2000優秀賞
ARTIST STATEMENT
月光のブルース
僕らには何か“キック”が必要になってきます。周りの友人達がバンドやスケートボードやドラッグ系ファッションなんかを自分の表現手段、何かカタルシスみたいな物を得るための手段としているように、僕は写真を“キック”としてその手段にと思っています。写真はカンタンで、“何でも有り”な“キック”だと思っています(今のところとりあえず)。プライベートな時間を友人と遊んでいる時、一人街をふらついている時、部屋でぼーっとしている時、知らん間に“キック”がこっそり襲い掛かってきます。時に楽しく、時にユーウツです。でもだるい時はシカトします。“なんでも有り”だからそれも“有り”かなーと思うからです。あくまで直感的に、あくまで計算的にカタルシス。右脳セクションと左脳セクションが繰り出す誘発とコンフュージョン。“何でも有り”という矛盾。好きと嫌い、概念とケーススタディ、拘りと価値観、思い込みとナルシシズム、猥藝と狂気、嘘と本当、欲望と煩悩、毒とユーモア、etc・・・。
審査評 選:飯沢 耕太郎
若さとエネルギー溢れる作品。現時点での達成度というよりは、これから何か出てきそうなポジティブな気分の方を優先して選んだ。写真家という人種たちの特徴は、頭よりも眼や体の方が先に動いてしまうことだと思う。その点、谷口君の体を張った撮影のやり方には、共感できるところが多い。今のところ自分の狭い交友範囲と、東京という限られた場所で動いているわけだが、これからは、もっと広く、遠くへカメラと共に移動していってほしい。他者との出会いを、全身で受け止め、投げ出していくパワーがついていけば、よりスケールの大きな写真家に成長していく可能性を秘めていると思う。今回の作品でいえば、モノクロとカラーとの組み合わせも、すごくうまくいったのではないだろうか。
PROFILE