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伊藤 トオル

「 DECONSTRUCT 」

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ARTIST STATEMENT

DECONSTRUCT

「写真は正確だけど真実ではありえない」とは誰がいった言葉だったか。写真を始めた頃ある写真雑誌の中に見たが、今となっても写真が真実を写し撮るものだなどとはこれっぽっちも思えないし、いったい写真が真実か真実じゃないかなんて事さえもどれだけ意味があるのか?目の前にある世界と、それを切り取ったものが写真になるだけだが、そこには当然のように「ズレ」が生じるし、その「ズレ」だけが写真なんじゃないか。
「Deconstruct」シリーズでは1度撮影し引き伸ばした写真を、さらにその一部分をクローズアップで撮影し拡大した。撮影する事は風景のある部分を切りとる作業だが、それをまた切りとって(撮影して)みる。そこでは、はじめに生じた「ズレ」の大きさが増すだけだし、今、その大きくなった「ズレ」だけが塊となって私の前にある。

審査評 選: 森山 大道

一つのイメージを広げると、拡大で部分が見えてくるという、非常に単純素朴なトリックなんだけれど、それが凄く伝わり、目にインパクトを与える。これだけの量を作ってしまうという意志、ポテンシャルみたいなものがこの一冊の中にある。猥褻でもあるし、スキャンダラスでもあるし、非常に事件みたいなものも感じさせる。さまざまなそういう日常の中のいかがわしさとか、胡散臭さとかみたいなものが目の前にバサバサつきつけてくる感じ。そういう面白さがあるね。一種力技。いい含めるというか、そういう強引なとこがあって、その強引さが僕は好きだね。それともう一つは暗くなりそうな困ったものを撮っているんだけどそう見えないところがいい。これは、僕自身が思っているカメラが複写機であり、カメラがコピー機であり、写真がコピーであるという、その辺のリアリティが、この一冊にある。

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1997特別賞

伊藤 トオル

DECONSTRUCT

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