1995優秀賞
ARTIST STATEMENT
満開
私にとって写真とは、自分が何を考え、何を感じているかを認識させてくれるものです。写真はそれぞれ独立しており、そんな彼らと私は、共同作業をしながら、私の内にあるものを目に見えるものにしていきます。うまく言えないけれど、自分をひっぱりあげてくれるものだとも思います。この作品は、印画紙を切って、それぞれの写真の関係やどこに重点を置くか、合わせた部分が自然になじむように注意しながら編み合わせたものです。パチンコ台と桜を組み合わせた「満開」の場合は、引退したパチンコ台をもう一度表舞台に立たせてあげたかったので、合わせるものが桜の花となったのです。
審査評 選:南條 史生
彼女の作品は現代日本のコメントとしてなかなか有効であると考えた。「満開」というタイトルと桜の花がいい。パチンコというポップカルチャーで切り取られた日本の社会、文化、喧騒、極彩色の世界、がモノクロームのそれなりに整然とした構成のなかに還元されている。そのアイロニーが独特の世界を作り出した。また、一見コラージュのように見えるイメージの混在もよく見ると、整然と印画紙が編み込まれたものであることは驚きである。複雑さと単純さ、重さと軽さ、厳粛さと卑俗さが同居しているところが、作品の意味の重層性を創り出したといえるだろう。
PROFILE