自由自在のカメラアングルでのボリュメトリック映像体験を実現
キヤノンのイメージング技術を結集した自由視点映像生成システムは、映像を通してこれまでにない体験を提供します。
2019/04/25
2016年に開催されたサッカーJリーグカップ戦の決勝戦は、新しい映像ソリューションの幕開けとなりました。従来のように、固定されたカメラやワイヤーカムによる限られた視点からの映像ではなく、場内のあらゆる位置から好みの角度で映像を見られる自由視点映像を初めて公開したのです。例えば、ピッチ内にいる選手の見ていた光景の再現や、同じシーンをさまざまなアングルで見るなど、自由自在に視点を設定できます。さらには、映像をスローモーションにしながら視点を自由に変更するなど、視点と時間を思いのままに操作することが可能になりました。スポーツ観戦を劇的に変化させる革新的技術が、現実のものになった瞬間でした。
その映像を生成する仕組みは、映像撮影の未来形とも言えます。場内を周回するように設置された専用カメラで撮影した映像を3Dデータに変換してサーバーに蓄積。仮想カメラの位置や動きを指示すると、3Dデータの中から、カメラアングルに応じた映像をレンダリング。動画としてアウトプットし、視聴できるようになります。
創業時から一貫して培ってきた光学技術や、映像技術に加えて、ネットワーク伝送技術、ユーザーインターフェースなど、先端技術をキヤノングループ内で開発。この技術は、映像制作や放送のワークフローを一変させる力を秘めています。
各部署から選ばれた技術者たちが、全社横断プロジェクトとして集結し、それぞれが持つ技術を高度に融合させることで、自由視点映像生成システムは実現しました。
その場にいるような没入感を体験
自由視点映像生成システムの開発は、サッカーやラグビーなどさまざまな競技において、実証試験を重ねています。正確な3Dデータを作成するためには、すべてのカメラが同じタイミングで撮影をスタートすることが必要です。たった1台のカメラでもズレが生じると、正しい形状のデータに仕上げることはできません。この課題は、開発の当初から想定していたため、多数のカメラを完全に同期して撮影をスタートさせ、コントロールするアルゴリズムを開発することによって解決しました。
また、自由視点映像の生成には膨大なデータ処理を瞬時に行う必要があるため、並列分散画像処理など、高精細な映像を素早く生成する挑戦が続いています。
キヤノンはこれからも時代の流れと技術の進歩を想定したシステムづくりを推進していきます。