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病気の早期診断を志す病気の早期診断を志す

光超音波トモグラフィ

血管の3D画像をリアルタイムで取得するイメージング技術。
最先端の光学技術、超音波センシング技術、画像処理技術を結集させた、新たな画像診断装置で医療への貢献をめざします。

2018/12/27技術紹介

血管の3Dイメージを取得

#ヘルスケア#イメージング技術#社会貢献#機械工学#電気工学#情報工学#物理学

健康寿命への意識が高まる昨今、がんや糖尿病のような生活習慣病などの病気を早期に診断し個々人に適した治療を行う重要性が一層強まっています。

現在キヤノンは、病気の早期診断や適切な治療につながる最先端技術の一つ、光超音波トモグラフィ(PAT:Photo acoustic Tomography)の開発に取り組んでいます。この技術は、内閣府が推進する「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」の研究テーマに採択されています。

PATは、「光」と「超音波」を使い、X線や造影剤を用いることなく、人体の血管を非侵襲にリアルタイムの3D画像として取得する技術です。近赤外レーザー光を人体に照射すると、血管中の赤血球がレーザー光を吸収して温まり、熱膨張して体積が増加します。レーザー光はパルスのため照射は短時間で終わり、膨張した血管中の赤血球はすぐに冷えて通常状態に戻りますが、収縮動作は周囲の柔らかい人体組織に伝わり、超音波信号として体の外に放出されます。この信号を超音波センサーで検出するというのが、PATの仕組みです。

照射するレーザー光の波長は750〜850nm(nm:ナノメートル=10億分の1メートル)、パルス周波数は10Hzです。超音波センサーは、半球面の内側に1024個の圧電振動子が取り付けられた構造となっています。

イメージ

リアルタイムで3D画像化を実現

血管の可視化・位置把握に威力を発揮

#ヘルスケア#イメージング技術#社会貢献#機械工学#電気工学#情報工学#物理学

問題になるのは、人体にはあらゆるところに血管があるため、注目していない血管中の血液からも多くの超音波信号が発生してしまうことです。超音波信号は周囲に広がりながら伝搬するため、受信した超音波信号がどの血管のどの場所から発生したものか、その判断が難しくなります。キヤノンはさまざまなイメージング機器の開発で培った画像処理技術を駆使し、受信した超音波信号を基にリアルタイムで3D画像を再構成することに成功しました。

PATの特徴は、手や足など広い領域の画像の取得が可能であるうえに、0.2mmの血管の可視化と1本1本の血管の位置を把握するほど解像度が高い点にあります。一方で、光だけでは難しい、数cmの深さまで可視化することができます。

病気の早期診断や適切な治療につながる可能性

#ヘルスケア#イメージング技術#社会貢献#機械工学#電気工学#情報工学#物理学

PATで取得した血管の3D画像から「こういった病気の早期診断や治療前後の評価に応用できるのでは」といったアイデアが生まれています。例えば、血管や皮膚の病気、がんなどの病気では、手足末梢の血液循環が不良になったり、血管の形態に異常が起こったり、血管が異常に増殖したりするといわれています。これらを早い段階で見つけたり、わずかな変化をとらえることができれば病気の状態を早期に見極めたり、適切な治療の選択や、治療後の評価に応用できる可能性があるのです。

京都大学や慶應義塾大学との共同研究

#オープンイノベーション#ヘルスケア#イメージング技術#社会貢献#機械工学#電気工学#情報工学#物理学

さらにPATには、レーザー光の波長を変えることで、動脈と静脈を判別できるという特徴があります。レーザー光の波長を短くすると、酸素含有量が多い動脈から発生する超音波信号の方が静脈より、小さくなります。また複数の波長のレーザー光を用いることで、血液の酸素飽和度を反映した画像を得ることが可能です。これらの特徴を利用して、病気の進行や治療の効果に応じて変化する、組織の酸素消費量や血液の循環量を可視化すれば、例えば生活習慣病による末梢動脈疾患、皮膚疾患、がんなどの診断に応用できる可能性があります。

キヤノンでは、PAT装置による臨床研究を京都大学と慶應義塾大学のそれぞれと共同で進めています。すでに京都大学との研究では、がんの周囲に集まる血管の3D画像の取得という成果が出ています。この3D画像が病気と直接的にどのような関係があるか引き続き研究が必要ですが、こうした知見を積み重ねて臨床への可能性を高めています。

PATは、非侵襲・非破壊であると同時に、X線や造影剤が不要で、人体に対するダメージが全くありません。将来、X線CT診断装置やMRI装置などと同じようにPAT装置が病院に置かれ、病気の早期診断や治療の評価などに貢献できるように開発を進めていきます。

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レーザー光が照射されると、吸収体が光を吸収し、吸収体が熱膨張して発生する音波(光音響効果)を球面形状の超音波センサーが受信します。

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