1999優秀賞
ARTIST STATEMENT
こどもの家
この場を自分自身の表現の場ではなく、この子供たちの表現の場としたいと思います。この施設は、大阪市生野区にある「生野こどもの家」という所で、知的障害児通園施設ではありますが、健常児と一緒に受け入れ保育を行うという数少ない施設の一つです。障害の治療を第一の目的とは考えず、障害をそのまま受け入れ、一つの個性とし、理解し、共に生きていこうと考えている所です。この中で、子供たちは遊びを通して相手を知り、お互い刺激し合い学びあっているように見えます。自分もカメラを持ってこの子供たちと遊び、障害というものを考えてみようと思ったのがこの写真です。障害を持った子供たちの「もっと、もっと、いっぱい愛して」と輝くこの命とエネルギーの塊を見てほしいと思います。
審査評 選:長野 重一
とにかく人間を魅力的に撮っていることが素晴らしい。対象と回りの空間、距離のとり方がとてもいい。というより、この人の生理なのかもしれないけれども、それが人間賛歌という感じの表現につながっている。対象の子供達と同化していて、被写体の人達が写されているという感じがないところがとても魅力的です。見れば見るほど味が出てくる、これを見ていると人間の尊厳というものを考えさせられます。
PROFILE