canon キヤノン

ラグビー選手インタビュー

写真:インタビュー風景

「ラグビーワールドカップ2023での活躍に期待大!
ラグビー日本代表の若き4選手に迫る」

RWC2023まで2ヶ月を切りました。今の心境は?

齋藤:楽しみな気持ちと、本当に一日一日を大事にして、個人としてもチームとしても成長していかなければならないな、と強く思っています。

ライリー:ワクワクしていますし、ちょっとドキドキも入り混じった感情です。みんなが同じ画を見て「ワンチーム」になって、RWC2023で勝つという一つの目標に向かってつながっていきたい。

李:本当にあと2カ月という短い期間は一瞬で過ぎると思うので、一日一日、一瞬一瞬を、本当にRWC2023にすべて捧げて、いいを準備したい。

ハラシリ:RWC2023楽しみです。人生で一番きつい合宿をしていますが、みんな優しいので楽しいです。

8月中旬にRWC2023スコッド33名が発表されます。そこに残るために大事になってくることは?

齋藤:競争は必ずあると思いますが、本当に自分が成長するために必要な行動に取り組むことと、自分のスタイルや自分のラグビーを信じてやりきることが最終的に選ばれるために必要になるかなと思います。

ライリー:合宿や試合で最善の努力をしたいと思います。一つのことを成し遂げるにはハードワークが必要で、とにかく自分のベストを尽くしたい。

李:一日一日が本当にバトルだし、味方の選手がライバルでもあります。そういった中で自分が一貫性を持って、常にいいパフォーマンスを出して、RWC2023前の試合で結果を残すことが、その先に繋がってくると思うので、いい準備をしていけたらなと思います。

ハラシリ:これまではチームでずっとナンバーエイトをやっていたので、(日本代表で)ほぼ初めてのプロップをやっています。フィジカルだけでなくテクニックも教わっています。合宿や試合の中で、どれだけできるのか日々頑張っています!

選手としてRWCを意識し始めたのはいつからでした?

齋藤直人

齋藤:RWC2011も見ていましたが、RWC2015ぐらいから「本当にRWCを目指したい」と強く思い始めて、前回大会の前年には一応、日本代表にも呼んでいただいたのですが、結果的に出られなくて悔しかったです。

ライリー:子どもの頃からラグビーに熱を上げて育ってきたので、気持ちのどこかにRWCの舞台へ立つことの憧れはありました。そして、来日し、その夢を叶える機会を得て、RWC2019の日本大会を体感して非常に特別な気持ちを覚えました。日本代表として、この国のためにRWCでプレーしたいという気持ちがさらに強くなりました。

李:RWC2015で、日本代表が南アフリカ代表を破った試合に、本当に感動と衝撃を受けました。また、RWC2019は大学の寮で見ていたのですが、本当に心を動かされたというか、心の底から日本代表になりたいと思い始めました。

ハラシリ:前回、日本で開かれたRWC2019を見て自分も出たいと思っていました。スコットランド代表戦でPR稲垣啓太さんがトライをとったときは感動しました!はやる気持ちもあり、(5年居住の条件をクリアしているので)日本代表か母国の代表か、先に招集をいただけたら、そのチームでRWC2023に出られたらと思っていました。

7月から8月にかけて国内で5試合開催されます。意気込みと、どんなプレーをしたいですか?

齋藤:対戦するどのチームも自分たちと同じ状況で、セレクションも兼ねての試合になると思うので、本当にどのチームもハングリーに来ると思っています。自分たちもそれ以上のハングリーさを持って試合に臨みたい。チームとして同じ戦術では戦わないと思いますし、新たな戦術も入ってくるかもしれないので、リーダーとしてまず自分が理解した上でチームをリードしたい。

ライリー:非常にタフなテストマッチになると思います。みんな手強い。フィジカルも強く大きなチームなので、かなりのチャレンジになりますし、RWC2023へ向けてのいい試練になる。それでもあまり相手のことを考えず、自分たちのやることにフォーカスして、一戦一戦、目の前の試合を戦っていくだけです。

李:フィジカルの強いチームでもありますし、昨秋の試合で、フィジカルの部分で課題が見つかったので、合宿でいい準備して成長した姿で挑めたらいいと思っています。個人としてもフィジカルの強い相手や、夏の暑いタフなコンディションの中でどれだけいいリードができるか。そこがRWC2023につながっていくと思うので、いい準備をしていい結果を出したいです。

ハラシリ:今、新しくプロップに挑戦しているので、試合までそんなに時間がないですが、スクラムコーチにしっかりプロップのテクニックやスキルを教えてもらったので試合で出したい。母国の代表とは、知り合いばっかりなのでやりたくないですね(苦笑)。

