CANON TECHNOLOGY

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共通基盤技術

ネットワーク環境はさらに進展を加速させています。デジタル技術を要素別に構造化し、プラットフォーム化を促進。さまざまな製品で共通利用し、開発のスピードアップと品質向上を実現しています。

2018/12/27技術紹介

システムLSI統合設計環境

#電気工学#情報工学#半導体

大規模なシステムLSIを効率よく開発

キヤノンは、ハードウエア/ソフトウエアのシステム全体を1チップに搭載した「システムLSI(※1)」を自社開発しています。このシステムLSIはわずか数ミリ~数センチ四方の小さなチップですが、内部に非常に大規模なシステムが実装されており、製品の中枢機能を担う重要な部品です。キヤノンは他社に先駆けて1990年代からシステムLSIの自社開発に取り組み、画像処理プロセッサーDIGICをはじめとするシステムLSIを各製品向けに開発し、製品の小型化と高性能化を実現しています。

複数の機能を集約したシステムLSIの開発には、多数の技術者との協調や効率的な設計環境が必要です。キヤノンは「システムLSI統合設計環境」を独自開発し、仕様検討から物理設計までの全工程を総合的に行っています。

  • (※1)システムLSI
    CPU、メモリー、専用LSIなどで実現していた機能を1個のチップ上に集積した大規模集積回路のこと。システムLSIでは、複数のチップを使用する場合の複雑な配線が不要となるため高速動作が可能になる。また、1チップのため基板上の専有面積が小さくなり、基板の小型化、機器の小型化も可能になる。

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システムLSI統合設計環境

設計環境

キヤノンは、共通設計フローに従ったシステムLSIの設計支援ツールを独自開発しました。「設計支援ツール」は理解しやすいGUIベースのツールで、数百名規模のチーム各人の意思疎通と設計作業をサポートします。また、「設計支援ツール」を構成する「コンピュートファーム」では要求に応じた最適なスペックの計算サーバとライセンスを自動で割振り、開発者はよりストレスなく設計することができます。

「構成管理」では、設計資産の管理プロセスを自動化し、設計資産を容易に再利用することが可能です。「リソース管理」により、設計環境の利用状況を常時監視し、投資最適化に取り組んでいます。また「障害管理」では、プロジェクトの成熟度判断はもちろん、バグ解析作業を補助して設計品質問題を特定し、品質向上やプロジェクトの収束を加速します。

さらに、「自動可視化」では、設計・検証の進捗や工数実績、加えてバグ解析の進捗状況を自動的に可視化することで、設計・検証者に対する進捗報告の負荷軽減、プロジェクトマネージャーに対する分析負荷の軽減と課題抽出の容易化を図っています。

回路設計・検証技術

システムLSIに集約する最先端の高画質アルゴリズムを素早く回路化するために、キヤノンは、2005年頃から高位合成技術を導入し、その長所を伸ばす設計フローを構築することで、一般的なRTL(※2)の回路設計手法に比べて設計効率を3~7倍に高めています。

システムLSI開発において7~8割の工数を占める検証工程では、モデルに代表される検証用部品も設計資産として「構成管理」によって再利用することで、品質と効率を共に高めています。

さらに、ハードウエア・エミュレーター(※3)による検証時間の短縮とハードウエア/ソフトウエア協調検証への適用、UVM(※4)による検証環境の再利用性向上など、最先端の検証技術を積極的に導入しています。

  • (※2)RTL
    Register Transfer Level の略。論理回路の動作を記述するための一般的な手法
  • (※3)ハードウエア・エミュレーター
    回路動作を模擬する高速な検証専用のコンピューター
  • (※4)UVM
    Universal Verification Methodologyの略。標準化団体Accelleraにより策定された検証手法

