は大きく変わりました。フリーは『カルメン』でジャッジの前で踊る所では、やっぱりジャッジの人を見つめます。でもショートの『海賊』は、割と観客の人や、色々な方向を見るんです。前より空間が広がったかなと思います。

ロシア杯出場へ、そして優勝 「せっかく来たチャンスをものに」

カナダ杯1戦のはずが、アデリーナ・ソトニコワ欠場によって、ロシア杯の参加枠が回ってきましたね。

ロシア杯出場が決まった時は「出られてラッキー」と思った程度でした。カナダ杯で5位だったので、あんまり順位は気にせず、少しでも良い演技をしようと思ったら優勝、という感じでした。

優勝して、意識が変わりましたか?

優勝は嬉しかったのですが、それ以上に「今シーズン良かったのはロシア杯だけだったね」と言われたくないな、と自分の中で思ったんです。だから、もっと自分が頑張れば結果もついてくるはずだし、安心したら全日本選手権で良くない結果になる、別れ道だなと思いました。だから優勝を喜ぶよりも、演技の反省をして次に活かそうと思いました。

優勝というのは、運だけでは掴めません。実力が上がった手応えは?

「せっかく来たチャンスだから、少しでもそのチャンスをものにできるように」という意識で練習を頑張ったのは良かったと思います。周りからは「持ってるね?」と言われたりしてます(笑)

「今季最大のびっくり&ラッキー」 グランプリファイナル出場で、意識変化
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GPシリーズ2戦を終えて7枠目。補欠繰り上がりでファイナルに出場しました。

あれが今シーズン最大の「ビックリ&ラッキー」だったと思います。出場が決まった時は凄く嬉しかったですけど、よく考えたら「あんな凄いメンバーの中で滑るんだ」と思って、行く前から緊張して練習中に息が「はああ」ってなる日がありました。でも逆に、ファイナルに出られるだけでも嬉しいなと思うようにしました。

世界ジュニアでは8位が最高でしたが、いきなり世界トップ6入りですよ!

ジュニアの時とは大きく意識が変化したからだと思います。ジュニアの頃は、調子良い時は良いけれど、悪い時は自分でもっと悪くしちゃう所がありました。今は、練習中にジャンプが跳べなくても、「今日は嫌だな?」で終わりにせず「演技の練習をしよう」と思います。試合でもジャンプで失敗しても、演技全部を投げ出すんじゃなくて、ジャンプ以外のことで挽回しようと、そう考えられるようになりました。

世界選手権のショート「楽しめた」5位 総合6位にも「もっと点数が獲れた」
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そして迎えた世界選手権。ショートはノーミスの演技で自己ベストを更新し、見事5位での折り返しでしたね。

最初は緊張しましたが、後半は思い切ってスピードも出すことが出来ました。最初の「3回転+3回転」のジャンプを成功した後は楽しくなり、後半のステップは一番楽しかったです。長久保先生から「楽しく滑れたか?」と聞かれて「はい」と答えたくらいに。すごく上手な選手がたくさんいる、この舞台で滑れることが嬉しいなと思って気持ち良く滑れました。

シーズン最後の試合で、自己ベストを更新しました。

四大陸選手権でスピンのレベルの取りこぼしがあったので、そこは詰めていました。ジャッジ資格を持つ方から、なぜレベルが獲れなかったのか見てもらって、色々な方からの意見を聞きながら、確実にレベル4を獲ろうと工夫したんです。やはり自分の感覚だけでなく、見ることが専門の方の意見は確実だなと思いました。

フリーもミスなく、最高の『カルメン』でしたよ。

大きなミスなく終えた直後は凄く嬉しかったですけど、夜に点数の詳細を見たら、回転不足やエッジエラーなど取りこぼしが沢山あったので、もっと点数が取れたんだなと思うと、ちょっと悔しくなりました。

180点を達成し、次は200点超えへ 「前よりは現実的な目標になった」

世界で6位、しかも目標の180点を超えても、さらに欲が出たのですね。

上海に行く前は、長久保先生と「10番以内に入りたいね」と言っていたので、総合6位は凄くびっくりしました。 今季目標の点数を超えたのは良かった事なのですが、180点を超えてみたら、1位の人は200点を超えているし、もっと点数を出さないといけないことが分かりました。来季から、地道に少しずつ点数を上げていきたいです。

以前は自分が200点を目指すなんて予想していましたか?

今の私のフリーを完璧にこなせば、もう少し点数は上がるかなと思いますし、ショートも「3回転+3回転」をもっと難しい組み合わせにするとか、確率を上げていけば、合計で200点も目指せるんじゃないかと思い始めました。現実的にすぐというより、以前よりは、という感じですけれど。

それでは来季への抱負は?

今シーズンの試合すべて、大きな失敗なく演じられたことが、世界選手権の6位に繋がったと思います。ショートは練習からミスを最小限に抑えるよう心がけて、本番でも回転不足なくいけました。フリーは、練習で完璧の日もあったのに、見えない苦手意識がどこかに残っていてショートほど強い自信を持てず、本番のミスに繋がりました。来季はその自信の差を無くして、ショートとフリー共に良い演技をしたいです。

2015年3月29日、世界選手権の会場にて取材

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