1998優秀賞
ARTIST STATEMENT
Sincere Relaxation
私が撮った写真の中の人物は、誰もが力を抜いて撮られているような気がします。それは、被写体から「撮られている」という意識を取り除いて撮ろうとしているせいもあるのですが、私の前でいろんな人が楽に、力を抜いた状態でいてくれることはとても嬉しいことです。自分に対してその人が、気を許してくれなければそんな状態は見せてくれないと思うからです。被写体との素敵な関係が成り立つときに、その人の“真実心からのくつろぎ”(sincere relaxation)を見ることができるのだと思います。
人物の写真を撮るときは、相手の自然な表情を撮るということを大事にしています。でも、こちらからのポーズや表情を指示してしまうとどうしても作り込んだ薄っぺらい印象のものになりがちなので、指示はしないようにしています。また、風景の写真を撮る時は、自分の目で見て良いと感じたものをできるだけ写真という形で再現するということに気を遣っています。
審査評 選:荒木 経惟
初々しい。新鋭ですね。感じたらポッと撮っちゃうのがいい。思ったり、熟考したりするとつまらない。案外と写真の快感というのがわかっている人。皆が忘れている優しさというものがあるんだよね。優しさを犠牲にして芸術やろうっていう人が多いでしょ。一番大切なんだよ、優しさが。それとね、単純にこの写真見せてあげたり、プレゼントすると喜びますよ。基本ですよ。他の応募写真は、こんなの見たくない、欲しくないっていうの多すぎますよ。オマージュが少なすぎる。オマージュが入っちゃうとセンチメンタルっていうか、写真家としてのクールさがないとかいうけれど、そんなことない。今こそ大切なんですよ。
PROFILE