2001優秀賞
ARTIST STATEMENT
途切れ時間の夢
ユカに出会ったとき、彼女は17歳でした。これらの写真は、その時から現在までの、途切れの『日記』のようなものです。とは言っても途中2年間くらい会わない時期があって、当然その期間は空白のままです。写真もなにもありません。なんらかの意図があって、撮りつづけた写真ではないのですが、古いベタを見ていて、日々のスナップショットのコマの中に時折写っている彼女にあらためて惹かれ、そして漠然としたものがはっきりしてきました。タイトルは『途切れ時間の夢』です。
私にとって写真とは何なのでしょうか?たぶん、『接し方』なのでしょう。物事に対峙する時の距離感と気持ち。近づいたり離れたり、近づきたいのに近づけなかったり近づきすぎてぶつかってしまったり。それにしても、写真に写ったもの、写ったことは、夢の中の事のようです。シャッターを押した時、確かにそこにあったはずなのに、消えて途切れて、残るのは『確かにそこにあった』という記憶だけ。写真は残るけれど、その記憶さえ不思議な気がします。
審査評 選:荒木 経惟
今回は透明感のある非常にピュアな作品を選びました。こんなに素敵な笑顔を許せる関係なんだから、相当イイ関係ですね。ある一つのタブーをやること、スリリングな時間を共有し、写し撮ること、それが写真の一つの魅力です。気持ちの透明感、それが写真の空気感や透明感に通じますが、この写真にはそれが入っている。とてもイイ空気感です。彼女の気持ちを代弁しているかの様にも思えるのは、実は自分の気持ちがストーンと入っているからなんですよ。束の間だけど愛されちゃってるなぁこの男は、だから、タイトルが「途切れ時間の夢」なんですね。この人はピュアですよ、だからこういう写真が撮れる。青い空に日付が入っているなんて、最高です。
PROFILE