インタビュー - Interviews -

アリーナ・ザギトワ選手
インタビュー

「アスリートなら五輪は出たいもの」
同門のメドメデワと共にメダル目指す

文・野口美恵(スポーツライター)

シニアデビューのシーズン、はやくもGPファイナルで優勝し、平昌五輪のメダル候補へと躍進したアリーナ・ザギトワ選手(ロシア)。世界女王エフゲニア・メドベデワ選手と同門の15歳が、活躍の秘訣を語った。

12歳からエテリコーチに師事「最初は怖くてドキドキした」

ザギトワ選手のエテリ・トゥトベリーゼコーチのもとには、たくさんの有望選手が集まっていますね。
メドベデワ選手をはじめジュニアのトップも皆が所属しています。いつ、どんなきっかけでエテリコーチに師事したのでしょう?

エテリコーチの元で練習しているのは12歳のときからです。もともとエテリチームには憧れていて入りたかったのですが、とてもレベルの高いチームですし、決断するのは少し怖くもありました。そんな時に(エテリチームが拠点とする)モスクワで大会があって、彼女の元を訪ねたいと思い立ちました。帰りの電車に遅れてまで母親を説得して、母もそれに同意してくれて、エテリ先生の元を訪ねたんです。そしたら年明けから来てもいいよと言ってくれました。もう本当に嬉しくて、嬉しくて、どうやって帰りの電車までたどり着いたか覚えていないくらいでした。

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エテリコーチの指導は厳しいですか?

エテリコーチのグループに入ったばかりの頃は、とても怖い存在だと思っていました。最初の頃はリンクに先生が入ってきたのを見ただけで心臓がドキドキしているのがわかるほどでしたが、今はそれに比べたら落ち着いてきました。お互いのことがわかってきたので少し打ち解けてきたんだと思います。

ではコーチの優しい部分は?

もちろん、私のことをとてもよく思いやってくれていて優しいです。スポーツのコーチは誰もが、選手がリンク上で良い演技ができるように、上位の大会で良いパフォーマンスができるように、と考えて厳しい指導をしますが、それは当たり前のことです。

エテリコーチはどんな指導でしょう? どんなことを日々練習していますか?

コーチング方法について細かく説明することはできませんが、言えるのはエテリコーチが隣にいるだけで自信が沸いて、そして安心して滑ることができるということです。練習はその日の目標を決めて、それに向かってルーティンの練習をすることが大切。まず目標を決めるということが、日々の日課にもなっています。

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故郷のイジェフスクから、12歳で親元を離れてモスクワへ行ったのは大決断でしたね。

モスクワには祖母の家があるので、祖母と暮らしています。両親は時々、私の元を訪ねてきてくれるのでその時に会えます。でも最初の頃は両親が側にいないので大変でした。夜中に不意に寂しくなって泣いたこともあります。でも今はもう慣れてきて、そういう意味では自分に厳しくもなってきたし、少し大人になったのかなと思います。

たくさんのスケート仲間ができたことも良いのでしょうね。年が近いメドベデワ選手はどんな存在でしょう? シニアに上がってみて存在は変わりましたか?

メドベデワとは、ジュニア時代も、シニアに上がった今季も変わらず仲良しです。シニアに上がってからも存在が変わるということはありません。練習会場で会うとライバル心が起こるときもありますが、友達としてすごく仲良くしています。

自分の性格を、明るいとか暗いとか厳しいとか、どう思いますか?

自分のことは普段は明るい性格だと思います。でも練習や試合といったスポーツの場面では、自分に厳しく、そして競争心を持って取り組んでいくことも大切だと考えています。

GPファイナルはショート2位 フリーは『ドン・キホーテ』で逆転
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GPファイナルでは、ショートは連続ジャンプを成功したものの、フリップでミスがあって2位発進でした。

ショートは今季、連続ジャンプでのミスが何度もあったので苦手意識が出ていたのですが、緊張をコントロールして、ついにショートで連続ジャンプを成功させることができたので本当に嬉しいです。このGPファイナルでショートに自信がつきました。でも連続ジャンプが成功したことで安心してしまったので、3回転フリップでステップアウトしたんです。ジャンプ自体が悪いとか技術的なことではなく、油断したという感じでした。

どうやってショートを克服できたのでしょう?

フランス杯のあと、コーチとも色々相談しましたし、練習もたくさんしました。あと、衣装のスカートを少し短く切ったのですが、それでジャンプの邪魔にならなくなり、動きやすくなったと思います。

フリーは首位での逆転優勝でした。

いくつかの小さなミスはありましたが、全体としては良い演技ができたかと思います。正直なところ、ショートが2位になり、フリーはかなり緊張して追い込まれた気持ちでした。脚が震えました。でも氷に降りてからは、もうやるしかない、と思って臨みました。

ショート、フリーともバレエ曲 『ドン・キホーテ』は自信あるプログラム
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フリーの『ドン・キホーテ』はジュニア時代からの継続で、十八番という感じですね。

フリーは、コーチのエテリとダニイル・グレイヘンガウスが振り付けてくれました。最初は難しくて、うまく踊れませんでしたが、2シーズン目になってフットワークも身について踊りこなせるようになりました。とにかくたくさん曲をかけて練習した成果です。今ではフリーは自信があるプログラムになりました。

フリーでは、すべてのジャンプを後半に入れることで、基礎点を稼いでいますね。とても挑戦的な内容です。

後半に7つ跳ぶのはとても大変なことです。最初のころは、スピンとステップシークエンスまででとても疲れてしまって、後半に集中しているジャンプをこなすことができませんでした。でもコーチは私を信じ、「あなたならできる」と何度も励ましてきてくれました。

演技構成点も伸ばしています。表現の勉強として、バレエの『ドン・キホーテ』は観ましたか?

もちろんです。やはりバレエもスケートも、演技を通して感情を表現する手段なので、バレエの振り付けを観ることはすごく重要です。最初は音楽しか聴いたことがなかったのですが、バレエの『ドン・キホーテ』を実際に観て、たちまち好きになりました。プログラムも自分には合っていると思います。

フリーの赤い衣装は、とてもバレエ風の衣装で素敵ですね。メドベデワ選手から譲っていただいたものなのでしょうか?

フリーの衣装は、メドベデワ選手が以前着ていたものとデザインはほとんど同じですが、私のアイデアを取り入れてバレエ『ドン・キホーテ』のテーマにあった衣装に仕上げています。

五輪問題については口を閉ざすも まずはロシア選手権で好演を
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ロシア代表としては出られない可能性が高いですが、どんな意見でしょう?

それについて私はノーコメントです。

個人としての五輪出場への思いは? 韓国に行ってみたいと思いますか?

韓国へは、一度も行ったことがないので、行ってみたいです。そしてアスリートであれば誰もが五輪に出たいというのは当然のことです。ですから五輪に出たいかどうかで言えば、私ももちろん出たいです。

まずは、国内大会であるロシア選手権で、代表に選ばれることのほうが大事ですね。どんな演技をしたいですか?

ロシア選手権はオリンピックの選考がかかるとても重要な試合です。悔いの無い演技をして、そして観客の皆さんには楽しんでほしいです。これまでは緊張してしまっていたけれど、今は自分に「練習通りできるわ」と言いきかせて、リラックスするようにしています。ただ練習通り、いつも通りやるだけです。

2017年12月、GPファイナルにて取材

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