1993優秀賞
ARTIST STATEMENT
ドリンクアップ
前に一度お便りさせて頂いたものです。あの手紙から半年。エキスドラ・F・私の三角関係は、何事もなく淡々と過ぎ去っていました。そう、ついきのうまでは…。というのも、外に出かけて帰ってくると、驚いた事に、エキスドラが子供を連れているのです。しかも6人。よその子供なら別段、驚く事もありませんが、誰が見ても、それと分かるほど、似ているのです。(中略)気持ちを静めて、誰の子なのか聞いたのですが、黙ったままでしゃべる気配もありません。私自身には身に覚えがなく、Fの子とも思えません。もう、この先どうなってしまうのかと、不安が募るばかりです。
P.S.しかし、子供はやはりかわいいもので、無口ですが、私に笑いかけてくれます。
審査評 選:南條 史生
一回受賞しているにもかかわらず、このテーマで毎回応募していて、一貫性と粘りが感じられる。エキスドラ(ドラえもん?)の状況がバラエティに富み、さらに白黒、カラー、反転、アップ、遠景などをうまく使って、展開にリズムが生じ、見ていて最後まで、飽きさせない本になっている。また、仕上がりのクウォリティも高い。エキスドラはここでは風景を変質させ、その奥にある異次元を垣間見させる仕掛けとなっていることが明確になってきた。青空をバックにした写真を一点だけ抜き出しているが、これだけ撮り続けたから、「突き抜けた」ということを象徴しており、この辺の構成もなかなかうまい。
PROFILE