1996優秀賞
ARTIST STATEMENT
TRANCE
宇宙の果てまで飛ばされ、そこでカメラを放さず写真によって記録してきた。ただ自分の作品は自分独自の宇宙観であり、それは到ってこじんまりとした小宇宙である。それは誰にでも与えられた可能性である。事実サラリーマンくずれの俺にもここまでできたわけだから。もし、自分の作品を見て何かを感じとってくれるなら、それを独自に解釈し自分なりの方法で小宇宙を広げていって欲しい。あと一度自分の作品をプロレスラーに見てもらいたい。ちなみに私はタイガージェットシンの追っかけで写真を始めました。それではみなさん恒例のアレをご唱和ください。「いち、にの、さん、ダァー。」有り難うございました。
審査評 選:椎名 誠
暑くて混沌とした夜の熱気がいやおうなしに伝わってくる、やるせない写真だと思う。エネルギーとか叙情性とかいうのではなくて、写真でしか切り取ることのできない夜のたたずまいだと思う。ぼくも何度か夜を撮ろうと思って挑戦しているけれども、なかなか難しいんだな、これが。被写体は夜だけじゃないけど、これだけの量の夜の光と闇を、若干、人間が遠のいたかっこで捉えている。力技じゃなくて、粘り技みたいな、そんなものを感じます。特にこれはものすごくでっかく引き伸ばした写真なんだけども、でっかく引き伸ばす意味のある情景なんだと思う。これがちっちゃなサイズで並んでいても、これだけのものは伝わってこないんで。写真というのは、何もかもでっかくすればいいというもんじゃないけども、でかくしていい写真と、小さくしてトリミングしてページでかせいだほうがいい写真といろいろあるんですね。珍しく、量と大きさで攻め込んでこれる作品だと思いましたね。
PROFILE