2004準グランプリ
この作品は私自身の分身です。<撮影する自分>と<対峙するモデル>、そして<背景>とのバランスや距離感は、私の内にある矛盾や葛藤の縮図です。
私にとっての写真とは、そうしたもやもやを感じている自分と付き合い、前に踏み出していく作業だと思っています。受け手=見る側の想像力に期待すると言うか、人それぞれの受け取り方をして欲しいと考えています。作り手が想像しなかった写真の見方をしてくれる、その反応を見るのが楽しくて制作している面もあります。個人的な世界に第三者の視点が加わる事で作品が広がっていく所に写真の魅力を感じています。
私は、現実に「そこにあるもの」ではなく、「自分がここに置いたもの」で写真を構成する事に面白さを感じています。頭の中に浮かんだイメージを、一度ラフスケッチして具体化していきます。撮影には、比較的自分にとって身近な場所を使う事が多いです。気を付けている点は、モデルと空間とのバランス、そして、作り込みすぎない事です。
撮影時に、周辺に人だかりが出来ていた事や、「一体何をしてるんですか?」と聞かれる事がしばしばありました。きっと他の人から見たら奇妙な風景だったんだと思います。
今回の公募の中で一番好きな作品です。縦横のライン、人物等の配置、構図は、非常によく考えられている。普段私が撮っている写真とは違って非常にコンセプチュアルでそれが非常によく表現されている。写真家の意志の下に作品が構成され完成度が高く、見る側の興味としてそそられるものがある。
プレゼンテーションにパネルとブックの両方があるというのはとてもいいですね。テーマがはっきりしていて、力強い。テーマをぼかしぎみで自分の欲求をクリアーに見せない作品が多い中で、とても明快で目を引きました。内省的なテーマなのに主観に溺れてないのは作者が考え抜いた結果だと思います。
2004年 | 写真新世紀[第27回公募]優秀賞(やなぎ みわ、ケビン・ウエステンバーグ選)、 「写真新世紀2004展」準グランプリ |
2003年 | 大阪芸術大学芸術学部写真学科 卒業 |
2004準グランプリ