1998優秀賞
ARTIST STATEMENT
The Sanctuary
バスタブのすみの髪、石けんの泡、知らない間にできていた青痣、汚れた床。アタシの部屋、アタシの肌、アタシの傷、アタシの手、アタシのティッシュ、アタシの椅子、アタシの、アタシの・・・。抜けても抜けても毎日排水溝でうず巻く螺旋。タイルの重ねられる白のグラデーション。拡大した自我としての部屋。ループは絶望的に、あるいは楽天的に、繰り返される。その連続を見つめるプロセスの目的は、『アタシは再生されるのか?』という問いの答えを求めることにほかならない。
写真とは、現実の断片によるフィクション。空間に人口のペルソナを浮き上がらせる装置。表層で内面を炙り出す道具。フィクションであるがゆえに、真実に近づける可能性もあると思う。真実と現実は似ているようで微妙にズレているから。リアルさとアンリアルさと弄べるミディアムとして、写真以外はちょっとない。そのリスキーさも含めて、つよく惹かれる。
審査評 選:ホンマ タカシ
すごく限定された狭い世界の中で、「あたしは、こうなの!これが好きなの!」っていうのがはっきりしていて、いいと思います(首の写真はいらないと思うけど)。一生その狭いところで表現できればかっこいいけど、この先、外の写真とか違う写真がこれと同じテンションで撮れるかどうか?
PROFILE