物理設計・検証技術

システムLSIのチップ内には数億個の素子が集積されます。それらを数百MHzものクロックスピードで高速かつ正確に動作させるために、素子の配置・配線を最適化する技術が物理設計技術です。LSIプロセステクノロジの微細化、性能・集積度の更なる向上に対応する電力解析や熱解析を含めた物理設計を開発の初期段階からコンカレントに行うことで、システムLSIチップからプリント基板に至る広範な範囲での設計品質の向上に取り組んでいます。

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システムLSIの内部ではナノメータオーダーの配線が何層も立体的・縦横に走り、素子間を配線

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数億個の素子を集積するシステムLSIをモデル化し、プリント基板全体の動作・特性を解析

インプロセス可視化技術

#機械工学#情報工学#物理学

機器の動作メカニズムを解析

インプロセス可視化技術とは、製品の動作プロセスを直接観察(光学観察)し、製品の動作メカニズムを明確にする技術です。この技術はキヤノン製品のトナーの現像・定着プロセスやインクの吐出プロセスの解明に役立てられ、製品設計や技術革新に貢献してきました。
レーザープリンターや複合機のトナー1個の直径は数μm(※5)、インクジェットプリンターのインク液滴は1滴1pl(※6)と極めて微細であると同時に、非常に高速な運動であるため、その現象を正確にとらえるのは極めて困難です。また、いずれも製品内部の非常に奥深くて狭い部分で生じる現象であるため、覗くことすら難しいのです。サンプルや装置の製作、超高速度カメラでの撮影、画像解析など、現象観察には高度な技術が応用されています。

  • (※5)μm(マイクロメートル)
    1μmは1mの100万分の1。
  • (※6)pl(ピコリットル)
    1plは1リットルの1兆分の1。

トナーの現像プロセスの可視化

トナーが感光ドラムに向かって飛ぶ様子を可視化する技術です。わずかなすき間を飛ぶトナーの動きと規則性を分析、機構配置や最適制御電圧などを解明しています。

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トナー現像プロセスのインプロセス可視化技術の概念図

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トナーの現像プロセスの可視化
感光ドラムに向かって飛ぶトナーの様子を可視化

トナーの定着プロセスの可視化

定着部材によるトナー溶融→広がり→再固化を観察装置でとらえます。温度、圧力、変位を測定した力学的なデータと統合してシミュレーションを行い、定着機構の部材開発やトナーの特性解明に役立てています。

シミュレーション技術

#機械工学#情報工学#物理学

現象を分析して製品性能を予測

製品開発段階で、製品内で起きる現象を分析したり、製品の性能を予測するシミュレーション技術は、技術研究や新製品開発期間の短縮に役立っています。

電子写真プロセスのシミュレーション

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複合機における転写プロセスのシミュレーション例

レーザープリンターや複合機の電子写真プロセスは、帯電、露光、潜像、現像、転写、定着、クリーニングのプロセスで画像を形成します。画像形成に重要なこのそれぞれのプロセスは、いずれも複合的かつ複雑な現象で、計算による予測は今まで困難でした。
キヤノンでは電子写真プロセスのシミュレーション技術を独自に開発し、新たな技術の研究や新製品開発の効率化につなげています。

超音波モーター(USM)

#イメージング技術#機械工学#物理学

超音波モーター(USM)は超音波振動を所定方向の駆動に変換するモーターです。

リングUSM

高トルク、高レスポンスで素早いピント合わせに対応します。大口径レンズ・超望遠レンズに最適です。

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ナノUSM

静止画での高速で高精度なAFと、動画でのスムーズなAFの両方で高いパフォーマンスを発揮します。

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エンコーダー

#産業機器#イメージング技術#ロボティクス#機械工学#物理学

ナノスケールの動きまで正確に検出

エンコーダーは、対象物にスケール(目盛り)を取り付け、そのスケールをカウントして角度や移動距離を測定するセンサーです。キヤノンは、最先端の光計測技術を利用して、超精密・超高精度のエンコーダーを開発しています。

レーザーロータリーエンコーダー(LRE)

