1996優秀賞
ARTIST STATEMENT
特別な一日
今年の夏、私は常に一人で街を徘徊し、撮影を行ってきた。その時に出会ったのが「ミサト」、「コウジ」、「ヨウスケ」だった。彼らは実に生き生きと振る舞い、私の眼の前を軽やかな足音をたてて走り、夏の光によって焼けた肌がうっすらと汗をかき、輝いて見え、午後に流れる微かな風で大きくなびく髪、柔かい小さな手の感触、無邪気に笑う彼らの声、すべてが私を魅了した。彼らと共に、時を過ごし、見つづける事で私は何かを見い出そうとし、出会ったという事で、私にとって多少の励ましのようなものになっていったのだと思います。最後に、今回、撮影に協力してくれた、ミサト、コウジ、ヨウスケにありがとー。
審査評 選:飯沢 耕太郎
とにかく、子供達がただ者ではない。これだけ天衣無縫な笑顔を見せる野生児は、近頃あまり見たことがない。子供達の顔が昔とはだいぶ変わってきたように思っていたのだが、こうしてみると、懐かしい原日本人の顔がまだまだ残っているという事だろう。撮影のやり方もストレートで気持ちがいい。何度も通って厚みを作っていくというのではなく、「一日」の一発勝負で物にしてしまったスピード感が、この場合には成功している。どうしても荒木さんの傑作「さっちん」を思い出してしまうのだが、妙にいかがわしい猥褻感が、全体に漂っていて、「さっちん」とは違った不思議な迫力がある。この元気な気分をなくさないようにして、また別な題材にも挑戦していってほしい。
PROFILE