光学・通信・映像解析技術を駆使し、最適なソリューションを提供
カメラで培われた光学技術と最新のネットワーク通信技術を結集したネットワークカメラ。AIを活用した映像解析技術を組み合わせることで、新しいネットワーク映像ソリューションの可能性を追求しています。
2019/04/25
キヤノンの人数カウント技術は、ネットワークカメラ映像を活用して、少人数から約1,500 人まで人数カウントできる映像解析ソフトウエア「People Counter」に搭載されています。映像解析技術である「人検出技術」と「実時間追跡技術」を開発し、高速で精度の高い人数カウントを実現します。POSシステム*1 と連携しマーケティングに活用したり、大型施設の来場者人数を把握することが可能にしています。
混雑した状況でも正確な人数カウントができるように、顔だけでなく、全身や一部が隠れた人体など複数の人モデルを用いて入力映像から人を検出します。さらに、体の輪郭をとらえるエッジ特徴や人の形状と似た物体と区別する色特徴を用いることで、高精度な人検出を実現しています。
検出した人物の動きを予測し、後続のフレームでは予測した位置の付近でのみ人の識別処理を行います。全画面を探索する人検出処理と、予測位置付近のみを局所探索する追跡処理を並行して行うことで、処理の高速化と精度の保持を両立し、解像度の高い映像や多人数が映っている映像などでもリアルタイム処理を実現しています。
群衆人数カウントは、人数カウントにAI技術であるディープラーニングを導入して、人が密集している状況でもリアルタイムに人数を推定できる映像解析技術です。
公共施設や都市監視において警備員の効率的な配置・警備計画に役立つほか、大型施設やイベント会場、災害時の適切な群衆誘導に利用が可能です。さらに、店舗での集客状況の把握や、デジタルサイネージ等の広告の効果検証にも活用できます。
ネットワークカメラ映像をニューラルネット(脳機能に見られるいくつかの特性に類似した数理的モデル)で解析し、群衆の人数を推定することができます。人の密集パターンを多数学習させたことで、人が重なり合うような複雑な混雑シーンでも人数の推定が可能になりました。
シルエット化技術は、映っている人のプライバシーに配慮したモニタリングをソフトウエアで実現しています。ネットワークカメラの映像には、個人を特定できる情報が含まれることが多いため、シルエット表示によりプライバシーに配慮することで、映像活用のシーンが広がります。
たとえば、プライバシーに配慮しながら、ショッピングモールやレストランなどの混雑状況を把握することで利便性を高めたり、駅や公共施設での活用により安心・安全な社会を実現します。
シルエット映像を作成するためには、まず入力画像とあらかじめ設定した比較用画像とを使って差分画像を作成します。差分画像を背景用画像と統合することで、動体のみがシルエット表示された映像になります。
さらに、一定時間が経過するたびに比較用画像を更新することで、机や椅子などの位置ずれや、光の変化などによる影響を軽減して、より高精度な動体検出を実現しています。
屋外で使用するネットワークカメラは、雨天時の水滴や、塵や埃などの汚れによる影響が避けられません。特に、レンズ前面部に付着した水滴や汚れは、映像に影響するため、視認性が低下します。
キヤノン独自の「親水コーティング*2」を施したネットワークカメラは、雨天時の水滴を速やかに取り除くことに加え、汚れを雨とともに流し落とすことで、雨天時や降雨後に視認性低下を防ぎます。
一般的なネットワークカメラでは、雨天時にレンズ前面部に水滴が付着し、その水滴に光が乱反射するため、視認性が低下します。一方、親水コーティングが施されたネットワークカメラでは、雨滴がレンズ前面部のコーティング面で均一な薄い膜となって広がるため、光の乱反射が抑えられ、雨天時や降雨後の視認性の低下を防ぎます。
親水コーティング面の雨水は、塵や埃など汚れの下ですみやかに薄く広がって、汚れを浮かします。浮いた汚れは、広がった雨滴と一緒に流れ落ちます。
キヤノンは、望遠側で撮影を行ってもF2.4という驚異的な明るさを実現する、ズーム性能と明るさにこだわった大口径レンズを開発。100m先の被写体でも、ノイズの少ない鮮明なカラー映像を映し出すことができるため、映像解析ソリューションと合わせて、大型駐車場などの夜間警備に威力を発揮します。
低屈折・低分散のUD(Ultra Low Dispersion)レンズを採用することで、大口径レンズで目立つ収差の増大を抑制し、高画質を維持しています。
赤外光反射低減コートにより、ゴーストが抑制されます。これらにより、近赤外光の透過率が向上するので、ナイトモード時に優れた低照度性能を発揮できます。
キヤノンのネットワークカメラSシリーズは、店舗などに違和感なく溶け込む小型サイズでありながら、200万画素、3.5倍光学ズーム、オートフォーカス、優れた低照度性能、電動パン・チルト・ズームを実現。
高精度非球面レンズと高屈折率ガラスを採用することで、レンズ枚数を削減し、超小型ドーム内に収容可能な小型なレンズサイズを可能にしています。
回路基板に実装する電子部品は、背の高い電子部品をドーム側に、背の低い電子部品をケース側に配置することにより製品の高さを抑えています。
また、パン(カメラの水平移動)駆動に伴うケーブルの回動に影響しないレンズユニットの側面に、チルト(カメラの垂直移動)駆動機構を集中して配置し、効率的な省スペース設計を行っています。
ネットワークカメラは屋内、屋外問わず様々な場所に設置されるため、それぞれの環境に応じた耐久性能を持つネットワークカメラが求められます。たとえば、監視目的で屋外に設置されるネットワークカメラは、幅広い外気温度の環境下で、24時間365日、安定して連続稼働することが必要です。キヤノンの屋外型ネットワークカメラは、屋外での厳しい環境にも対応するよう、ー50℃から+55℃までの広範囲の温度環境に耐えられるように設計されています。
まず、温度変化に対応するため、サンシェードの内側はアルミダイカストとモールド(樹脂)の二重構造になっています。温度が高い時は、アルミダイカストとモールドの間に冷却ファンの風を通し、さらにサンシェードの通気口から放熱します。一方、温度が低い時は、ヒーターを使ってモールドの内部だけを温めて断熱する構造になっています。
スキーのゴーグルなどと同じように、製品の内部では常に空気を循環させ、ドーム部分にも空気を送るようにして結露を防いでいます。ヒーターでどれくらいの温風を作るのか、ドームと内側のインナーカバーとの隙間にどう風を流すのかなど、ざまざまな要素を試行錯誤して、ドーム全体が曇らない仕組みを実現しました。