映画やコマーシャルなどの制作を高品位な映像で支える技術
映画やドラマ、ドキュメンタリー、コマーシャル撮影といったプロフェッショナルの現場での高い要求を満たすキヤノンのデジタルシネマカメラ。高品位な映像はもちろんのこと、優れた機動性や拡張性など、映像制作の未来を切り開く高度な技術を搭載しています。
2018/12/27
キヤノンは、映画制作用デジタルシネマカメラのために、映画フィルムの1コマの大きさに近いスーパー35mm相当サイズのCMOSセンサーを開発しました。高画質でありながら、キヤノン独自の高感度・低ノイズ技術により、ITU-R BT.2020(※1)を上回る広色域かつダイナミックレンジの広い、高感度・高精細なHDR映像の撮影を可能にしています。最上位モデル「EOS C700 FF/EOS C700 FF PL」では、新規開発したフルサイズCMOSセンサーを搭載。15stopを超える広い階調性を実現しています。
また、CMOSセンサーからの信号読み出し速度を高速化し、「ローリングシャッター歪み」の軽減にも成功しています。
スーパー35mm相当CMOSセンサー
フルサイズCMOSセンサー
「デュアルピクセルCMOS AF」は、すべての画素が撮像と位相差オートフォーカス(AF)の両方の機能を備えている新構造のCMOSセンサーを使用した、画期的な撮像面位相差AF技術です。CMOSセンサーの一つひとつの画素が、独立した2つのフォトダイオードで構成され、撮像信号と同時に位相差AFに利用できる信号の出力が可能です。2つのフォトダイオードは、独立して光を取り込むことができ、位相差AF時にはそれぞれのフォトダイオードからの信号を検出し、撮像時には2つのフォトダイオードを合わせ、一つの画素として画像信号を出力します。
これにより、高速・高精度なAFはもちろん、動画撮影に適した滑らかで追従性の高い繊細なAFを実現しています。
1画素(※ イラストはイメージです。)
ハリウッドをはじめとする世界の多くの映画制作現場では、「Log」という記録方式が採用されています。これは、フィルムで撮影された素材をデジタル化するために規格化されたもので、「Cineon」とも呼ばれ、10bitのフォーマットで、デジタル値の1がフィルムのネガ濃度0.002に対応しています。フィルムの情報を記録するには十分な濃度域を、1024階調ある10bitデータに収めることができます。Cineonは、一言で言えば、フィルムをデジタルコピーするための規格と言えます。
映像制作者がLogを採用する最大のメリットは、通常のビデオガンマでは再現できない広いダイナミックレンジをデジタルで扱えることです。Canon Log/Canon Log 2/Canon Log 3では、背景の山並みなどのハイライトまでディテール情報がしっかりと記録され、手前にある被写体に露出を合わせた状態でも、見た目に近い、フィルムのようなダイナミックレンジを生かした撮影が可能になります。黒つぶれや白とびの起きにくい再現域の広さがこれまでのビデオカメラでは不可能だった映像表現の広がりを生み出します。
さらに、CMOSセンサーのポテンシャルを余すことなく引き出すCanon Logでは、約800%のダイナミックレンジ、豊かな階調表現、黒つぶれ防止、コントラスト・シャープネスを抑えた自然な画質を実現しています。また、新設計のCanon Log 2/Canon Log 3では、約1600%(※2)のダイナミックレンジを実現し、ハイライトやシャドーのさらに細かいディテール調整が可能となり、カラーグレーディングの幅を広げています。
Logを使ったワークフローは、フィルムを超えた表現力を生み出すことを可能にしました。色再現性の広い撮影後の素材データから必要なレンジ情報を抜き取り、調整することができ、好みの作品に仕上げる「カラーグレーディング」が可能になっています。
ファイルベースでのワークフローでは、主要なノンリニア編集システムと連携することで、効率化を実現。カスタムピクチャーやCanon Log/Canon Log 2/Canon Log 3ガンマで撮影した素材をCineonフォーマットに変換し、フィルム素材との混在編集も効率的に行うことができます。映画を撮るフィルムと同じフレームレートの24.00Pモードで記録できるため、同一タイムラインで扱うことも可能です。
■CANON LOG TECHNICAL SITE
https://cweb.canon.jp/cinema-eos/special/canon-log/