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2018年度(第41回公募)グランプリ選出公開審査会報告 2018年度(第41回公募)グランプリ選出公開審査会報告
2018年度(第41回公募)グランプリ選出公開審査会報告 2018年度(第41回公募)グランプリ選出公開審査会報告

2018年度グランプリは、ソン・ニアン・アン氏に決定!

2018年11月2日(金)、東京都写真美術館にて写真新世紀2018年度(第41回公募)グランプリ選出公開審査会を開催しました。

今回は、審査員としてエミリア・ヴァン・リンデン氏(Unseenアーティスティック・ディレクター)、サンドラ・フィリップス氏(サンフランシスコMoMA名誉キュレーター)、さわ ひらき氏(美術家)、澤田 知子氏(アーティスト)、椹木 野依氏(美術評論家)、杉浦 邦恵氏(写真家)、安村 崇氏(写真家)の7名をお迎えし、応募者1,992名の中から優秀賞7名、佳作12名が選出されました。

グランプリ選出公開審査会では、優秀賞受賞者7名(内倉 真一郎氏、岡田 将氏、佐々木 香輔氏、ソン・ニアン・アン氏、デレク・マン氏、別府 雅史氏、山越 めぐみ氏)がそれぞれプレゼンテーションを行い、審査員との質疑応答が交わされました。そして、審査員の合議の下、本年度のグランプリはソン・ニアン・アン氏に決定しました。

開会

2018年11月2日(金)、午後3時00分。期待と緊張感が高まる独特の雰囲気のなか、グランプリ選出公開審査会が開会しました。まずグランプリ候補者である優秀賞7名が緊張した面持ちで登壇し着席、続いて審査員7名が着席しました。

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プレゼンテーションと質疑応答

優秀賞7名は、それぞれ持ち時間10分の中でプレゼンテーションを行い、自らの言葉で作品の背景や制作意図、作品への思いを語りました。審査員からは、作品に対する賛辞や鋭い批評、質問などが寄せられ、受賞者は真剣な表情で応答しました。

  • PRESENTATION

    岡田 将SUSUMU OKADA

    「無価値の価値」

  • PRESENTATION

    佐々木 香輔KYOSUKE SASAKI

    「Street View」

  • PRESENTATION

    別府 雅史MASASHI BEPPU

    「2011-2018」

  • PRESENTATION

    山越 めぐみMEGUMI YAMAKOSHI

    「How to hide my Cryptocurrencies」

  • PRESENTATION

    ソン・ニアン・アンSONG-NIAN ANG

    「Hanging Heavy On My Eyes」

  • PRESENTATION

    内倉 真一郎SHINICHIRO UCHIKURA

    「Collection」

  • PRESENTATION

    デレク・マンDEREK MAN

    「What Do You See, Old Apple Tree?」

グランプリ選出公開審査会の様子を映像でご覧いただけます。

表彰式

プレゼンテーション終了後、別室にて約1時間40分のグランプリ審議が行われ、グランプリが決定しました。

表彰式で2018年度のグランプリが発表され、受賞者のソン・ニアン・アン氏には、奨励金100万円ならびに副賞としてミラーレス一眼レフカメラ「EOS R」が贈呈されました。

続いて、昨年度のグランプリ受賞者であるベンヤミン・ブライトコプフ氏からお祝いのメッセージが贈られました。
「非常に興味深いコンテストでした。目まぐるしく動く世界の中で、情熱を持ちながら細かいところや大事なものを見落とすことなく、社会的なメッセージに変換してみたり、小さな砂粒を大きくしてみたり、とても興味深く拝見しました。ソン・ニアン・アンさんはとてもエレガントなやり方だったと思います。おめでとうございました。」

ソン・ニアン・アン氏は、「みなさまに心から感謝いたします。今回の展覧会ではそれぞれの展示に驚きがあり、いろいろな作品を見ることができたことを嬉しく思っています。今日いらしたみなさんにも、ぜひ楽しんでいただきたいと思います」と受賞後の気持ちを語りました。

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総評

エミリア・ヴァン・リンデン氏

優秀賞のみなさん、今日は情熱あふれるプレゼンテーションをしてくださり、ありがとうございました。みなさんが素晴らしいプレゼンターであることに感銘を受けています。

私たちはたくさんのポートフォリオを見て、その中から7つのまったく違うプロジェクトを選びましたが、審査員それぞれ意見は違いました。そして最終的に私の選んだソン・ニアン・アンさんの作品がグランプリに選ばれたことをとても嬉しく思っています。

私たちのグランプリ選出審査にはいくつかの基準がありました。まず、何を示そうとしていたのか。どういうアイデアが背景にあったのか、ご自身が住んでいる場所の喫緊の問題を知らない人にどのように示そうとしているのか。これはとても重要なことです。

そして、その実施方法です。ソン・ニアン・アンさんの作品は、見てすぐ分かるものではありませんが、革新的で新しいものだと感じました。私たちは今、周りに画像があふれている環境の中で暮らしています。時としてストレスを感じたり、圧倒されたりすることがありますが、プレゼンテーションを聞いてとても穏やかな気持ちになることができました。また、とても流暢に、優雅にお話をしていただけたと思います。

ソン・ニアン・アンさんのプロジェクトが最も包括的であったと思います。だからといって簡単なチョイスであったわけではなく、非常に充実した話し合いが行われました。

もう少しで勝てそうだったみなさんに、私からアドバイスしたいことがあります。

もっと作品の背景について、見る人に提供して欲しいと思います。今、起こっていることの緊張状態について、例えば新聞記事を使うとか、もう少しわかりやすい形で示していただければ、より多くの人に共感していただけるのではないかと思います。

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