他の選手の印象を教えてください。

ライリー:3人とも素晴らしい選手です。(齋藤)直人と李、ハラシリとはジャパンラグビー リーグワン(以下リーグワン)では敵として対戦し、直人と李とは日本代表としてもいっしょにプレーしました。みんな選手としても人としても素晴らしく、親切だし、いいことしか思いつきません。(李選手については)非常に素晴らしい選手であることは昨年、証明しました。オンフィールドでもオフフィールドでも非常にいいやつで、代表にふさわしい選手です。チームに入ってきて良かったし、もっと一緒にプレーできればと思います。

齋藤:(ハラシリ選手について)日本代表として活動するのは今回が初めてなのですが、大学やリーグワンで試合をしていますし、自分でも言っている通り、フィジカルがストロングポイントです。日本代表ではプロップに挑戦しているので期待したいです。

李:(齋藤選手について)直人さんは3つ上の先輩で、代表入る前は寡黙なイメージがあったのですが、昨年、代表活動に一緒に参加して、試合でもオフフィールドでも気さくで、いいコミュニケーションとってくれました。試合でもリードしてくれるので、自分としては本当に大きな存在です。

ハラシリ:(ライリー選手について)強いですし、スピードもあり、ランニングするコースもめちゃ上手いです!

ラグビー日本代表のチームメイトでは誰と仲がいいですか?

ディラン・ライリー

ライリー:FL/LOジャック・コーネルセンです。埼玉パナソニックワイルドナイツでも一緒にプレーしているし、同じオーストラリア出身で仲がいいです。

齋藤:(李)承信とか、ルーミー(ルームメイト)といっしょにいることが多いかな。坂手(淳史)さんとお茶したり、(松田)力也さんの部屋に行ってしゃべったりしています。

李:自分も(齋藤)直人さんとか、歳の近い人といっしょにいることが多いですね。

ハラシリ:トンガ人の先輩選手はみんな優しいです! オフの時間は、みんなで集まってカヴァ(※胡椒科植物の根を乾かして粉にし、それを水で揉み出した飲料。南太平洋諸島では一般的な嗜好品)を飲んでいます。

突然ですが、グラウンド上の自分を動物に例えると何だと思いますか?

齋藤:なんだと思う?

李:犬?

ハラシリ:難しいですね……。

ライリー:僕たちはフィールドで2組の種が狩りをするようなものなので、例えるならライオンです。百獣の王ですし、ほしいものをすべて手に入れることができるので、日本代表は他のチームから勝利を奪う獰猛なライオンですね!

齋藤:全員、ライオンで!

チームとしてのラグビー日本代表の強み、そして個人としてどうチームに貢献できるかを教えてください。

齋藤:スキルレベルが高く、スピードとスキルを使ってしっかりスペースを攻略するというところが日本代表のチームとしての強みだと思います。自分は(スクラムハーフとして)テンポアップできるところが強みなので、チームのスピードの部分を引っ張りたい。

ライリー:チームとしては速いスピードとテンポでスペースを見つけて高いスキルでアタックを仕掛ける、そしてプレーを継続する能力が高い。だから強い相手と戦っても自分たちのテンポと精度の高いアタックができれば大きなプレッシャーをかけられると思います。

李:空いているスペースに対して自分たちの速いスピードと高いスキルで、アタックを仕掛けることができるところがチームの強みですし、そこに対して自分はしっかり正しい判断と正しいスキルを持ってリードしていきたい。

ハラシリ:練習でも試合でも最後までやり切る姿勢だと思います。スクラムはまだまだなので、いっぱい練習しているところです。

いよいよRWC2023まであと2ヶ月を切りました。RWCは選手にとってどんな大会ですか?

李承信

齋藤:小さい頃から憧れていた大会なので、その大会に出場するチャンスが今目の前にあるので、必ずつかみたいと強く思います。強みのスピード、テンポアップのところなどを活かして、チームをいい方向にドライブしたいですね。

ライリー:RWCはラグビー選手にとって最高の舞台で、世界最高峰の選手がプレーします。ラグビー選手なら誰しもが夢見る舞台で、何ものにも変えられないものです。もし自分にチャンスがあるならスピード、パワーといった自分の強みやスキルを最大限に発揮して仲間やチームに貢献したい。

李:本当に前回大会は心の底からこの舞台に立ちたいって思って見ていましたし、ラグビーであんなに感動したのは初めてでした。自分もあと一歩のところでその舞台に立てるというチャンスがあるので、このチャンスを掴んで、日本ラグビー界が新しいステージにいける一員になりたいという思いが強い。もし出場したら自分のゲームコントロールやゴールキックでチームの勝利に貢献したいという思いがありますね。

ハラシリ:前回のRWC2019を見て出たいなと思っていて、今回、日本代表チームからチャンスをもらって本当に嬉しいです!このチャンスを活かして、もしRWC2023に出たらフィジカルで突破します!

RWC2023に出場したら、対戦してみたいチームや選手はいますか?

