李承信

「自分の強みを生かして勝負」
ラグビー日本代表の新しいジャージーを着た感想は?
毎回、このジャージーを着るたびに背筋が伸びるというか、身が引き締まります。
自分の選手としての強みを教えてください。
キック、パスといったスキルの精度が強みで、特にゴールキックの精度には自信があります。
ラグビー日本代表にはスタンドオフ選任の選手がSO松田力也選手と李選手と2人です。松田選手に勝つために必要なことは?
10番としての経験は明らかに(松田)力也さんの方がありますし、テストマッチも前回のRWC2019も経験していますが、自分は若さや、アグレッシブさ、そして強みのランはしっかり勝負していけるところだと思うので、盗むところは盗みながらも自分の強みでチャレンジしていきたいです。
帝京大学に入学し1年を終えた後に中退し、ニュージーランド留学を試みましたが、結局コロナ禍で断念。そして地元の神戸製鋼コベルコスティーラーズ(現・コベルコ神戸スティーラーズ)に入団しました。その時の決断を今からどう思いますか?
当時、本当に大きな決断になるという思いがありましたし、より自分が成長したいために選んだ道でもあります。本当に自分の選択を尊重してくれた帝京大学さんもそうですし、自分を育ててくれた神戸スティーラーズもそう、ターニングポイントで自分の周りには支えてくれた人たちがいるからこそ、今の自分がいるんだな、という思いでいっぱいです。
昨年6月のウルグアイ代表戦で初めてラグビー日本代表キャップを得ました。その時のお気持ちを教えてください。
ここまで支えてくれた人たちへの感謝の気持ちが一番大きかったですし、ファーストキャップを取ったことによって、また新たな道がスタートするという思いでいっぱいでしたね。 また、今回のRWC2023は、自分にとって大きなモチベーションの一つです。自分が出るか出ないかによってこれからの在日のコミュニティの可能性や未来を目指す子どもたちの道も広がると思うので、自分で可能性を示していきたいなと思います。
※プロフィール
李承信 2001年1月13日生まれ。兵庫県出身。コベルコ神戸スティーラーズ所属。ポジションはSO(スタンドオフ)。4歳からラグビーを始め、大阪朝鮮高級学校時代は高校日本代表に選出、3年の時には花園にも出場。帝京大学に進み、ジュニアジャパンでは主将を務める。2020年に大学を中退し、神戸に入団。昨夏、代表初キャップを獲得した。身長176cm、体重85kg。日本代表6キャップ(2023年7月1日現在)。
インタビュー・文 スポーツライター斉藤健仁
写真 フォトグラファー大塚浩史