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レーザーロータリーエンコーダーの原理

半導体レーザーを光源に、光の回折(※7)・干渉(※8)現象を利用して角度を検出します。独自のプリズム光学系を使用したことによって小型化を実現。産業用ロボットアームの角度調整や放送機器用カメラの雲台などに使われています。

  • (※7)回折
    光の特性の1つ。光は波の性質をもつので、物体にあたると物体の影の部分に回り込んでいく。その現象のこと。
  • (※8)干渉
    光の特性の1つ。光は波の性質をもつので、同じ位相の光と合わさると明るくなる。180度位相がずれている光と合わさると打ち消し合って暗くなる。その現象のこと。

マイクロリニアエンコーダー(MLE)

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マイクロリニアエンコーダーの原理図

LEDの光をコリメーターレンズで平行光にして回折格子を介してスケールに照射。そこで生じた回折光をヘッド側の回折格子(4分割)を介して受光し、位相のズレで位置検出をする。
LEDを光源とした独自の反射回折干渉方式を利用したエンコーダーで、長寿命、超小型サイズを実現しています。最高分解能は1000分割器との併用で0.8nm(※9)。
半導体露光装置のステージ用センサー、ハードディスク検査器、半導体計測機器などに使われています。

  • (※9)nm(ナノメートル)
    1nmは1mの10億分の1。

レーザードップラー速度計

#産業機器#機械工学#物理学

速度ムラや回転ムラを非接触検出

レーザードップラー速度計は、アフォーカル光学系(※10)を通してレーザー光を照射し、移動・回転している対象物の速度を非接触で計測する装置です。
レーザー光をコリメーターレンズによって平行光にして回折格子で分割します。E/O周波数シフター(周波数をシフトさせる素子)によって周波数差のできた2つの光を測定物に照射し、その散乱光を集光レンズを通してフォトダイオードに取り込み、得られた光のビート信号(ドップラー周波数)から速度を測定します。静止状態から秒速-200~10000mm、-300~15000mmの速度の測定が可能です。プリンターや複合機の用紙搬送速度や速度ムラの検出、感光ドラムの回転ムラの検出、工作機械の駆動部の回転や送りムラの検出など、研究開発や生産現場で使われています。

  • (※10)アフォーカル光学系
    非焦点(焦点距離が無限大)の光学系であり、レンズに平行光が入射し、同じく平行光が射出する。望遠鏡やビームエキスパンダー(レーザー光のビーム径を広げるための光学モジュール)に使われる。

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レーザードップラー速度計

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レーザードップラー速度計の原理図

ガルバノスキャナー

#産業機器#イメージング技術#機械工学#物理学

高度なレーザー加工を実現

レーザー加工機は、ミラーを高速に駆動し、レーザー光の位置決めをして穴あけやカッティング、トリミングなどを行う装置です。キヤノンの「ガルバノスキャナー(※11)」はレーザー加工機へ搭載する高精度レーザースキャナーで、独自のエンコーダー技術を採用。用途に応じて最適に制御するフルクローズドデジタルサーボ技術と組み合わせて、ミラーの角度位置を検出します。高度な位置決め精度、くり返し再現性、整定速度の高速化を同時に達成しているガルバノスキャナーは、レーザーVIAホール(※12)加工機や3次元造形機などに搭載されて、携帯電話などの高密度基板の加工や、フラットパネルディスプレイ(FPD)、太陽電池パネルの生産などに役立っています。

  • (※11)ガルバノスキャナー
    高感度電流計のガルバノメーターの機構を応用したスキャナー。ガルバノという名称は、イタリアの物理学者ルイージ・ガルヴァーニから。
  • (※12)VIAホール
    多層基板の各基板上につくられた回路の配線を接続するために開ける穴。VIAとは「~経由」の意味。

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ガルバノスキャナー

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ガルバノスキャナーを搭載したレーザーVIA ホール加工機の原理図

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