齋藤:昨秋、大敗したイングランド代表と(予選プールで)対戦するのは楽しみですし、必ず勝ちたい。9番は(2001年生まれで)自分より年下なので対戦するのが楽しみです。

ライリー:(予選プールで対戦する)イングランド代表はとても強く、非常に強敵ですが、ベストのパフォーマンスをして勝つことができたらなと思います。対戦したい選手は、自分と同じポジションの(イングランド代表の)CTBです。もし彼と対峙できれば非常に誇りに思います。

李:直人さんと同じでイングランド代表ですね。昨秋対戦して、あそこまでのプレッシャーはそれまでに感じたことがなく、心の底から強いなと思った相手なので、自分たちが成長して、RWC2023の舞台で勝ちたい。

ハラシリ:昔から憧れていましたし、強いのでニュージーランド代表とRWC2023の舞台で対戦してみたいですね!

RWC2019ではラグビー日本代表の「ONE TEAM」というスローガンが話題になりました。昨年から日本代表は新しいスローガン「Our Team」を使用しています。

齋藤:「ONE TEAM」時代、チームにはいなかったですが、その頃からの良い部分は引き継ぎながらもしっかりまた新たなチームとして、自分たちで一つひとつ積み上げていくという意味で新しいスローガンになったと認識しています。本当に、いろんな意味が含まれています。

ライリー:みんなが一つになって、チームの一員になる。選手のみにとどまらず、ファン、サポーター、コーチングスタッフ、同じゴールに向かっている日本中のすべての人が含まれていると思います。だから、新しいスローガンは、その言葉以上のより多くの意味を持っていると思います。

李:自分たち自身に関心を持ち、チームに対しても愛着を持って「自分たちのチームなんだ」という自覚や覚悟を持ってチームを作っていくこともそうですし、RWC2023に向かってファンや関係者の皆さん、そして日本全体が自分たちのチームとして、一緒に新しい歴史や新しいステージに向かっていこうという意味もあると思っています。

ハラシリ:今回、初めて日本代表合宿に参加したので、コーチや他の選手たちから学んでいます!

もしRWC2023に出場したら、感謝を伝えたい人はいますか?

シオネ・ハラシリ

齋藤:両親です。3歳からラグビーを始めさせてくれたのも両親ですし、毎週、ラグビースクール時代からもそうでしたが、高校、大学、そして今も試合があれば基本的には全部見に来てくれています。

ライリー:今の自分があるのは家族のおかげです。自分の夢の実現のためにいろいろとしてくれました。夢が叶えられたら少しは恩返しができるかな。きっと誇りに思ってもらえると思います。

李:ラグビーをするきっかけを与えてくれたのは家族ですし、色々とつらい時期を乗り越えられたのも家族がいたからなので、家族ですね。

ハラシリ:一番お世話になっている人は、横浜キヤノンイーグルスのチームメイトのナキ(元日本代表NO8アマナキ・レレイ・マフィ)です。いつも色々教えてもらっています。学校も一緒なので、トンガにいるころから一番リスペクトしている選手です。

4人とももし出場すれば初のRWCとなります。意気込みをお願いします

齋藤:大会の前に、強い気持ちを持ってセレクションに勝ち抜きたい。そしてRWCに出場したいという自分の夢を叶えるためにも、合宿と試合に向けていい準備がしたいです。

ライリー:まず、もちろんハードワークしてRWC2023スコッドに選ばれたい。それが前提ですが、非常にドキドキ、ワクワクしています。合宿や試合でベストのパフォーマンスを出して、夢を叶えるチャンスを掴みたい。

李:本当に人生において何度も来るチャンスではないと思っているので、自分の夢を叶えたいという思いもそうですが、日本代表がRWC2023で結果を残すために、自分の全てを捧げたい。また、自分がRWC2023に出ることで、いろんな人に夢や勇気を与えられると思うのと、しっかりこのチャンスをつかんで、自分の人生の夢を叶えたい。

ハラシリ:いい準備をして、もしRWC2023に出たら自分の武器であるフィジカルを駆使して戦いたいです!

最後に、ファンに向けてメッセージをお願いします

齋藤:いつも応援ありがとうございます。さまざまな面でサポートいただき、いつも背中を押してもらっています。特にホームグランドで感じる皆さんからの声援は本当に特別なものがあります。国内の試合、そしてRWC2023もそうですが、ハードワークし続けるので今後とも応援よろしくお願いします!

ライリー:試合会場でファンの皆さんにお目にかかれるのを楽しみにしています。皆さんの長年にわたる応援は特別なもので、僕らがいいプレーをするのには皆さんの応援が必要です。引き続きサポートしてもらえるよう、僕たちも頑張ります。

李:RWC2023に向けてチームとしても個人としてもしっかりいい準備して前回大会以上の結果を残していきたい。国内の試合も、RWC2023でも日本のファンの声援は自分たちの大きな力になると思うので、是非、これからも応援をよろしくお願いします。

ハラシリ:いつも応援ありがとうございます!心機一転「プロップとしてやるしかない!」と思っています。これからもよろしくお願いします。

インタビュー・文 スポーツライター斉藤健仁
写真 フォトグラファー大塚浩史