2006グランプリ
人間の身体は左右真二つに分かれる。右半身を左脳が、左半身を右脳が支配している。右と左は別々の脳によってコントロールされている全くの別人だ。一人の人間の中に潜む二人のひとを、写真を使って現実世界に引き出した。二人はよく似ているが、それぞれの感情や意志を持って生きている。
この作品が生まれた原動力は、人間への興味だ。人間の精神と身体、脳と心、意識と無意識、そういったものを確かめたい。
今回の制作を通じ、自分は写真を創っているというよりも、撮らせてもらっているのだという意識が強くなった。写真は常に対何かだ。何かの姿を仮りなければ存在できない。写真は結局自分自身の表現ではないのかも知れない。しかし自分というエリアを越えて、他者の中に入り込みたい、または入り込まれたいという欲求を叶えてくれるものであると思う。
私は現在大学四年生として写真を学んでいる。家族や友だち、先生たちに日々感謝しながら、今の自分に出来ることをやっていきたい。
応募作品形態:ブック形式・A3 インクジェット用紙・31点(表紙別)
「顔」というものは、なんと不思議で謎に満ちたものか。そういうことを、改めて思い起こさせてくれました。写真という装置が持っている特質をきちんと分かったうえで、顔が持つ面白さに正面から立ち向かって、きちんと視覚化しました。
アイデアだけがよくても、写真自体がつまらなくては仕方ないんだけど、これは写真としてもきちんと作られている。まずそのテーマで驚かせてくれて、でき上がったものを実際に見てもまた感銘を受ける。さらにそこには、写真そのものが持っているポテンシャルを引き出す内容まで含んでいる。いろんな見方ができて、大いに楽しめる作品だと思います。
1985年 | 長野県生まれ |
2007年 | 東京工芸大学芸術学部写真学科卒業 |
2015-2016年 | 公益財団法人ポーラ美術振興財団在外研修員としてアメリカに滞在 長野県にて制作、活動 |
2006年 | 写真新世紀[第29回公募]優秀賞(森山大道選)、「写真新世紀2006展」グランプリ |
2009年 | VOCA展2009 府中市美術館賞受賞 |
2010年 | 第15回信毎選賞受賞 第35回木村伊兵衛写真賞受賞 |
2012年 | 「SUZU」諏訪市美術館、長野 他 |
2014年 | 「琵琶島(She’s[3人の写真家。彼女たちの写真展])」キヤノンギャラリー 、東京 |
2015年 | 「豊穣なるもの 現代美術in豊川」豊川市桜ヶ丘ミュージアム、愛知 |
2017年 | 「鏡と穴−彫刻と写真の界面」ギャラリーαM, 東京 (予定) |
2006グランプリ