インタビュー - Interviews -

ユリア・リプニツカヤ選手
インタビュー

文・野口美恵(スポーツライター)

15歳にしてグランプリファイナル2位、欧州選手権優勝と、飛ぶ鳥を落とす勢いのユリア・リプニツカヤ。ロシア2枠の五輪代表にも選ばれ、自国開催の大舞台に挑む。スケートへの思いを聞いた。

ショート、フリーともに
独自のコンセプトで圧巻の演技
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今季は2つのプログラムがとても素晴らしく話題になっています。ショートのプログラム『愛はまごころ』はどんな表現をするのでしょう?

私自身を表現するというプログラムです。気持ちを伝えたいけれど伝えられない、思いを秘めているというようなイメージです。もともとは、ロシアで人気のある歌謡曲なのですが、その曲想ではない新しいイメージを考えました。自分らしいイメージに。ロシア人は歌詞が頭に浮かぶと思いますが、他の国の人には綺麗な曲だなと思って欲しいです。

とてもお洒落な振付ですが、氷に文字を書いているのは、どんなメッセージを?

書いている文字は、観ている人がそれぞれ感じたもの、ということで決まってはいません。振付は、ソルトレーク五輪のアイスダンスの銀メダリストの、イリヤ・アベルブフさんがリンクに来てくれて演技をブラッシュアップしてくれたんです。

フリーは『シンドラーのリスト』。15歳としては難しい選曲なのでは?

確かに表現力が大事な曲ですね。映画を見ると分かると思いますが、ユダヤ人の赤いコートの少女が登場します。黒白を基調とした映画に1つだけカラフルな部分があって、それが赤いコート。それをリンクの白に私の赤い衣装が浮かび上がるイメージで演じているんです。

コスチュームは自分でデザインしたとか。

作るのは大変でした。あっちこっちキツかったりして。でも完成した衣装はとても着心地がいいです。映画を見たことがある人は皆、良い衣装だし、表現も良いと言ってくれます。

振付師のアベルブフ先生からはどんなアドバイスを?

振付は2日間だけで行いました。ショート1日、フリー1日です。短い時間でしたが、とても気に入る作品になりました。自分でも振付をアレンジしたりしたのですが、先生に習ったことで新しい発見がありました。アベルブフ先生のお陰で新しいレベルに上がることができたと感じています。

GPロシア杯後に練習方法を改善
グランプリファイナルは実力発揮の2位
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それでは今季の成績について聞かせてください。まずGPロシア杯は貫禄の優勝でしたね。自国の試合の方がやりやすい、ということはありますか?

GPロシア杯はモスクワでの試合だったので、とても落ち着いて滑ることができました。いつも試合ではすごく緊張して震えが止まらないのですが、今回は会場の応援がすごく助けになって、氷に出たら気持ちが楽になりました。でも声援がかえってプレッシャーになることもあるんです。私のホームリンクはモスクワなので、モスクワ市内の窓から見える景色も同じなので、練習に来ているような感覚でした。逆に不安は、気持ちがリラックスしすぎてしまうことだったのですが、ちょうど良い具合に緊張できました。

ショートのシーズンベストは今季のGPロシア杯ですね。

あんなに得点が出るとは思わなかったので、とっても驚きました。ミスのない演技をしたので期待はしましたが、思った以上の得点でした。いつもと同じように、スケーティングの最中は夢中になって演技していました。

GPロシア杯のフリーでジャンプのミスがあり、それ以来練習方法を変えたということですね。

あのフリー演技はとても失敗が多かったので残念です。何が悪かったのかよく反省して、課題を見つけようと思いました。とにかく緊張して落ち着きがなく、最初のミスを最後まで引きずってしまいました。6分間練習でも、普段の練習でも調子が良かったのに、本番だけミスしたんです。こういう経験が初めてだったので、パニックになりました。ミスしたジャンプを後半でリカバリーする練習というのをやっていなかったので、ロシア国内選手権、ヨーロッパ選手権に向けては、色々と練習方法を考えました。

他にも練習方法を変えましたか?

本番を想定した練習をしました。6分間練習の後、順番を待つのと同じようなものです。くじを引いて滑走順を決めて、6分間練習した後に氷から上がって、それから曲をかけて踊る練習です。これで本番の雰囲気に慣れるようにしました。

日本でのグランプリファイナルでの演技はいかがでしたか? 浅田真央選手に次いで2位でした。

各エレメンツで自分をコントロールできて、満足いく演技ができました。まだ今後は後半に連続ジャンプを入れるなど、レベルを上げていけるな、という自信が付きました。

憧れの選手は?

カロリーナ・コストナー選手を一番尊敬しています。GPロシア杯ではコストナー選手に勝つことができましたが、私自身の演技は完璧ではなかったので恥ずかしいですし、コストナー選手も好調ではなかったので彼女も不満が残ったと思います。

浅田真央選手に対しての思いは?

真央選手が世界一強いと思います。特に滑りのなめらかさが綺麗で、尊敬しています。とても大好きな選手です。

10歳からモスクワへ、人生が変わった
昨季不調も、今季はジャンプも復調
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10歳の時にエカテリンブルクからモスクワに出てきて、本格的に選手を目指したと聞いています。

当時はトップ選手を目指す、というような思いではありませんでした。エテリ・トゥトベリーゼコーチから断られるかも知れないという状況のなか、母と2人、3日間かけて車でモスクワに来たんです。スケートをただ続けたいと思っていて、でもちゃんと指導を受けてないとトップ選手を目指すのは諦めようと考えていたんです。指導を断られたら普通の学生として人生を続けようと思っていましたが、モスクワに来てからは人生が変わり、今はスケーターとしての生活をする人生になりました。

2季前はジュニアの国際大会を総なめ。昨季はやや苦労した印象でしたね。

やはりジャンプの感覚が、身長がのびることで変わりました。身体全体が変化して、スピンの感覚も変わってしまったんです。でもスピンの転倒でケガをして、色々な治療を受けて、もうケガも良くなりましたし、成長した身体にも慣れました。昨季はフィンランディア杯の1位から始まり、ロシア国内ジュニア選手権では5位と信じられない結果に。とにかく大変なシーズンでした。今季はジャンプも取り戻し、成績も安定してきました。

モスクワでの生活は? スケート以外の趣味なども教えてください。

モスクワでは学校に通っていないんです。通信教育なので。だから朝から晩までスケート一色の人生です。趣味は料理と、あとは動物が好きです。エカテリンブルクでは馬を5頭飼っているし、犬も猫もいます。乗馬は大好きなので、田舎に帰ったら乗馬しています。モスクワでは犬猫も飼えないので寂しいですね。

ロシア女子はグランプリファイナルに進出した選手が4人というハイレベルで、しかし五輪代表は2枠でした。

これはもう世界で一番厳しい戦いでした。とにかく練習するだけ。誰もがチャンスがある状況で、最後まで分かりませんでした。

いよいよ五輪代表に決まりました。

本当に嬉しいです。ソチでは、自分が今お見せできるすべてのものを見せたいです。

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