1998優秀賞
ARTIST STATEMENT
ONE PLACE
写真を撮る時、私はよく歩道橋などの上に立ち、人並みやそれらを囲む環境を見下ろしてみます。そしてどのように皆がそれぞれの“理想の生活”に向かって悩んだり、この世の中に存在する理由を探っているのを眺めていると、どこかで読んだフレーズが頭に浮かびます。
“私たちは、まるで‘投げ入れられた’ようにこの世に存在する。他人と分かち合うこの世界に…。”
We are here as if we are ‘throw’ into the world,
The world which we share with others・・
このプロジェクトOne Placeは、現代の超都市化社会においての私達の「場所」に対する意識(sense of place)を追求するフォトエッセイです。歴史的都市、近代都市、工業都市そして地方都市などでのさまざまな「場所」で撮影した写真は、それぞれの違いや特徴、境界などを強調するのではなく、むしろそれらの相似性、そして“どこに行っても同じ、感じることは同じ・・・つまりどこでもない?”というような心境を重要視しています。
審査評 選:南條 史生
空気が違う、光が違う、そしてそれに時間が写っている。この透明感、このメカニカルで、クールな感覚は普通ではない。このようにものを見るということが作家の能力なのか、それとも、カメラがそう撮ってしまうのか。もしカメラが目以上のものを写し撮ったのだとしても、それをカメラにさせること自体はやはり能力だろう。人間でさえも、一瞬にフリーズしているそのメカニカルな感覚は、現在の空気を現しているのかもしれない。なぜなら、もう声高に語る必要はないからだ。
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