洛中洛外図屏風(舟木本)らくちゅうらくがいずびょうぶ(ふなきぼん)
作品データ
- 作者:
- 岩佐又兵衛(いわさまたべえ)筆
- 時代:
- 江戸時代 17世紀
- 材質:
- 和紙に印刷・金箔貼付
- 員数:
- 六曲一双
- 寸法:
- 第一・六扇 各 162.5 × 54.2 cm
第二ー五扇 各 162.5 × 58.3 cm
原本
- 所蔵:
- 東京国立博物館
- 材質:
- 紙本金地着色
解説
京都の市中とその周辺を描く、洛中洛外図の1つで、もと滋賀の舟木家に伝来したため、舟木本の名で親しまれている。初期の町田本や上杉が示す洛中洛外図の一定型 ―上京(かみきょう)と下京(しもぎょう)をそれぞれ東と西から別々に眺望して2図に描き分ける形式― を破り、1つの視点からとらえた景観を左右の隻に連続的に展開させるものである。 右端には豊臣氏の象徴ともいうべき方広寺大仏殿の偉容を大きく描き、左端には徳川氏の二条城を置いて対峙させ、その間に洛中、洛東の町並が広がる。右隻を斜めによこ切る鴨川の流れが左隻に及び、2隻の図様を密に連繋させている。建物や風俗をとらえる視点は一段と対象に近づき、随所に繰り広げられる市民の生活の有様を生き生きと描出する。 右隻の上方には桜の満開する豊国廟をはじめ、清水寺、祇園などの洛東の名刹が連なり、鴨川の岸、四条河原には歌舞伎や操り浄瑠璃などが演じられ、歓楽街の盛況ぶりが手にとるように眺められる。左隻では祇園会の神輿(みこし)と風流が町を進行し、南蛮人の姿も認められる。右下の三筋町の遊廊では路傍で遊女と客が狂態を演じ、街々には各種の階層の人々がうごめき、その数はおよそ2500人に及ぶ。景観の情況から元和初年(1615)頃の作とされている。 ―e国宝解説より