1996優秀賞
ARTIST STATEMENT
UNTITLED
タイトルはありません。いろいろと考えてはみたのですが、どれもうまくあてはまらないのです。
審査評 選:南條 史生
以前の作品は、子供の目が印象深かったが、今回は立体的なプレゼンが印象深い。写真は透きとおっていて、後ろには銀幕がある。写真は部分的に重なっているし、前後の遠近が複雑な仕掛けとなっている。被写体にもさまざまな人物が登場しており、その「さまざま」な感じと、プレゼンの仕掛けがうまく一致しているのがいい。何となく「都市の中の多様な人生」という雰囲気が伝わってくる。ポートフォリオもインスタレーション同様、ポジが銀に投影されたり、黄色い写真には黄色の処理、赤っぽい写真には赤の処理などさまざまな仕掛けが随所に見られ、おもしろい効果を出している。被写体は人が中心だが、なんとなく含みがある。非常にかそけき異常さ、不気味さがポートレートに奥行きを与えている。
PROFILE