1997優秀賞
ARTIST STATEMENT
UNTITLED
喜び、それは“見ること”です。私は喜びが好きなので、“見ること”、“見ることの現象と過程”を追求しました。現象面としての“見ること”とは一体何を意味するのか、また見ることによって人に何が起きるのか?また“見ること”が“見られたもの”にどんなことを起こさせるか?そして過程面としては“見る行動の方法”を考えてみました。作品を制作する状況は3つの部分に分かれると考えます。
◆ 写真家
◆ 写真
◆ 写真を見る人
写真を撮る瞬間、写真家は眼差しだけになります。見るという行為に集中するため写真家の他の機能は消え、身体もなくなるように感じるかもしれません。しかし実際には写真家の肉体は動き、オブジェに呼応し、被写体であるオブジェにその肉体を貸すような状況が起きると考えます。被写体は写真家の眼差しの的になると同時に、写真を見る人にとってもその視線を受けとめるものになるべきなのです。今回の受賞作であるクリスタルのオブジェを撮影するにあたり、私は特別な状況を設定せず、ブティックやデパートのようなそれらが実際に売られているような場所で撮影しました。というのも、私が作品制作にあたり、最も興味を持っているのは、被写体の材質やそのものの魅力ではないのです。あくまでもその瞬間における“見るという経験”の物理的、精神的な動きなのです。
審査評 選:リー・カシン
素晴らしいガラスというマテリアルを選んだこと、この事もとても良いし、その作品の制作のスタイルだとか、プリントだとか、ライティングだとか、レンズの選択、全ての面で本当によい芸術作品、絵画の作品のような効果を生んでいると思います。とても、私はこの作品が大好きです。
PROFILE