1993優秀賞
ARTIST STATEMENT
ジョンは王様のくせに大好きなあの人のところへ帰りたくなった、あるいは昼の輪、あるいは大きなイカリング
『成功と失敗の埒外で、また、勝利と敗北の埒外で、ぼくはすべてを受け入れ肯定せざるを得ません。冒険に立ち向かうぼくは、勝利者でも敗北者でもなく悲劇的なだけです。』
友人が出品していたのがきっかけで、第一回写真新世紀展へ行き、「面白いなあ」と思ってワクワクしながら自分も出品した。無視されるか、笑われるかどちらかだと思っていたので受賞とはオドロキである。自然のもつ整合性にひかれ、それを契機に作品を制作してきた。私は単純な形に安心感を覚える。自分をも含み込む自然の摂理に触発される。
審査評 選:南條 史生
ホックニーを思い出させるところもあるが、より抽象的で、不可解なところがある。この大作2点は、最も抽象的で、それだけに多くのことを連想させる。イカの口や王冠のようにも見えるし、例の有名なミルク王冠型に跳ね上がっている写真も思い出させる。ほかの小品は、動物や植物の部分を拡大して作品にしているため、具体的過ぎてシリーズとしての統一感に欠けるし、せっかくの大作2点の面白さをそいでしまっている。この2大作品のコンセプトであと100ぐらい違う作品ができれば、このコンセプトに普遍性があることになる。
PROFILE